NEWGAME P.S!!   作:しゅみタロス

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CHAPTER11 思い出の中で、じっとしていてくれ。

 

24年前 大手電機企業

 

健「あなたの会社のゲーム機にディスクドライブを?」

 

渡された企画書に眼を通す阿良々義健(あららぎたける)とその開発チーム。

 

目の前に座るN社の人間は柔らかな口調で告げた。

 

N社役員「あなたたちの技術を借りて新世代の3Dゲーム機の開発を行いたい、その為のディスクドライブだ。その名もNPS計画。どうです?やってみませんか?」

 

健「それなら是非とも力を貸しましょう!!」

 

ゲーム事業を主とする花札メーカーと大手電機企業によるゲーム開発、当時としては異例中の異例とも言える事業だったが互いに後のゲーム事業を支える事になるのだが……

 

それは一人の男の復讐劇の始まりだった。

 

健「こっちのケーブルもっと持ってこい」

社員1「データシステム組めましたよ!!」

社員2「試作品のデータ見せてくれ」

社員3「フォーマットどうします?」

社員4「こっちにパーツ持って来いよ」

 

工場の技術者一丸となっての作業、健はこのプロジェクトに希望を見出し、寝る間も惜しんでの仕事だった。

 

 

 

 

 

そして、あの出来事が起きてしまうのだった。

 

 

健「NPS計画が白紙!!」

 

社長室に呼び出された健は事を聞いて狼狽える。

 

社長「突然の事で済まない、今さっき会議でN社が我々との計画に重大な契約違反があった事を突き付けられた」

健「一体、何が……」

 

社長は少し苦い顔で告げる。

 

社長「この計画はN社が他のゲームメーカーに対する牽制の意味があった、そうすることで必然的にほとんどのゲームはN社がライセンスを取得することになる。だがそれは同時にN社がゲーム事業の独占を意味し、わが社はその事を不服とする役員が現れたんだ。

 

これはわが社を利用した売名だとね」

 

健は全身から汗を拭きだしながら事の真相を知り、愕然とした。

 

それから何も考えられなくなった健は一人休暇を取った。

 

一人、ラーメン屋で醤油ラーメンを啜っていると横にいる一人の若者が自社の音楽プレーヤーで曲を聞いていた。

 

健「君、良い物使ってるね」

隣の客「ええ、音楽とかはやっぱりこの会社に限ります、この先時代が進むならもっと新しいモノ、見てみたいっスね」

 

健はその隣の客に聞いた。

 

健「その会社が、ゲームを作ったら……面白いと思うか?」

 

隣の客「ゲーム?あの会社がゲームってそれ絶対おもしっろいじゃないですか!!N社だって負けませんよ!!」

健「本当か?」

健「マジっすよ!!」

 

健はこの若者との会話を聞いて、心に力が宿る。

 

健(そうだ、ここで悔やんではいけない、N社に今後負けるようなら、その前に一矢報いてからじゃないと……

 

技術者として……今後一生後悔する!!)

 

健「君、餃子食べるか?話のお礼に奢るよ」

隣の客「良いんスか?じゃあ」

 

 

 

数日後、役員会議。

 

ガチャーン!!

 

役員1「なんだ!!」

役員2「君は健技術主任、何をしに来た!!」

 

鬼気迫る顔で現れた健は社長の前に立ち、一礼する。

 

健「社長、無礼を承知で申し上げます。NPS計画の一件、この私に是非とも新プロジェクトとして、資金援助と事業化をお願いした上で、一任させて頂きたい」

社長「ほう……」

 

役員1何を血迷ったか!!あのN社の持ち込み計画の再始動だと?冗談もいい加減にしろ!!」

役員2「第一花札屋に対抗してゲームを作ったところで何のメリットがある?」

役員3「我々とこの会社に恥をかかせる気か?」

役員4「君は頭を冷やした方が良い、恥を知れ!!このバカ技術者!!」

 

健「私の事は何と呼ばれても良い、だが、ここで手を引けばあなた達は負け犬になり下がる!!」

役員3「何を言うんだ!!」

 

健は役員に突きつけた。

 

健「本当にこのままで良いんですか?!ここで諦めたらこの会社は一生世界の笑いものですよ!!一企業がリスクを負わないでコソコソやるぐらいならそれは間違いだ、技術者と1万人の社員の事を考えろよ、バカ野郎!!」

 

役員4「言わせておけばぬけぬけと、お前は今日で……」

 

社長「待て」

 

社長は肘を立て、健に聞く。

 

社長「このプロジェクト、本当に君は成功すると踏んだ上での物申しだろうね」

 

健「私はこのプロジェクトを誰よりも信じています、ゲーム事業は今後大きなビジネスジャンルになり、この会社をより大きくするでしょう。

 

これで失敗するなら、その責任は自分でケジメをつけます。これがその証拠です」

 

健は辞表を見せる。

 

社長「do it(やってみろ)!!」

 

役員全員「!!!!」

 

社長「君がそこまで言うのなら、私は君の挑戦に賭けてみよう。私も地獄まで付き合ってやる」

 

健「ありがとうございます」

 

 

 

 

 

名倉「こうしてPS1が生まれ、後に俺達のゲーム業界がN社とM社を含めたゲームメーカー3巨頭として名を馳せる事になったのさ」

 

青葉「凄い生々しい話ですね……」

ゆん「ちょっとしたドラマみたいやわ……カッコエエなぁ……」

はじめ「それでその健さんはその後どうなったの?」

青葉「流石にもう結構な年齢ですよね?」

 

名倉は煙草を取り出し、火を付けると再び語り始めた。

 

名倉「阿良々義健は現在家庭を持ち、大手電機企業で重役になってる、そしてその際生まれた息子に渡した最初のゲーム機がそのPS1オリジナルさ」

 

青葉・ゆん「成程……」

 

するとはじめはある矛盾に気付く。

 

はじめ「え?ちょっと名倉さん、何で健さんの息子さんが持ってるはずのPS1オリジナルを持ってるの?明らかにおかしいよね?」

青葉・ゆん「あッ!!」

 

名倉「クククッ、本当に面白い奴らだな」

 

名倉は腹の底から湧き上がる笑いを堪えながら告げた。

 

 

 

それは恐るべき事実だった。

 

 

名倉「そう、名倉マークは俺のゲーマーネーム、

 

俺の名は阿良々義界時(あららぎかいじ)、正真正銘阿良々義健の息子だ」

 

青葉・ゆん・はじめ「え……?

 

えええええええええええええええええええええ!!!!!」

 

その事実に驚愕する3人、名倉はその反応を待っていたと言わんばかりのドヤ顔をした。

 

青葉「じゃあ、PSシリーズの開発者一族の人だったんですか?!」

ゆん「マジありえへんわ……」

はじめ「でも何で技術者じゃなくてEスポーツゲーマーになったんですか?」

 

名倉「残念だが俺は人生ソロプレイでやって来たからな、その過程で親父から自分の真似事はするな、自分の肯定した物だけをやれって言われたのさ、

 

だからEスポーツは性に合ってた、敵と味方しかいないシンプルイズベストな世界だったからさ」

 

言葉を聞いた青葉は返す。

 

青葉「肯定できる人間性を持て、それって健さんの言葉が語源だったんですね」

ゆん「なるほど、そう言うことだったん?」

 

名倉「少なくとも洞察力は青葉の方が磨きがかかってるな、だがこれでお前たちに教える事も無くなると名残惜しい」

青葉「名倉さん?」

 

名倉は煙草の火を消すと、重々しく告げた。

 

名倉「お前らに伝えなきゃいけない事がある」

青葉「一体何が……」

 

名倉「今日親父の話をしたのは他でもない、少しでもプログラマーとしてマシな人間になってもらう為だ、

 

 

来月10月のフェアリーズストーリー3の発売を以って、俺の新部署への異動が決定した」

 

ゆん・はじめ「え!!」

青葉「それってまさか……」

 

名倉「もう、イーグルジャンプには居られないと言う事だ」

 

青葉「そんな……」

 

愕然とするメンバー、月が怪しく笑う。

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