NEWGAME P.S!!   作:しゅみタロス

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CHAPTER2 飲み会か、楽しみすぎて狂っちまいそうだ。

入社してから2日、青葉は電車を乗り継ぎ、会社へと向かっていた。

 

青葉「今日も一日、がんばるぞい!!」

 

意気揚々とエレベータに乗り、オフィスに向かうが……

 

青葉「ってあれ?開かない?」

 

青葉は何度も距離を取っても動かない扉に青葉は困惑するばかりだった。

 

そんな立往生をする青葉の後ろから何者かが近付いてきた。

 

ピッ!!

 

ゴウゥゥゥゥ

 

青葉「あ、空いた!!」

名倉「思った通りだ、お前の事だから入口のシステム何も知らないと思ってな」

青葉「名倉さん!!」

 

手に大量の紙袋を持った名倉は青葉に話を始めた。

 

名倉「このオフィスの入口は自動ドア方式じゃなくてカードキー方式だ、特別な理由がない限りこのオフィスは入れないからな」

青葉「そう言えばりんさんも入る時何かカード使ってた様な……」

 

青葉のリアクションに少し笑いを感じつつも名倉は胸ポケットからカードを取り出し……

 

ブスッ!!

 

青葉「ひゃあッ!!」

 

青葉の胸に谷間に突き刺した。

 

名倉「おお~案外18にしては中々だな」

青葉「いいい一体何を挟……え……」

 

胸から引き抜いたカードを見るとそれは青葉の名前と写真の付いたカードだった。

 

名倉「お前の社員証だ、カードキーも兼ねてるからそれで中に入れる。紛失したら紛失届を八神に出せば再発行できるけど無くすんじゃねぇぞ」

 

すると青葉は顔を真っ赤に染めながらキレた。

 

青葉「作って渡してくれてご丁寧に説明まではありがたいですが……

 

何も渡し方ってモノがあるでしょう!!いきなり未成年の胸にカード突っ込むとかセクハラですよ!!以前も壁ドンの挙句セクハラ発言な冗談も言ってますからね!!」

 

名倉「直に肌に触れた訳でもねえのにギャアギャア喚くな、思春期も発情期もまだ卒業してないのか?これだから処女(ヴァージン)の未成年は手に余る」

青葉「しれっと何か嫌な批判してません?」

 

すると名倉は……

 

ガアン!!

 

青葉「ヴェアアアア!!」

 

突然、名倉がロッカーを蹴って道を塞ぎ、名倉は怒るように告げる。

 

名倉「セクハラ、パワハラ、モラハラ、世の中を都合のいい見方をする自己中心的な奴はハラスメントを盾に逃げるのがテンプレだ」

青葉「え……」

名倉「中にはハラスメントを笠に着て平気で人の人生を奪う奴もいる、お前もそいつと同類か?」

青葉「……」

 

突き付けられた何も返せない正論、名倉は青葉から離れると話を続けた。

 

名倉「世の中は理不尽なゲーム、お前もこの先正しくやっていくならゲームキャラの様に肯定できる人間性を持て」

 

青葉「ごめんなさい、何もわからずこんな事言って……」

名倉「言葉は不要だ、謝罪は仕事で返せ」

青葉「はい!!」

 

デスクに着いた名倉と青葉は仕事を始めた。

 

名倉「それじゃあ、フェアリーズストーリーについて軽く話そう」

青葉「はい」

 

名倉「そもそもフェアリーズストーリーはかのJRPGの一つ、テイルズオブシリーズの影響で生まれたシリーズだ」

青葉「テイルズオブシリーズ、ファイナルファンタジーと双璧を成すJRPGの代表作ですね」

名倉「フェアリーズストーリーは当時PS3で販売されたテイルズオブゼスティリアの歴史的失敗によって生まれた所要代替シリーズ、ゼスティリアによって崩壊したテイルズの人気を維持するために大手電機企業の出資の元作られたシリーズだ、1作目は良かったが2作目はハードルが高く、ゼスティリアの失敗を恐れたが為に開発は停滞期を迎えていたのさ」

 

ここで青葉は気付く。

 

青葉「じゃあ、その頃に入社したのが名倉さん?」

名倉「そうだ、そしてフェアリーズストーリーの真の意味での終わりはテイルズオブシリーズが復権したその時だ。PS4の最新作でゼスティリアの続編であるベルセリアの成功で徐々に人気が戻っている今、俺のこの仕事に残された時間は僅かだ。だからこそ俺はパワハラやセクハラと言われようがこの仕事には正しい俺でありたい、言葉より信頼に値するのは自分を顧みない行動と意思だけさ」

 

青葉はこの時気付いた、名倉の行動や言動は身勝手ではなく、自らの正しさに従って行動している事、青葉はこう呟くのだった。

 

青葉「カッコいい人だ……」

 

名倉も青葉の気持ちを察しつつ棚を探り始めた。

 

名倉「それじゃあ、さっきの言葉通り、お前も行動で示せ」

 

そう言うと名倉が青葉に手渡したのは……

 

青葉「え……

 

ええええええ!!ゼスティリアのPS3ソフトおおおおおお!!」

名倉「国内当時のオリジナルディスクだ、こいつを4時間キッチリやってもらう」

青葉「あれだけ酷評されてるゲームを人に勧めるんですか?」

 

名倉はヘッドホンを被ると、ニヤリと笑う。

 

名倉「失敗から学ぶことは多い、一人前になりたきゃ失敗から目を背けるな、いいな」

 

こうして青葉はゼスティリアを4時間キッチリやったそうな。

 

PM7:00

 

八神「名倉、そろそろ行くぞ」

名倉「お‼飲み会か、楽しみすぎて狂っちまいそうだったぜ」

青葉「えっ!!飲み会!!何も聞いてないけど!!」

名倉「敢えて伏せていたのさ、青葉の歓迎会」

青葉「おおおお~」キラキラ

 

名倉(やっぱこいつのリアクション面白いな……)

 

 

そして……

 

青葉「おお~」

 

テーブルを支配するのは巨大な牛肉の揚げ焼き、骨付きのソーセージの鉄板焼き、キャベツのピクルスと思われる千切り、白アスパラのサラダと小さいパン。

 

見た目もどこか異国の雰囲気を感じられる店内に青葉は眼を輝かせる。

 

名倉「ここは俺行きつけのドイツ料理の酒場だ、まあ俺がドイツのクラフトビール以外飲まないのもあるがな」

ひふみ「寧ろ名倉君は同じ物しか口にしないからでしょ」

八神「まあ、そういうのは置いといて、青葉、入社を祝って……

 

カンパーイ!!」

 

全員「カンパーイ!!」

 

牛肉を切り分ける中、横で二人が声を掛ける。

 

はじめ「青葉ちゃん、仕事では一緒だったけどこうして話すのは初めてだね」

ゆん「何か不思議やわぁ、初めてやのに普通に感じるの」

青葉「えっと……」

 

はじめ「それじゃあ改めて、私は篠田はじめだよ、よろしく」

ゆん「飯島ゆん言います、仲良くしたってや」

青葉「よろしくお願いします、はじめ先輩、ゆん先輩」

はじめ「別に先輩って呼ばなくていいよ」

ゆん「ええよ、好きに呼んでも」

青葉「それでしたら、さん付けで呼ばせてもらいますね」

 

そんな3人から目を逸らしながら、ビールを飲み進める名倉。

その横でひふみは名倉の服をつまむ。

 

名倉「何か用か?」

ひふみ「さっきから黙ってばっかりだったから、何考えてるのかなって?」

名倉「なぁに、ただただ感慨深いだけさ、あいつらが先輩の立場にいるのが」

 

するとひふみは名倉の肩に寄り掛かり、不意打ち気味に呟く。

 

ひふみ「嘘つき……」

名倉「お節介」

ひふみ「……」

 

二人が醸し出す謎の空気感。

 

青葉「あ、あの……」

 

名倉は若干得意げにとてつもないジョークを繰り出す。

 

名倉「イイ女だろ、俺がホテルで何度もヤった女だ」

青葉「びゃあああああ!!」

ひふみ「ちょ……名倉君!!」

八神「ひふみんいつの間に!!」

りん「何度もってそんな……」

ひふみ「違う、違うから!!」

 

するとひふみは、まるで威嚇するネコのように羞恥に染まった顔で名倉を睨んだ。

 

名倉「アハハハハ!!やっぱ、ひふみのリアクションマジ面白ぇ、こいつは傑作だ」

ひふみ「こ、この傍若無人なエロサディストゲーマー!!」

 

パァン!!

 

 

 

あれから2時間後

 

名倉「ビールおかわり」

 

全員はしゃぎ過ぎたのか完全に眠っており、名倉と八神だけが飲み続けていた。

 

八神「随分と強くやられたな、顔が赤く腫れてるぞ」

名倉「ほっとけ、こんなのひふみと関係続けていれば普通の事だ」

 

八神はウィスキーを飲み干すとタブレットを取り出し、名倉に見せる。

 

八神「今日の喫茶店の会談の時、お前何か投資してたよな?この投資資料、ドイツ語で書かれてるが何の資料だ?」

名倉「その資料は大手電機企業と俺の間にあるパイプを使った投資のログだ、主にフェアリーズストーリーの北米版の為のな」

八神「北米版!!いつの間にそんな事……」

名倉「あいつらのおかげで海外展開に期待できるほど、シリーズとしてフェアリーズストーリーは成功できると確信した、これはあいつらの努力が実を結んだ結果だ。だがこの投資は3作目制作以前から既に始めててこれが成功しなかった場合、投資した金は全部ドブの中、文字通りギャンブルなのさ」

 

八神は唖然とした、何故なら名倉は他人に肩入れするような人間ではない所か平気で人を利用する様な正に魔王、そんな彼が人の為に危険な賭けをしているのだ。

 

八神「どうして……」

 

名倉はポケットから煙草を取り出し、ライターで火をつけると語り始めた。

 

名倉「俺さ、このフェアリーズストーリー3の制作で入ったこいつらの事、最初は全然信じてなかったし、興味も無かった、寧ろ嫌いだったんだ」

八神「容赦なく人のプライバシーを傷つけるな、お前」

名倉「もっと言うとこいつらが俺の求める仕事を1ヶ月以内に出来なかったら完全に見限るつもりでもあった」

八神「それが人間の言うセリフかよ」

 

名倉「だが、あいつらはやってくれたぜ、俺をここまで突き動かすに値する物、俺の望むフェアリーズストーリーをここまで作り上げた、まだまだやることは多いがいずれ完成するこの作品は俺にとっての誇りだと思ってる、社員全員含めてな」

 

名倉は煙草の火を消すと立ち上がる。

 

名倉「八神、このバカ共運ぶの手伝ってくれ」

八神「やれやれ、今日はオフィス泊まりか?」

名倉「オフィスで寝てるお前が言うな」

 

青葉「ん……」

 

この時二人は気付かなかった。

 

さっきの話を青葉は全部聞いていた事、青葉は皆に対し、この事を告げるか朝まで悩む事となった。

 

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