迷い人よ、ようこそ。   作:みなたか

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2022年11月13日 修正と加筆


第二話

 曰く、迷い人というのは文字通りこの世界に迷い混んだ人のことを指すらしい、別の世界、平行世界とかいうのから、何故迷い混むのか分かっていないようだが、大体1か月に1、2人ぐらいこの世界に迷い込むらしく、割と広く知られた存在らしい。

 

「気が付いたら異世界転移してた件について」

「あれ、意外と冷静?」

 

 今現在、俺こと荒川 虎太郎と大神さん、白上さん三人は外に出て、空中から見えた街に向かっていた、街の役所に行けば迷い人専門の窓口があるらしく案内してくれることになった。

 

「まさか、こう見えても結構自分アニメ、ゲームオタクでしてね、こういう展開は大興奮ですよ」

「…荒川さんってオタクなんですか?」

 

 大神さんの影から白上さんがそう言ってきた、やはり先ほどのいじりが効いているのか少し距離がある。

 

「そうですよ、アニメとかゲームが大好きです」

 

おっと白上さんの目が輝き始めましたね。

 

「あの!! 荒川さんの世界ってどんなアニメとかあるんですか!?」

「お、もしかして白上さんもアニメとか好きなんですか?」

 

というかこっちの世界にもアニメとかゲームのオタク文化ってあるのか。

 

「はい!!」

「それも結構重度のね…」

 

大神さんが呆れたように呟く。

 

「当主様は一応程々にはしとけとは言ってるんだけど、それ以外の周りの人がね…、『次期当主が俗物に染まるとは何事だ!!』みたいな感じで」

 

 「あー、成程それはそれは…」

 

 なんとこの白上フブキさんの一族は、結構大き目な神社『シラカミ神社』を管理、運営しており、この付近、今から行こうとしている街とかでも知らない人などいないレベルでの凄い一族だそうで、白上さんはその次期当主、大神さんはその白上一族を補佐する一族らしく、大神さんと白上さんは幼馴染らしい、というのを先ほど出る時に教えてもらった。

 ちなみに俺たちが出てきた建物もその大きな神社だった、ぶったまげた。

 

「ミオだってアニメとゲーム好きじゃん!!」

「そりゃあ、フブキに見せられたりしてたから好きになったけど、フブキほどじゃないよ…」

「ちなみにこっちの世界のアニメってどういうのがあるんですか?」

「聞きたいですか!!」

 

 良いでしょう、お教えしましょう!! と言わんばかりに目を輝かせて早口で迫ってきた。こういうオタクの反応っていうのは世界変わらずに一緒なんだなぁと思った荒川君です。

 というか白髪獣耳オタク美少女とか属性モリモリでおもろいな。

 

 

 

 街のイメージはなんというか色々な世界観が混ざってるような感じだ。主だった建物はヨーロッパ風、だが所どころ日本にあるようなビルだったり武家屋敷もあったりした、一応区画で街並みも変わるらしい。

 

「で、ここがこの街の役所だよ」

 

白上さんのオタクトークを延々と聞きながらたどり着いたのはヨーロッパ風の街並みの区画にある大きな建物だ。

 

「もう着いちゃいましたか、まだ話し足りないこととかあるんですけど…」

 

白上さんは少し不満そうな顔でそう返した。

 

「一生喋りますやん」

 

いや、マジで一生喋っとる、俺もちょくちょくアニメとかの話をしたがほぼ一方的に白上さんのターンだったわ。

 

「え、そんなこと無いですよ」

「いやいやいや」

「いやいやいや」

「もう、二人とも何やってるの、早く行くよ」

 

白上さんといやいや合戦してると大神さんに急かされたのでとっとと役所に入りましょう。

役所に入り、迷い人専門の窓口に行ったところ待ってる人はいない。元々月に1、2人ぐらいだからだろうな、これならスムーズに行きそうだ。

 

 

 

 役所では色々申請をした。まず、迷い人である申請、これは例の手紙を証拠として出したところスムーズに申請が通った。そしてこの世界における戸籍、そして追加で寝泊まりする住居も用意してくれるそうだ、こんなにも保障が効いてるのは助かる。

 

 ただ住居に関しては今月は大丈夫だが、来月から家賃が発生するので長居する場合お金が必要だ。働かないといけないのか…

 

 そしてその住居の場所だが住所を聞いたところ白上さんが知っているらしいので案内してもらう事になった。どうやら近くに知り合いのバーがあるらしい、バーを運営してる知り合いってどんな人だよカッコイイじゃねぇか…。

 

「あ、ここだね」

 

 白上さんに案内された場所のアパート、ヨーロッパ風の区画にあるからか見た目はそれっぽい。寝泊まりが出来る宿があるだけで十分すぎる。

 渡された鍵で部屋に入りその内装を見る、家具は一通りあり、寝具もある。

 

「…なんというか、保障が凄すぎません? 正直雨風しのげるだけで十分だったんですけど」

「あはは、確かに、ここまで色々してるとは流石に思わなかったな…」

「確か今のこの街の偉い人が色々と迷い人のサポートを充実させたらしいですよ」

 

 はえー、助かる。偉い人ありがとうございます。

 

「と、結構良い時間になりましたね」

 

 白上さんがそう言う、確かに上にあった太陽もだんだん下がってきていて今はほぼ夕方だ。

 もうすぐ夜、そう実感したからだろうか、俺のお腹が空腹を訴えてきた。

 

「せっかくなんでご飯も一緒に食べましょうよ、さっき言ってたバーなら食事も出してくれますし、行きませんか?」

 

 お、自然な流れで食事を誘う白上さん、さては陽キャの一族だなテメー。と断る理由もないのでそのバーに向かうことになった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「BAR ROBEL。ほへぇ、本当に近い所にあるのな」

 

 アパートから徒歩5分程、そのバーはちょっと見えにくい隠れ家のような所にあった。 カッコイイな、隠れ家みたいなバーとか俺の厨二心が刺激される。

 

「うちも初めて知ったよ、フブキはよく知ってたね」

「大神さんも知らなかったんですか」

「うん、フブキはいつの間にか知り合い増やすからねぇ。ここのバーの人とはどうやって知り合ったの?」

「オンラインゲームでちょっとね、ささ、入りましょう」

 

 そう言い、白上さんはバーの扉を開け、店に入った。俺と大神さんはそれに続いた。

 

「いらっしゃいませー、ってフブキさんやないか、久しぶりー」

 

出迎えてくれたバーのマスターさんは明るい茶髪のカッコイイ大人な人だった。

店内は想像通りのバーのような感じでカウンターがあってその後ろには色々なお酒のボトルが沢山並べられてあり、店内にはジャズなBGMが流れていてとてもお洒落だ。

 

「久しぶりです、ロベルさん、三人なんですけどいけます?」

「お、今日は友達連れてきてくれたんやね、大丈夫よー」

 

そう言うとマスターは俺たち三人をテーブル席に案内してくれた。

 

「改めて、このBAR ROBELを経営してる夕刻ロベルって言います、ロベルでもロベっさんでもマスターでも好きに読んで下さいな」

 

名前は夕刻さんと言うらしい、喋りのイントネーションが関西弁っぽく特徴的だな。

 

「うちは大神ミオって言います、よろしくお願いします、ロベルさん」

「荒川虎太郎です、趣味は人間観察です、よろしくです」

「ミオさんに虎太郎君やね、よろしく、人間観察とかこれまた変な趣味やな」

「誰ですかそんな変な趣味持ってるやつは」

「自分がそう言ったやんけ!!」

「そんな馬鹿な」

「分かったで、今の一瞬で君がどんな奴か分かったで」

「ははは、そんな程度でこの俺が理解できるとか」

「フブキさんにミオさん、この子はいつもこんな感じなんか?」

「実は今日出会ったばかりなんですよ」

「おっと、意外と短いな」

「まあ、会った時からこんな感じだったけどね」

「ところで何かオススメのメニューとかあります? お腹空いてて」

「自分本当にマイペースやなぁ、まあオススメ… せやな、ミートボールパスタとかどうや? ついでにお酒は…」

「お茶で!!」

「うちまだ飲めないのでソフトドリンクで」

「俺もまだ18なんでジュースでお願いします」

「バーに来て誰もお酒飲まんのか… ま、ええや、ていうか虎太郎君は18なら飲めるやろ」

「え、こっちだと18で酒飲めるんですか?」

「うん? こっちってどっか遠い所から来たんか?」

「あ、自分迷い人らしいっす」

「軽いな!! さらっと結構重要そうなことを軽く言うな!!」

「ついでに絶賛仕事探し中です」

「マジで!?」

 

 夕刻さんが目を輝かせながら手を掴んできた。

 

「近いです」

「いやー、今実は一人でこの店やるのしんどくなってきてさ、バイト募集しようと思ってた所なんよ」

「近いです」

「虎太郎君、接客系の仕事経験は?」

「1年ほどありますけど」

「採用!!」

「近いです」

「あの、注文は…」

 

 ほら大神さんが困ってるぞ、だから手をどけてとっとと飯を作ってくれ。

 

「ああ、ごめん、すぐ用意するから待ってて、虎太郎君はマジで考えといてな」

 

 そう言って夕刻さん、いやマスターで良いか、マスターはカウンターに戻っていった。

 

「一日で家と職をゲットしたぜ」

「荒川さんって結構神経が図太いですね」

「うん? それって褒めてる?」

「はい、褒めてます」

「なら良いや」

 

 その後はマスターが運んできた食事を食べながら他愛無い話をした。白上さんとも最初はあんな出会いだったけど割と仲良くなったように感じる。うーん、異世界悪くないな。

 

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