自称泣きゲーのモブに転生~メーカーは泣けるとかほざいてるけど理不尽なヒロイン死亡エンドなんていらねぇ!!   作:荒星

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第16話 鈍感主人公とツンデレ幼馴染ヒロイン

「あれ、悠馬? 悠馬も遅刻? というより、悠馬の家ってこっちじゃないよね?」

 

 そう言って俺を怪訝そうに見つめる男。

 

 コイツの名前は鳴神龍斗、ラスティアの主人公。

 イケメンでゲーム内のステータスも最強、そして鈍感。更にはデリカシーゼロ。   

 イラっとしてこちらが画面越しに、おい! 気づけ! 頼む、気が付いてくれ! オイ鈍感、お前が気にしないんなら俺でもいいよなぁ? そこ代われよ! と何度嫉……キレたことか。

 因みにプレイヤーに付けられたあだ名は死神野郎、だってコイツの選んだヒロインが殺されるからな!

 

「あ、あぁいや。通学路がわかんなくって」

 

「全く、しっかりしなよ。夏休み明けだからって、僕でさえ通学路忘れたりなんかしないよ?」

 

 そう龍斗が言った瞬間、彼は後ろから来た何かに吹っ飛ばされた。

 

「アンタが言うなぁぁ!」

 

 まさかこのやり取りを目の前で見れる日が来るとは……。

 

 今、龍斗を飛び蹴りで吹き飛ばしたのは上田冬香。龍斗の幼馴染で世話焼き系のツンデレヒロイン。黒髪ツインテールである。もう一度言おう、ツインテールである。ハムスターが大好きで栗きんとんが好物。冬香ルートを選ぶと、最終決戦でアスタロトの攻撃から主人公を庇って死亡。

 

「アンタも人のこと言えないじゃない! 今朝私が起こしに来なかったら、遅刻してたでしょ!」

 

 ――この頃から既に自分で起きれなくて、冬香に起こしてもらってたのか……羨ま○ね

 

「ご、ごめん」

 

「とりあえず急ぐわよ! 遅刻しちゃうじゃない!」

 

 そう言って俺を無視して冬香は龍斗と走り去っていった。ってちょっと待ってくれ!?

 

 道が分からないので急いで二人の後を追いかけ、なんとか学校まで着いた。

 

 ――朝食がリバースしそうだ……。

 

 どうやら俺と二人は同じクラスのようなので、そのままついて行き席に座ると先生が来て出席確認が始まった。

 

「四宮ー」

 

「はい!」

 

「鈴木ー」

 

「はい」

 

「あぁそうだ皆、鈴木に関して少し大事な話があるんだ」

 

 先生は唐突にそう切り出してくる。

 

「どうやら、鈴木は夏休み中事故に遭ったらしくてな。その際に記憶喪失になったようなんだ。そうなんだよな? 鈴木」

 

「えっと……そうなんです。なのでその……」

 

「ああ済まない、一応確認しただけなんだ。そういう訳だからみんな! 鈴木が困っていたら助けてやってくれ!」

 

 そうしてホームルームが終わった。

 

 

 

「さっき通学路が分からなかったのって、そういう事だったんだね。ごめん」

 

「いや、いいっていいって。俺も夏休み明けに通学路が分からないなんて言う馬鹿が居たら、絶対笑ってただろうし」

 

「その、私もごめん。てっきりただのだらしがない奴だと思って無視しちゃって……」

 

「だから気にすんなって」

 

 休み時間。龍斗と冬香が今朝の事を謝りに来ていた。

 

「でも……」

 

 俺は気にするなと言っても、冬香が尚も食い下がろうとする。

 

「あぁもう、しゃあねえな。だったら校内を案内してくれ。それでチャラだ」

 

「わかった。じゃあ私と龍斗がきっちり案内してやるわ!」

 

「そうだね……出来るだけ、悠馬がまた不自由なく学校生活送れるように頑張るよ」

 

「よろしく」

 

 そうして俺は、放課後二人に校舎を案内して貰うことになった。

 

 

 

「それでここが家庭科室」

 

「ああ」

 

「で、隣が被服室」

 

「ああ」

 

「それでその隣が……ってちゃんと聞いてる!?」

 

「勿論」

 

 現在、俺は二人に校舎を案内して貰っていた。

 

「もう、だったらちゃんと返事してよ!」

 

「アハハ……」

 

「い、いや悪い。初めて見るところばかりだから、なんて返したら良いのか分からなくて」

 

「全くもう」

 

「それにしても、悠馬変わったよね。なんていうか……前より性格荒くなった? 一人称も僕から俺に変わってるし」

 

「あー、ごめん。記憶がないから分からん」

 

「この馬鹿! デリカシーってものを少しは覚えなさい!」

 

 そう言って、冬香は龍斗の頭をはたく。

 

「いったいなぁ……お母さんみたいなこと言わないでよ。老けるよ?」

 

「このッ! 言わせておけば!」

 

「痛い痛い! ごめん! ゴメンってば」

 

 俺は余計な事を言って、つま先を踏まれている龍斗を見ながらにこやかに笑っていたが、内心では鬼のような形相で叫んでいた。

 

 ――オイ、そんなこと言うくらいならそこ代われ。ラスティアファンなら喜びのあまり穴という穴から汁ふき出して、爆死するレベルに羨ましいことなんだぞ!

 

 因みに前世では、SNSに冬香ちゃんに踏まれたいというグループがあり、1万人以上メンバーが居た。

 

 俺はそっちの意味ではなく、ヒロインと親密な関係ながら扱いが雑なコイツに不覚にも殺意が湧いただけなのである。あと嫉妬、断じてこっちがメインの理由じゃねーからな!?

 

「さて、大体案内は終わったけど。他に気になることある?」

 

「いや、特にはないよ」

 

「それじゃあ帰りましょうか」

 

「そうだね」

 

「あー……その、ちょっと虫のいい話かもしれないんだけどさ」

 

「ん?」

 

「家までの帰り方教えてくれない?」

 

 

 

 そして今、冬香に帰り道を教えてもらっていた。

 因みに龍斗はいない。冬香が一人で十分だからさっさと明日提出の宿題を、私のを写してもいいからやりなさいと言って返していた。

 

 ――宿題まで幼馴染に助けられるとか、それでいいのか主人公。

 

 その後。雑談しながら案内してもらい、遂に家まで辿り着いた。

 

「マジで助かった、サンキューな」

 

「ううん、これくらいなんともないから気にしないで」

 

「それじゃまた明日」

 

「じゃあね!」

 

 そう言って冬香を玄関の前から見送り家に入ろうとした時、冬香のくぐもった悲鳴が聞こえてきた気がした。

 

 咄嗟に振り返ると冬香が黒づくめの男に口を塞がれて、ぐったりした様子で車に乗せられるのが見える。

 

 ――クソ、トラブルが終わったと思ったらまたトラブルかよ! 俺この世界にきてまともに過ごせたの病院にいる間だけだぞ!? 勘弁してくれ!

 

 そう思いながらもバフやスキルを発動させて、冬香を誘拐した奴らの車を追った。

 

 

 

 

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