自称泣きゲーのモブに転生~メーカーは泣けるとかほざいてるけど理不尽なヒロイン死亡エンドなんていらねぇ!!   作:荒星

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イザナギ学院一年生編
第1話 入学試験


 朝、入学試験を受けに俺はイザナギ学院へ来ていた。ちなみに姉さんも生徒会の手伝いとかで一緒に来ている。

 

 校門をくぐった後姉さんと別れようとした時、姉さんが話しかけて来た。

 

「悠馬なら大丈夫だ。そもそもステータスの面で言えばSクラスに配属されるだろうし、悠馬が強いことは誰よりも私が知っている。だからリラックスして受けるんだぞ。別に模擬戦も勝たなければいけない理由はないんだからな。怪我だけはしないでくれよ? それにどんなクラスに配属されても、悠馬は悠馬なんだから」

 

「心配性だな、姉さんは。大丈夫だよ、ステータスの計測されてちょっと模擬戦させられるだけなんだから。」

 

「だがウチの学院にはアレが……」

 

「心配してくれてありがと、でも大丈夫だってば。ホラ、姉さんもそろそろ行った方が良いんじゃない?」

 

 尚も心配してくる姉さんに、俺は苦笑しながら返した。

 

「まあ悠馬の相手になることはないか……それもそうだな。頑張るんだぞ!」

 

 そうして姉さんは校舎の方へと消えていった。

 

「えっと……最初はステータス測定の為に体育館か」

 

 そうして俺は、家に届いたプリント片手に体育館へと向かった。

 

 

 

 

「なんじゃこりゃ……」

 

 俺が体育館に着くと、気が遠くなるほどの長蛇の列が4列も出来ていた。

 

「悠馬! コッチコッチ!」

 

 声のした方向を見ると、列のほぼ最後尾に居た冬香が俺に向かって手を振っていた。

 

「おはよう悠馬、悠馬も今来たところ?」

 

 俺は冬香が居る列に向かい、冬香の後ろにいた龍斗が声を掛けてきた。

 

「おう、おはよう。そうなんだけど……なんだこれ」

 

「これ皆このイザナギ学院に入学希望らしいわよ……この中からたったの660人って、狭き門なんてレベルじゃないわよ……」

 

 今ざっと見ても2000人以上は居る。まあ倍率は高いだろうが、原作でも入れたし大丈夫だろう。

 原作であるラスティアでは俺こと、鈴木悠馬は補欠のEクラスだったけど、今の俺はステータス的にも戦闘技術的にもSクラスだろうし! あれ? 大丈夫……だよな?

 

 俺が少し不安に思いながらもだいぶ長い間列に並んでいると、冬香の番が来た。

 

「はい、上田冬香さんですね! 弟子制度利用者ということでステータスの測定となります。こちらの装置に手を当てて下さい」

 

 冬香はそう言われ、ICカードを読み取る機械に似た装置へと手を当てた。

 

「これでいいですか?」

 

 そして待つこと約10秒。

 

「とても高いステータスをお持ちのようで素晴らしいですね! 恐らくここまでの高ステータスならばSクラス配属になると思います! では、模擬戦の会場は特別訓練室になります! 頑張ってください!」

 

「じゃ、二人共先に行ってるから!」

 

 そう言って冬香は模擬戦の会場へ向かっていった。

 

「次の方どうぞー!」

 

「鳴神龍斗です。よろしくお願いします」

 

「はい、鳴神龍斗さんですね。鳴神さんは一般人ということなので、ステータス測定ではなく潜在能力測定になります。では、こちらの装置に手を当てて下さい」

 

「わかりました」

 

 そう言って龍斗が手を当てて待つこと約10秒。

 

「あ、あれ? おかしいな……計測ミス? すいません! 装置の調子が悪いので取り替えてきますね」

 

 そう言って計測係のお姉さんは何処かに消えていった。

 

「え? 機械の不調? 怖いな……もし計測結果が低くて落とされでもしたら」

 

 ――いや、恐らく逆です。

 

「お待たせしました! では、もう一度手を当ててもらえますでしょうか」

 

 そうして龍斗は再び装置に手を当てた。

 

「……噓」

 

「えっと……その。もしかして模擬戦も受けられないほど低かったり、ですか?」

 

 龍斗が不安そうに尋ねると、計測係のお姉さんは慌てた。

 

「い、いえ! とんでもない! むしろその逆です! 私もこんな出鱈目な数値見たことなくて混乱してしまいまして……あ! 大変失礼いたしました! 途轍もなく素晴らしい潜在能力をお持ちですね! 恐らく長い歴史を誇るこのイザナギ学院でも、あなたほどの逸材は今まで居なかったと思います! 模擬戦の会場は特別訓練室です! 頑張ってください!」

 

 ――流石主人公。絵に描いたようなテンプレだな。

 

「よ、良かった。てっきりこの場でお帰り願われるかと思ったよ」

 

「ハハハ、またまた」

 

 そうして、いよいよ俺の番がやって来た。

 

「鈴木悠馬です。よろしくお願いします」

 

「はい、鈴木悠馬さんですね。弟子制度利用者ということでステータスの測定となります。こちらの装置に手を当てて下さい」

 

「はい」

 

 そうして手を当てること10秒。

 

「はい、計測結果が出ました。その……得点配分としては模擬戦も4割占めているので頑張ってください! 鈴木さんの模擬戦会場は訓練室Eになります。鈴木さんの健闘をお祈りいたします!」

 

 ――俺だけ二人とは別なんだな。

 

 そんな事を考えながら、俺は訓練室Eに向かった。

 

 

 

 

 俺は暫く歩き、他の訓練室と比べてあまり人気のない訓練室Eに着いた。

 

「お邪魔しまーす……」

 

「とりあえず名前教えてくれない?」

 

 いきなりそう俺に声をかけて来たのは、椅子に座ったけだるそうな妙齢の妖艶な美女だった。

 

 堀川天音。Eクラス担任にして体術担当。常に一升瓶を抱えていて何事も適当、しかし実力は折り紙つきでAランクエンフォーサー。そして何より超美人。

 

「えっと、鈴木悠馬です」

 

「はいはーい、それじゃああの人と戦ってもらいまーす」

 

 ――説明終わり!? やっぱり超適当じゃねえか!

 

「えっと、鈴木悠馬です。よろしくお願い……ゲッ」

 

 俺の対戦相手は、Eクラス副担任にして学園の嫌われ者。中盤で裏切った後、用済みとしてディートハルトに殺される山田秀明だった。ちなみにコイツのレベルは10である……。

 

「な、なんだお前。人を見るなり! 本来であればお前みたいな雑魚、僕が相手してやる必要なんてないんだからな! ひれ伏して感謝しろ!」

 

 ――ハイハイ、原作通りの小物ムーブをありがとよ。

 

「えーっと、俺の得物ってどれっすか?」

 

「おい、僕を無視するな!!」

 

 俺は死んだ魚のような眼をしながら、天音先生に聞いた。

 

「んー? あぁ、得物ね得物……コレ使って?」

 

 そう言って俺に投げ渡されたのは、何の変哲もない木刀だった。

 

「んじゃお願いしやーす」

 

「雑魚風情が舐めやがって! 痛い目に合わせてやる!?」

 

 そう言ってあくびが出るほど亀のようなスピードで山田が突っ込んできたので、俺はあくびをしながら木刀で攻撃をいなすと、山田は派手に転んだ。

 

「……想像以上にクソ弱えーな」

 

「なんだと!? ガキが! まぐれで躱したくらいでいい気になりやがって!」

 

 山田は何度も木刀を振ってくるが夕食に何が出てくるか考えながら全部防ぎ、隙だらけだったので足をかけた。

 

 ――こんなの一瞬でやれるけど、それじゃあ実力なんて図れないよな。

 

「プギョ!?」

 

 ――ホント、なんでイザナギ学院はこんなの雇ってるんだろうな。流石はラスティア七不思議の内一つだ、考えても全くわからん。

 

「このゴミがァァ! 僕の事を怒らせたなぁ!?」

 

 キレた山田は、遂に真剣を抜き出した。

 

「ハイ、ストップ。山田君じゃ相手になんないし、真剣はダメでしょ」

 

「ウッ……」

 

 山田が切りかかってくるかと思った瞬間。横から天音先生が飛び出して、山田を気絶させた。

 

「ごめんねーウチの学校のお荷物が」

 

「……いえ」

 

 ――ああ、やっぱり教師陣にもそんな認識なんだ。

 

「それじゃあ模擬戦は終わり! 帰っていいよー」

 

 ――マジかよ。

 

「はぁ、わかりました。それでは……」

 

 そう言って俺が出口に向かおうと背を向けた瞬間。

 殺気を感じたので咄嗟に振り返り、天音先生の繰り出した拳を右手で受け止めた。

 

「へえ……やっぱり君、相当強いね」

 

「……そりゃどうも」

 

「うん、ごめんね。これで本当に終わり。後日の結果発表をお待ちください! それじゃあまたねー」

 

 天音先生は山田を肩で担ぎながら、手をひらひらと振ってそう言ってきた。

 

 ――何だったんだ、一体。

 

 

 

 二週間後。家に届いた合格通知を片手に、再びイザナギ学院に来ていた。

 

「受験番号506番……受験番号506番……あったSクラス!」

 

「僕もSクラスだったよ!」

 

「おお、マジか」

 

 俺は、共に自分の受験番号を探していた冬香と龍斗の喜ぶ声を聞きながら、何故かSクラスにない自分の受験番号を探していた。

 

 ――ま、元からお前らがSクラスなのは知ってるんだけど。

 

「えーっと、受験番号4023番4023番……なんでやねんッ!!?」

 

 

 

 Eクラス 受験番号4023番 テスト結果:ステータス計測F 模擬戦A

 

 

「ここの原作再現はいらねぇんだよッッ!? シナリオライターのバカヤロー!!!」

 

 俺は人目もはばからずに、天に向かって慟哭した。

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