自称泣きゲーのモブに転生~メーカーは泣けるとかほざいてるけど理不尽なヒロイン死亡エンドなんていらねぇ!!   作:荒星

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第10話 強欲

「で、そのまま悠馬は病院送りになったわけと……」

 

「へー、冬香の時もそうだったんだね……」

 

 俺は今学園長室で、姉さんにあっちこっち傷がないか調べられながら、冬香とソフィアが会話をしているのをソファに座ってボケっと見ていた。

 

 ――なんだこの状況……。

 

「本当に大丈夫なんだな、悠馬!」

 

「大丈夫だって、だから姉さん。そのさ、あっちこっち触るのやめてくれない?」

 

 俺がそう言うと、姉さんは笑いながら言った。

 

「だって悠馬……いつもこういう時はボロボロになって帰ってくるじゃないか。約束一度も守ってくれないし、ダンジョンに出かけてくるって言った時も大抵……だけど、今回はちゃんと約束を守れたみたいだな。よろしい、今日はごちそうだな。何が食べたい?」

 

「ハンバーグが良い」

 

「それじゃあいつも通りじゃないか……」

 

「姉さんの料理は俺にとっていつも御馳走だよ」

 

「悠馬……」

 

 ――我、角砂糖吐きそう。誰かブラックコーヒーくれないか?

 

 ――なんだって?

 

 ――うるさいわ、この難聴め。

 

 ――おい! それに聞こえてたぞ、お前コーヒー苦手で前噴き出してただろうが。ここで噴水なんてされたら迷惑だからな!

 

 ――違う、そうじゃない。

 

 ロトはそう言ったきり黙り込んだ。

 

 ――おーいロトー? ったく。

 

「……ちょっと待って、そういえば二人って姉弟なんだよね?」

 

「ん? そうだけど?」

 

「えっと……悠馬。もしかして血がつながってない姉弟ってやつ?」

 

「変なこと聞くな、ソフィア。当たり前だろ? なんなら戸籍的なのも」

 

 俺がそう言うと、ソフィアと冬香は部屋の隅に寄ってひそひそと話し始めた。

 

「……どう思う? 冬香」

 

「い、いや。姉弟でってありえな……いや、血がつながってないならあり得るのか。……けど」

 

「あの様子を見ると確実に……」

 

「思わぬ伏兵ね……」

 

 暫くすると、二人は戻ってきた。

 

「ねえ悠馬、私とソフィア以外に助けた人っている? 女子とか年上のお姉さんとか小悪魔系後輩とか! 兎に角女子!」

 

「い、いや……いきなりなんだ? 急に」

 

「悠馬、私のことも助けてくれただろう?」

 

「姉さんを助けるのは当たり前だし数には入んないよ」

 

「全く、悠馬は……」

 

 俺がそう言い切ると姉さん顔を赤くしてはにかんだが、二人は再び部屋の隅に戻っていった。

 

 ――どうしたんだ? 二人とも……。

 

「どうしよ、思ったより強敵よ。どうする?」

 

「え? どうするって……どうしよっか……というかどうするのが正解なんだろ? 幸いまだ生徒会長さんは自覚ないみたいだからチャンスはあるけど、もし自覚して悠馬にアタックされたら……」

 

「それでも行くのよ! ……その、好きになっちゃったんだから」

 

「そう……だね。これからもお互い頑張ろ? 冬香」

 

「もちろんよ」

 

 ――あ、戻ってきた。

 

 5分後。

 

「いやースマンスマン。少し遅れた」

 

「少しじゃ無いような……」

 

「またお酒ですか? 学園長?」

 

「ヒッ!? い、いや違う! 事情聴取、事情聴取してたんだ! EクラスとSクラスの生徒に! ……だから、その薙刀を仕舞え!」

 

「で、何があったんです? 師匠」

 

 茜曰く、本来であれば邪神側の作ったダンジョン。それも眷属が住まうようなダンジョンには眷属のみが引っかかる結界が貼ってあるのだが、それがほころんでいたらしい。

 まぁ恐らく最近より一層活発化してきた邪神教団の仕業だろう、と茜は話を締めくくった。

 

「悠馬、本当にありがとう。もしお前が居てくれなかったら、きっと生徒から死傷者が出ていただろう。お前には本当になんて感謝していいか……」

 

「別にそんな事気にしなくて良いですよ、俺はやらなきゃいけない事をやっただけだし。そのお礼は良いんで、前回約束したスキルオーブ下さいよ。もう一か月経ちましたよ」

 

「あ、あぁ。ちょっと待っててくれないか?」

 

 茜はそう言うと机から何かを取り出し、俺に放り投げた。

 

「ほら」

 

「……これって」

 

 茜が俺に寄越したのは金色のスキルオーブではなく、虹色のスキルオーブだった。

 

「延滞料込み、感謝も上乗せでそれだ。なんだ? 不満か?」

 

「別段気にしなくて良いって言ったんだけどな、貰いすぎですよ。こんなの」

 

「フッ、俺のささやかな気持ちだよ。気を使わなくて良い、遠慮せずに使え……それに」

 

「それに?」

 

「何故だろうな。何となくコレを手に入れた時から、このスキルオーブはお前にやるべきだと思っていたんだ」

 

「なんですか、それ」

 

 俺は苦笑した。

 

「それじゃあ、ありがたく使わせてもらいます」

 

 そう言うと俺はスキルオーブを飲み込み、ステータスカードを見た。

 

 そこに書かれていたのは……

 

 強欲。強欲なほど運とテイム確率が上がり、屈強な精神を得る。

 

 ……なんだこのスキル。

 

「……強欲って、何?」

 

「「「「……ハァ!?」」」」

 

 

 

 

 あれから一日経った昼休みの食堂。俺はソフィアと冬香の二人と昼食を取りながら、改めて昨日手に入れたスキルを思い返していた。

 

 七つの大罪スキル。どうやら邪神を打ち破りし龍の英雄。すなわち龍斗のご先祖様は憤怒スキルの使い手だったらしい。

 

 ――なんだその設定、知らねえぞ。俺が死んだあと実装されたDLCか?

 

 それになんだ、テイム確率と屈強な精神って! テイム確率なんて知らんし、そもそも屈強な精神ってなんだ! もうちょい色々と具体的に書きやがれ!

 

 俺はそんな事を考えつつ、当の龍の英雄様と戦った張本人であるロトに聞いてみることにした。

 

 ――おい、ロト。お前昔の英雄様と戦ったことあんだろ、その時英雄様は憤怒のスキルなんて使ってたのか?

 

 ――……そもそも我には、禁術を研究していた頃より後の記憶があまりないのだ。まるでバラバラのパズルのピースを見ているように安定せん。最後に冥界の女神と人間と龍の合いの子に、止めを刺された事だけは覚えているのだがな。大方封印のせいであろうよ。

 

 ――龍斗。お前マジで死神だったのか。いや、少し違うかも知れないけど冥界の神って……

 

 ――ん? なんか言ったか? 

 

 ――いや、何でもないこっちの話だ。

 

 意外なところで意外な真実がわかった。どうやら龍斗の、プレイヤー達に名付けられた死神と言うあだ名はあながち間違いじゃなかったらしい……。

 

「悠馬!」

 

「ん?」

 

「ちょっと悠馬! 私とソフィアの話聞いてる!?」

 

「あ、あぁ悪い。ちょっと考え事してた。で、なんだって?」

 

「だから! ソフィアの国のお貴族様がうるさいのよ! 毎度毎度、やれお茶でもいかが? だの、やれ悠馬みたいなEクラスの奴より私とお食事でもいかがですか? 無論王女殿下もご一緒に。だの! ……って噂をすればなんとやらよ、例のお貴族様が来た」

 

「オイEクラスの平民野郎、そこをどけ」

 

「あら? 私も平民なんだけど?」

 

「いえいえ、冬香さんはそこのゴミと一緒ではありませんよ」

 

 ――毎度毎度好き放題言ってくれんな……。

 

「ジェームズ君。私は、悠馬に対しての侮辱はやめなさいと言ったはずですが?」

 

「それはご命令ですか……」

 

「勿論、貴方が命令なら従うと言うなら命令にさせてもらいます」

 

 その後、ジェームズはプルプルと震えた後、俺に向かって手袋を投げた。

 

「よろしい! ならば正々堂々、決闘と行こうじゃないか!」

 

 それを聞き、口を開こうとしたソフィアと冬香を抑えて俺は聞いた。

 

「へぇ、正々堂々とねぇ。ルールは?」

 

「なんでも有りだ」

 

「んじゃ、条件を決めようか。まずテメエからだ」

 

「私が求めるのは貴様が二度とこの学園に足を踏み入れず、王女殿下と冬香さんに近づかない事だ。もっとも決闘が終わった時に貴様が生きている補償などないが」

 

 ――ふざけすぎだな、コイツ……。

 

 俺はそれを聞いて嗤いながら、俺の条件を言った。

 

「そうか。んじゃ俺が勝った場合はお前が退学な」

 

「場所は明日。特別実習訓練場で行う、逃げるなよ」

 

「当たり前だろ、なんで俺が逃げなきゃなんねぇんだ」

 

 そう言って俺達が睨み合っていると、横から兵藤が現れた。

 

「師匠に決闘だと!? 貴様、身の程を知れ!」

 

 ――どっから出てきた、お前。それと……お前が言うな。




 ちなみに、悠馬の推測はニアピンです。強欲が登場したのは、DLCではなく??????です。
 なんでスキルの効果が曖昧なんだって? そりゃあ???のスキルは代々曖昧なもんでしょ。
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