自称泣きゲーのモブに転生~メーカーは泣けるとかほざいてるけど理不尽なヒロイン死亡エンドなんていらねぇ!!   作:荒星

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第27話 決意

 あの戦いから一週間後、俺は病院のベットの上でスキルカードを眺めていた。

 

 ちなみに戦いの後病院に戻ると、いつもの担当の先生から病院を無断で抜け出した事を死ぬほど怒られた。

 

「何を見ている? 悠馬」

 

「なんでもねえよ。それより『ロト』、いつ人が来るか分かんねえのに出てくんなつったろ」

 

 俺はスキルカードをしまいながら、ふよふよと宙を浮くマスコットモドキに注意する。

 

 どうやら俺とコイツはパス的なもので繋がっているようで、俺が死ぬとコイツも死ぬようになっているようだ。

 ちなみに痛覚も共有しているらしく、あの時俺をペンダントの石の部分でビンタした時、自分も痛かったらしい。

 後、コイツの呼び名はロトになった。アスタロトだと速バレて、俺ごと処刑されかねない。

 

「結局、あの俺の体を一時的に乗っ取ったのは本当にヘルメスだったのか?」

 

「間違いない。大方貴様のスキル経由で顕現したのだろう」

 

 あの戦いの後。俺がスキルカードを見た時、スキルカードにはヘルメスの神威とアレスの神威という名称のスキルが、他のスキルは淡い青で表示されているのに、神威スキルだけは黒い文字で追加されていた。

 

 神威スキル。俺がイザナギ学院の地下にあるダンジョンで、手に入れようとしていたモノの一つ。

 ラスティア内最強のスキルで、使えば文字通り神の力を行使出来る時限強化型スキルだ。

 今までは学院地下のダンジョンで手に入るイザナギの神威しか存在が知られていなかったが、ある日公式が神意から進化できるとお漏らししたことで大勢のプレイヤーにより検証が行われた。

 しかし、誰一人としてイザナギの神威以外の神威スキルを見つけたものはおらず、運営の噓か後から実装されるのではないかと言われていた。

 

 ――けど実際俺のスキル欄には神威って書いてあるし……。

 

 ちなみに、一度病院を抜け出して神威スキルを試してみたのだが、ヘルメスとアレスどちらのスキルも発動出来なかった。

 

 ――なんなんだろうな……一体。

 

「入るぞ、悠馬」

 

「どうぞー」

 

 病室のドアをノックして入ってきたのは姉さんだった。

 

「もう傷は大丈夫か?」

 

「平気平気。それよりも姉さん、会ってきたんでしょ?」

 

 浅野潤の身柄はあれ以来メラムが預かっていて、姉さんは面会に行っている。

 

「あぁ。とりあえず洗脳はもう解けたようだし、バフォメットもあの一撃で完全消滅したらしい」

 

「そっか……良かったね。姉さん」

 

「それと、お父様から悠馬に伝言だ。『僕を止めてくれて、円華を助けてくれてありがとう。危うく僕は失ったものを追い求めるあまり、まだ残っている大事なものまで失うところだった』だそうだ」

 

「全く、ああなる前にさっさと気づけってんだ……」

 

 俺が頭を搔きながらそう言うと、姉さんが頭を下げてきた。

 

「ちょ!? 姉さん!?」

 

「すまない、悠馬を危険な事に巻き込んでしまった。しかも悠馬には何一つ関係ない、うちの家族の問題に……」

 

 そう言った姉さんの言葉を遮り、俺は姉さんにこちらに来るよう手招きした。

 

「姉さん、コッチコッチ」

 

 そして姉さんが十分に近づいてきたのを確認すると、俺は姉さんの頭にチョップした。

 

「テイッ!」

 

「痛!」

 

 当たったところを涙目でさすりながら、姉さんはまた謝った。

 

「そう……だよな、普通あんなことに巻き込まれて大怪我負ったんじゃ怒るよな、すま……痛い」

 

 俺はもう一度、ふざけたことを抜かす姉さんにチョップを喰らわせた。

 

「ハイ、違います。全く、姉さんは全然わかってない!」

 

「な、なにをだ!?」

 

「あのね、姉さん。俺は巻き込まれただなんて思ってないし、姉さんに怒ってもない」

 

「だが!」

 

「それに姉さんの問題が無関係ってなんだよ。自分で言ったのに忘れた? 姉さんは俺の家族なんでしょ。俺が助けたいんだ、姉さんが困ってたら助けて何が悪い」

 

「悠馬……」

 

「後もう一つ! 姉さん自身も言ってた通り。ごめんなさいより、ありがとうの方が嬉しいもんだよ」

 

「ありがとう悠馬……」

 

 そう言うと、また姉さんは泣き出した。

 

「全くもう、姉さんは泣き虫だなぁ……」

 

 

 

 その後姉さんは帰り、俺は一人で物思いに耽っていた。

 

 ――それにしても、この世界の事なら十分分かったつもりだったけど、いざ物事に直面した時に想定外の事が多すぎる。

 

 今回に限ったことではない。

 ソフィアの過去イベの些細な違いから始まり、冬香の相手がエリクじゃなくなってベヒーモスなんていう面倒な相手とすり替わり、極めつけはイザナギ学院三年生の最後に起こるハズだったイベントが前倒しで起きた上、復活するはずだったアスタロトはこの始末。

 

 ――いや、ソフィアの過去イベ以外は俺が起こした行動の結果なんだけどさ。

 

 なんにせよ、想定外の事が多すぎる。それにココに居るアスタロトは分霊のようなもので、本体のアスタロトは健全……というかまだ深き眠りについている。

 

 まだ見ぬDLC。そしてもしかしたら、生きていた頃噂になってたラスティア2もあるかもしれない。

 

 それにまだ解決していないヒロインたちの死亡フラグに、未だ会ってないサブヒロインやプレイアブルキャラの不幸フラグに死亡フラグ。

 

 俺はそんな無理難題どもに頭を抱えながらも改めて、この理不尽だらけの世界で大切な人達を守り抜く決意を固めた。

 

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