NEWGAME P.S!!   作:しゅみタロス

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CHAPTER3 スタンバーイ・スタンバーイ。

飲み会から一夜明けたイーグルジャンプ。

 

カタカタカタカタカタカタカタカタ

 

青葉「よし」

 

出来たCGモデリングを名倉のパソコンに送ると青葉は席を立ち、報告に向かう。

 

カチッ、カチッ、

 

名倉「ふーん」

青葉「どうでしょうか?」

 

名倉はピザの箱を開けるとそれを食べ始める。

 

名倉「青葉、ピザを色覚的に見るとどう見える?」モグモグ

青葉「え、えーと……」

 

突然ピザの色について聞かれる、何故と思いつつ青葉は答えた。

 

青葉「名倉さんの食べてるピザはマルゲリータピザだから……赤、白、緑……ですね」

 

名倉はピザの二切れ目を食べ終わると話を始めた。

 

名倉「シンプルな色調は常に人の目線が遠くても認識できるが複雑な色調はそう簡単には行かない、キャラデザはパーソナルカラーをベースに2色を加えたトリコロールカラーがキャラを作るのに最も重要だ」

青葉「なるほど、3色に限定すれば確かに分かりやすい……」

 

名倉は青い缶ドリンクを手渡すとニヤリと笑う。

 

名倉「てなわけで、ゼロから全部やり直しな。頑張れよ、俺の愛玩動物(モルモット)

 

 

青葉「うう~、人を何だと思ってるんだろう?」

 

机の上で突っ伏す青葉、その横ではじめが声を掛ける。

 

はじめ「このままだと青葉ちゃん可哀そうだね……」

ゆん「ほんなら、ちょっと早いけど休憩入ろう」

ひふみ「今日の朝焼いてきたクッキーあるから食べよう、青葉ちゃん」

青葉「皆~」

 

そうして始まった仕事合間のティータイム、互いにお菓子と紅茶を嗜みながらトークを始めた。

 

青葉「ありがとうございます、お陰で落ち着きました」

ゆん「気にせんでええって」

青葉「それにしても皆さん、あの名倉さんといて平常心でいられるの凄いですね」

はじめ「まあ、あの人の身勝手は今に始まった事じゃないし、キッチリ仕事も見てくれるし決して間違ったことする人じゃないから」

ゆん「あの人はイーグルジャンプの勇者でもあり魔王やから、逆らったらあかん存在やわ、でもいない方が逆にしっくりこないんよ」

青葉「相当毒されてますね」(汗)

 

勇者であり魔王、これだけ見ると名倉さんの存在や目的は周囲に(良くも悪くも)大きい影響を与えていると自覚する。他の社員とは見ている物のスケールが全然違うのだと改めて知った青葉。

 

青葉「ところでひふみ先輩って名倉さんの事どう思ってるんですか?何か普通の関係とはちょっと違うみたいですけど?」

 

ひふみは紅茶を飲み干すと語り始める。

 

ひふみ「ダメな人……」

青葉「え……」

ひふみ「彼、ダメな人なのよ、平気で丸々一週間洗濯しないし服はいつも着っぱなしだし、部屋はポテチの袋がそこら辺中に散乱してるし、一日3食ジャンクフード。

 

だから名倉君は一人に出来ないの、私がいないと何も出来ないから……」

 

ここで3人は気付く。

 

青葉(うわあ……この人ダメ男に献身的に尽くすタイプの人だ……)

 

ゆん「そんな男よりもっとええ男いるやろ?」

ひふみ「いや、他の男性と一緒だと気が休まらないと思う、多分」

はじめ「じゃあ、なんで名倉さんはいいの?」

ひふみ「名倉君は自分の事しか考えてないから、それに彼とは同期だし、色々あったから……」

青葉「ええっ!!ひふみ先輩名倉さんと同期なんですか!!」

ひふみ「ちょうどフェアリーズストーリー2の時期に一緒に入って来た」

 

涙目で開いた口が塞がらない青葉、すると後ろから……

 

名倉「何顔芸してんだ」

青葉「な、なななな名倉さん!!」

 

名倉は親指を後ろに向けて青葉を呼ぶ。

 

名倉「お前に会わせたい奴がいる、ちょっと付き合え」

青葉「は、はい!!」

 

そうして名倉は青葉を連れて奥の個室に案内した。

 

青葉「プログラムチーム?」

名倉「おーい、連れてきたぞ、マザコン!!」

 

ガチャッ!!

 

青葉「!!」

 

突如突き付けられた拳銃に名倉は手を上げる。

 

名倉「おっと、リアルでコールオブデューティは勘弁してほしい物だな」

うみこ「だったらそのふざけた名の呼び方をやめてもらおう」

名倉「やりにくいよなあ、こういうジョークの通じない相手ってのは」

青葉「あ、あの……」

 

若干涙目でこちらに視線を向ける青葉。

 

うみこ「これは、突然驚かせて申し訳ない事をした、涼風青葉さんですね」

青葉「は、はい……」

 

少し恥じらいつつも名刺を渡す。

 

うみこ「こういう者だ」

青葉「阿波根うみこ?」

うみこ「珍しいでしょう、沖縄の呼び方なんです」

青葉「よ、よろしくお願いします」

 

名倉「挨拶は済んだか?」モグモグ

うみこ「人のソイジェイを勝手に食べないでください」

名倉「それより、あいつはどうしたんだ?」

 

名倉はソイジェイの袋を捨てるとウィナーインゼリーを開ける。

 

うみこ「人の机の食べ物を平気で食べるあなたの図太さは筋金入りですね、彼女なら別室の会議室ですよ、多分今なら話せます」

 

名倉は指の間にソイジェイを3つ手にすると個室を去っていく。

 

名倉「サンキューな、貰ってくぜ」

うみこ「あなた、人の物を……!!」

 

青葉「本当に良いんですか?勝手に食べて……」

名倉「良いさ、どうせ30本は隠し持ってるから多少貰ってもな」

青葉「だからって勝手に貰ってくのはちょっと……」

 

ソイジェイを食べ終わると次の会議室へと移動し、扉を開ける。

 

名倉「おーい、しずく、新入りだぞ」

 

しずく「やあ、こうして会うのは初めてだね、ディレクターの葉月しずくだ。よろしく、涼風君」

青葉「よろしくお願いします」

しずく「名倉君の管轄のチームは苦労が多いだろうが、君の努力を期待してるよ」

青葉「ありがとうございます、葉月さん」

 

すると名倉は青葉の肩に手を置く。

 

名倉「青葉、ちょっと席を外してくれ」

青葉「え?」

名倉「ちょっと話ずらい事話すから、要は企業秘密だ」

青葉「そ、そそれなら」

 

青葉が仕事場に戻るのを確認すると話を始める。

 

名倉「しずく、例の投資の件、うまく行ってるぜ」

しずく「それは良かった、ここまで企業に頭を下げた私に感謝してよ」

名倉「あんたに頼んでよかったよ、俺の様なただの雇われじゃあ力不足だからな」

 

名倉はポケットの青い缶ドリンクを渡す。

 

しずくカシュ「それで、フェアリーズストーリーの北米版についての話に上層部のアレが関わってるって事、皆が知ったらどんな顔するだろうねぇ?」

 

 

ドリンクの缶を投げつけ、ゴミ箱に捨てると戯言を口にする。

 

 

名倉「所詮は、俺もただのプレイヤー、この上層部の思惑ををどう俺の思い通りに誘導するか、それがこのゲームの面白い所さ」

しずく「命知らずだね、君は」

 

 

名倉「ああ、正々堂々、命をかける。

 

 

 

ゲーマーの悪い癖さ」

 

 

 

 

 

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