NEWGAME P.S!!   作:しゅみタロス

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CHAPTER9  親愛なる隣人に愛を込めて

デバック班

 

カタカタカタカタ

 

バイト1「今日でこの仕事も終わりだね」

バイト2「心臓に悪い仕事だったよ~」

バイト3「名倉さんとの仕事、慣れたらちょっと寂しいかも?」

バイト4「ねねちゃんはこの10日間どうだった?」

ねね「時間感覚が歪むぐらいの衝撃だったよ……」

バイト3「マジでそれ!!」

バイト4「しっくりくるね、その言葉」

 

コントローラーを手に仕事を続けながらも思い出話に花を咲かせる中、デバック班にあの足音が近付いてくる。

 

名倉「全員、コントローラーを止めろ」

全員「「「「「はい!!」」」」」

 

声を揃えてコントローラーを置くと名倉は話を始める。

 

名倉「雌犬諸君、この10日間よくデバックプレイの仕事に尽くしてくれた。お陰で改善点や不要な物を排除する事に成功した。

 

よって、お前たちは用済みだ。ここで死んでもらおう!!」

 

ガシャッ!!

 

全員「「「「「ヴェアアアアアアアアアアアアア」」」」」

 

突き付けられたアサルトライフル、絶体絶命かと思いきや。

 

うみこ「バカタレ!!私のアサルトライフルでバイトを脅すな!!」

名倉「はいはい、これ以上はやりませんよ、ロリコン」

うみこ「阿波根だ!!」

バイト1「これ、何の漫才?」

バイト2「さあ……」

 

名倉はアサルトライフルをうみこに返却すると、真面目に話を始める。

 

名倉「てなわけで、現時刻を以ってバイト契約は終了、各自、荷物を持ってこのイーグルジャンプからは解雇だ。好きなようにすればいい、ご苦労」

 

全員「「「「「ありがとうございます!!」」」」」

 

こうしてメンバーが帰って行く中、ねねは浮かない顔で出ていこうとする。

 

ねね(名倉さんの事は結局何も掴めなかったな……)

 

すると後ろから……

 

名倉「お前だけをみすみす帰すと思うか?」

ねね「ヒッ……」

 

目の前で待ち構えていた名倉がねねの腕を掴む。

 

ねね「ちょっと、どこへ……」

名倉「俺の部屋だ」

 

部屋へ案内されると、そこには青葉が座っていた。

 

ねね「あおっち!!」

青葉「お疲れ、ねねっち!!」

名倉「青葉の友人と聞いてな、ちょっとお前には用があったんだ」

ねね「と言うと?」

 

名倉はねねにコーヒーの缶を差し出すと話を始める。

 

名倉「青葉が心配でここに来たんじゃないのか?主に俺の事で」

ねね「そ、それは……」

青葉「安心して、話してくれればいいよ」

 

ねねは自分の本心を伝えた。

 

ねね「最近のあおっち、一緒に居てもなんか疲れてそうで。話を聞くと何か悪い大人の人に振り回されてるんじゃないかって、もしかしたら凄く辛い事我慢してると思って不安だったんだ。だからそれを調べるために……」

 

名倉はコーヒーを飲み終わると答えを返す。それは……

 

名倉「興味ないね」

ねね「え?」

名倉「俺は自分がベストを尽くしてゲームを生み出すのが仕事だ。その為なら手段も人間の私情もなりふり構わず利用して当然だ」

ねね「ええッ!!」

名倉「世の中はゲームと同じだ、少しでも判断を誤れば一気に堕ちる所まで堕ちる。俺が青葉に教えてるのはそんな世界で生き残る術だけだ。だから青葉の身の回りの解釈や意見など俺には興味ない。

 

信じるなら俺よりも俺が強くしてやった青葉を信じてやれ」

ねね「名倉さん……」

青葉「私を信じてよ、ね♪」

 

ねねはようやく名倉の本質を知り……

 

ねね「名倉さん、ありがとうございます!!」

名倉「ようやく理解したか」

 

互いに笑い合い、ようやく分かり合えたのだった。

 

すると名倉は……

 

名倉「それじゃあ、誤解も解けたし仕事に入ろう、ねねも参加してもらう」

青葉「またゲームですか?」

 

名倉「ちょっと変わった趣旨の話でな、イーグルジャンプじゃなくて上層部からの話だ」

 

すると名倉は引き出しから取り出したのは……

 

青葉「映画のDVDですか!!」

 

その映画は青葉たちが驚くべき物だった。

 

名倉「上層部から今度PS4向けにスパイダーマンの新作ゲームを発売するだろ?」

ねね「まさか、Marvel`s Spider-Man!!」

 

ねねは眼を輝かせて飛びつく。

 

名倉「おーっと、飛びつくのは良いが話は座って聞こうな、それじゃあ、経緯を説明するとそのスパイダーマンの新作ゲームのアドバイザーとしてこの間開発本部に世話になっていたんだ」

青葉「開発本部ってPSスタジオ!!」

名倉「その通りだ」

 

名倉は2本目の缶コーヒーを開ける。

 

名倉「俺はかつてPSハードでスパイダーマンのアクションゲームを全てプレイしている身だ、PSスタジオで実際に新作をプレイしたときの印象は最高のモノだった。本当は色々語りたいが開発中のモノだから上層部との機密保持の関係で話せないがな」

 

青葉「じれったいですよ~、そんな贅沢な仕事やってたなんて……」

ねね「名倉さん、案外某電機企業に信頼されてるんですね……」

名倉「一応、俺の上司だし、そこの雇われだからな。実際良い様に使われてる気がするが相手を逆に利用するのも俺のやり方だ」

 

改めて名倉の凄さを理解するねね、名倉はDVDを開けるとPS4にセットした。

 

名倉「これが上層部の仕事、4Kで蘇ったアメイジングスパイダーマン2部作だ」

青葉「アメイジングスパイダーマン2、エレクトロで有名なスパイダーマンの第2シリーズの2作目ですね」

 

名倉は机の下から3つのカップを取り出す。

 

名倉「この映画を見ながらコーラとポップコーンを嗜む、それが俺達の仕事だ」

青葉・ねね(ただ遊びたいだけだよね……)

 

仕事かどうかはさておき、3人は映画観賞を始めた。

 

前半1

青葉「私この映画で電気ウナギがトラウマになったんだよね……いつ見てもショッキング……」

 

前半2

ねね「この街中での戦いで車背負うシーン凄いカッコいいなあ」

 

前半3

名倉「ハリーとの歪んだ関係、悪くない」

 

中盤1

青葉「ハリーがエレクトロを解き放った!!」

 

中盤2

ねね「発電所で戦い、凄い事になってる!!」

 

中盤3

名倉「グウェンに助けられたな、だが……」

 

終盤1

青葉「ハリーがグリーンゴブリンに、グウェンが危ない!!」

 

終盤「あああああ、グウェンが死んじゃった!!」

 

終盤3

名倉「何度も見たがこれだけは解せんなあ、墓の前のピーターが精神にクるぜ……」

 

 

最後まで見終わると同時に名倉はコーラを飲み干した。

 

名倉「なあ、お前ら、スパイダーマンが世間から認められたのは何故だと思う?」

青葉「あんまり、考えた事無かったね……」

ねね「普通にカッコ良くて面白いから?」

名倉「それだけじゃない」

 

名倉は暗くなった空を見上げながら告げる。

 

名倉「不可能を可能にした技術だ、技術無くして大成は成せない、世間はそういう新しい何かを取り込んで日々進化してる。スパイダーマンはそれを示した存在だ」

 

名倉は青い缶ドリンクを二本手に部屋を出る。

 

名倉「俺はまだやる事があるから帰れない、お前たちは先に帰っていいぞ」

青葉「はい、お疲れ様でした」

名倉「ねねも元気でな」

ねね「はい、お世話になりました」

 

帰って行く二人を見送るとしずくの元へ向かう。

 

しずく「何か用かな?」

名倉「そろそろ上層部が文句言って来るんじゃないかと思ってな」

しずく「PSスタジオからしてみればこの会社は君にとってつまらないと思うのだが……」

名倉「おいおい、随分な言い草だな。ここをクソ移植の劣化ゲー量産してゲーマーから見捨てられた某ノーツ企業と一緒にされたくないな」

しずく「もっともな意見だ」

 

青い缶ドリンクを開け、それを喉に流し込むとしずくは名倉に聞く。

 

しずく「話は聞いたよ、いずれはここを離れるんだよね?」

 

 

 

 

 

 

名倉「ああ、潮時さ」

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