自称泣きゲーのモブに転生~メーカーは泣けるとかほざいてるけど理不尽なヒロイン死亡エンドなんていらねぇ!!   作:荒星

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第24話 覚悟

 俺は今、望月珈琲店に来ていた。

 

「ど、どうした悠馬!? 病院に運ばれたと聞いたが……」

 

「すいません茜さん、少しお願いがあって来ました」

 

 ズタボロな俺を見て慌てふためく茜に、俺は事情をかいつまんで説明した。

 

「なるほどな、その子に父親が邪神の欠片を植え付けられて、その子を取り戻すために戦って負けたと」

 

「はい、決着は俺自身でつけたいです。だけど、もし俺が死んだら茜さん。後を頼みます。どうか……どうか姉さんを助けてください……」

 

 俺が土下座しながら頼み込むと、茜は首を振った。

 

「悪いけど断らせてもらう」

 

「……そんな」

 

 しかしその直後、茜は意地の悪い笑みを浮かべ俺に言った。

 

「誰が助けないと言った。俺もついてく、場所の目星はつけてるんだろ?」

 

「決着は俺が……」

 

「わかってるよ。ただ、お前が死にそうになったら俺がそいつを倒すからな」

 

「どうしてそこまで……そもそも赤の他人の俺がこうして頼みに来てるのでさえ、凄く図々しい事なのに……」

 

 俺がそう言うと、茜は俺の頭を撫でながら言った。

 

「ったく。しょうがないな、お前。俺はもうお前を他人だなんて思ってねえよ。もう既にお前も冬香と同じく俺の弟子だと思ってる。ま、お前には別に師匠がいるから気持ち的な意味でな」

 

 俺はそれを聞き、不覚にも涙が出そうになった。

 

「ありがとう……ございます」

 

「こんなことくらいで泣くな、全く……さあ、行くぞ」

 

 

 

 

「ここが邪神の、魔神アスタロトの祭壇か。まさか教会とはな」

 

 俺たちは今魔神アスタロトの祭壇がある、古びた教会の前に居た。

 

「で、ココにあるんだろ?」

 

「はい、コッチです」

 

 教会の中に進むと、俺は講壇に付いたボタンを押した。

 

「なるほどな、道理でいくら探しても見つからない訳だ」

 

 地下へと続く階段が出現し、俺が中に歩を進めようとしたその時。

 

「おい悠馬。ちょっと待て」

 

 茜はそう言うと、俺にヒールをかけた。

 

「すいません、ありがとうございます」

 

「なに。そんな状態でSランクエンフォーサーと戦おうだなんて、見ていられなかっただけだ。気にするな」

 

 茜はそう言うと、ニコッと笑った。

 

 ――今度、借りを返さなきゃな。

 

 俺はそんな事を考えながら、茜と一緒に再び地下へと続く階段を下って行った。

 

 

 

「ホント、君は一体どうやってこちらの居場所を把握してるんだい?」

 

「さあな、日頃の行いだよ」

 

 俺は再び、魔神アスタロトの祭壇の前で浅野潤と相対していた。

 

「まさか、君が望月茜と知り合いだとは。確かに君は満身創痍とは言え、君と望月茜が二人掛かりならば分が悪い」

 

「それを言うなら俺もだよ、浅野潤。まさかお前が邪神教団の手先だったとはな。あともう一つ、俺は手を出さない。コイツは一対一をお望みの様だからな」

 

「へえ、まだ僕に勝てる気でいるのかい? 折角円華に助けてもらった命を無駄にしてまで」

 

「ハッ! 勝てねえかどうかはやってみなきゃわからねえだろ? テメエに負けたまんまなんて死んだ方がマシだね。それに言ったはずだ、俺はテメエを倒して姉さんを助け出すってな」

 

 しかし、アスタロトの祭壇に手足を繋がれた状態で姉さんは、辛そうに俺に止めるように言ってきた。

 

「やめてくれ悠馬。もう気にしなくても良いんだ、私の事は……なのにどうして……」

 

「そんな事出来るわけねぇだろ!?」

 

 俺は姉さんに向けてそう叫ぶと、その後笑顔を向けて言った。

 

「そんな状態の姉さんを見捨てるなんて出来るわけないだろ? 姉さんは俺の大切な家族だ。姉さんが居ない夕食はクソまずかったし、姉さんが居ない家は静かすぎて嫌だ。ここ何日かは、心にぽっかり穴が空いたみたいだった。もう俺の日常には姉さんが居るのが当たり前なんだよ。だから諦める訳なんてないだろう? 絶対に俺は絶対に姉さんを助け出して、俺の日常を取り戻す。だから姉さんはそこで待っててくれ」

 

「悠馬……」

 

「話はもう終わったかな? 僕ももう我慢の限界だ、円華には悪いがここで君を殺すよ」

 

「待ってくださいお父様!!」

 

「大丈夫、心配しないで姉さん。今度は負けないから」

 

 俺はそう言いながら、ムラサメとムラマサを抜いた。

 

 ――チッ! 想像していたよりも辛いな。

 

 ムラサメは呪われており、適切な装備や解呪しないとペナルティとして、所有者は毎分最大HPの40%のダメージを受ける。そしてムラマサは所有者の血を吸い、少量のダメージが継続で発生し常に苦痛を伴う上に、所有者は一定の確率で行動がキャンセルされる。

 

「時間が無い。さっさとケリをつけるぞ」

 

「それは僕のセリフだよッ!」

 

 浅野潤はそう言いながら前と同じように肩から力を抜いて剣をだらりと下げ、次の瞬間には猛烈なスピードで俺に迫ってきた。

 

 ――だが!

 

 俺は前とは違い、しっかりと振るわれた剣を視認してはじいて防御し、返す刃でレイスラッシュを放った。

 

「へぇ、確かに昨日とは違うね。その武器のおかげかな」

 

 ――流石はSランクエンフォーサー、見ただけでお見通しか。

 

 ムラサメとムラマサは、途轍もないデメリットがある代わりに、全てのステータスに絶大な補正が掛かる。その上、装備時のみ使える専用スキルまである。

 

「さぁなッ!」

 

 そう言いながら、俺はムラサメ専用スキルの疾風迅雷を使った。

 

 そして、疾風迅雷で上がったスピードで浅野潤へと刃を振るう。

 

「グッ!? やるじゃないか!」

 

 しかし俺が疾風迅雷のお陰で、常人離れした凄まじいスピードで動いているにも関わらず、浅野潤は喰らいついてくる。

 

「僕からも行かせてもらうよ!」

 

 浅野潤は何かのスキルを発動させる。

 俺のステータスは強化されていて、動体視力もそれに伴い上がっているにも関わらず、浅野潤は俺が目で追えるギリギリのスピードで青く光る刃を振るった。

 

「ソニックスラッシュか!」

 

「ご名答!」

 

 そして俺が苦痛にに耐えながら鍔迫り合いに入ったその時、一度目のムラサメによるペナルティが襲う。

 

「ガフッ!?」

 

 血反吐を吐き、あまりの激痛に意識を手放しかけて膝から崩れ落ちそうになるが、無理やり耐えた。

 

「フフッ、やはりそれは呪われた装備か。禍々しいオーラに脈打つ刀、そうだとは思っていたが。ためらいなく装備していたから違うのかと思ったよ。さあ! 君はいつまで持つかな!?」

 

 浅野潤はそう言うと、更に力を込めてきた。

 

「呪い? だからなんだ! 俺はココに死んでも姉さんを助ける覚悟で来た!! テメエ如きに負けてたまるもんかよ! 俺を舐めるなァ!」

 

 俺は鍔迫り合いのままパワースラッシュを発動させ無理やり押し切ると、息をつかせる暇を与えず剣を繰り出し続けた。

 

 一度目、右の刃を下から斜めに振るうがはじかれる。

 

 二度目、右手をはじかれたまま、左手の刃を真上から振り下ろすが剣で防がれる。

 

 三度目、はじかれた右腕を戻し、左手の刃を剣で防いだままの浅野潤に突きを繰り出すが、体を捻る事で避けられる。

 

 四度目、両手の刃を左から全力で薙ぎ払うように繰り出し、浅野潤を吹き飛ばす。

 

「グッ!?」

 

 五度目、吹き飛んだ浅野潤に宙を駆けて追いつき、居合切りの様に両手の刃を交差させるようにして下から切りつけ、浅野潤は咄嗟に剣で防御するが、衝撃で手から剣が離れた。

 

「なッ!?」

 

 六度目、無防備になった浅野潤に、先程下から切りつけて振り上げたままの両手の刃をそのまま交差させて振り下ろし、前と同じように防御系スキルを発動させてガードしようとし、構えた両腕を切り飛ばす。

 

「グアッ!」

 

 七度目、今度こそ防御手段が無くなった浅野潤の体をムラマサのスキル、紫電一閃を発動させて両手の刃で貫いたその時、浅野潤の体から黒いオーラが出てきた。

 

「グッ、ガハッ!?」

 

 浅野潤は血反吐を吐いた後、俺に貫かれたままで口の端から血を流しながら不気味に笑う。

 

「ククク、予想外だよ。まさか君にコレを使わされるとは」

 

 ――来たか。

 

 俺は体に突き立てた刃を引き抜き、後ろに跳んだ。

 

 その直後、立ったままの浅野潤の体を黒い靄が包み込む。

 

 霧が晴れたその瞬間、咆哮と共に凄まじいプレッシャーを放つ、一匹の悪魔が姿を現した。

 

 




ゆっくり商標登録の件ガチで許せねえな……もはや言葉も出ねえわ。
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