自称泣きゲーのモブに転生~メーカーは泣けるとかほざいてるけど理不尽なヒロイン死亡エンドなんていらねぇ!!   作:荒星

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第13話 龍の覚醒

「龍斗!?」

 

「羽虫が! 邪魔をするな!」

 

「グッ!?」

 

 龍斗は訓練用に学園から支給されている鋼の剣で切りかかるも、そんな剣でルシファーにダメージを与えられるはずもなく、ルシファーの腕の一振りでこちらまで弾き飛ばされてきた。

 

「おい龍斗! 無事か!?」

 

「大丈夫」

 

「どうして逃げなかった!」

 

「……僕は、もう友達が戦ってるのを見るだけなのは嫌なんだ」

 

 そう龍斗が言った瞬間、闘技場の観客席の方から声がした。

 

「そういう事よ! 悠馬!」

 

「もう守られてるだけっていうのは嫌かな」

 

「偶には私達の事を頼りにしてくれてもいいんだぞ? それとも、お前にとって私達は守られるだけの弱い人間か?」

 

「冬香とソフィア!? それに姉さんまで!?」

 

 俺が驚きながら声を上げると、三人はこちらに飛び降りてきた。

 

「よっと」

 

「どうして……」

 

「ああ、もう! さっきも言ったでしょ! 悠馬! 守られるだけで、アンタが戦ってるのを黙って後ろから見てるだけってのはもうご免なのよ! それに、悠馬と私はライバルでしょ! だから私はアンタの隣で戦う!」

 

「冬香……」

 

「うん。前みたいに悠馬が傷ついていくのを、何もしないで見てるのは……ね」

 

「そうだぞ悠馬。だから、偶には私達の事も頼れ」

 

「皆…分かった。一緒に戦おう!」

 

 そうして、俺達はルシファーと向かい合った。

 

 

 

「ほう? 話し合いは終わりか?」

 

「悪いな、わざわざ待ってもらって」

 

「ふっ、貴様ら羽虫が何をしようとも変わらぬからな」

 

「そうかよッ! 行くぞ!」

 

 俺は早速レイスラッシュを発動させて切りかかったが弾かれる。

 

「パニッシュメント・レイ!」

 

「ほう、良い魔法だ」

 

 俺が弾かれた隙をカバーする為に、攻撃しようとしたルシファーへソフィアが魔法を放つが腕一本で防がれる。

 

「行くぞ冬香!」

 

「はい師匠!」

 

 ソフィアの魔法を防ぐために攻撃をキャンセルしたルシファーに、冬香と茜は攻撃を仕掛けた。

 

「全く、俺は逃げろと言ったハズだが?」

 

「すみません。師匠」

 

「だが、その心意気。師匠としては誇りに思うぞ!」

 

「……はい!」

 

「グ……猪口才な!」

 

 二人は師弟特有の抜群なコンビネーションでルシファーを翻弄すると、ルシファーに大技を放った。

 

「冬香! 合わせろ!」

 

「わかりました!」

 

「ドラゴンズインパクト!」

 

「疾風切り・真!」

 

「中々やるようだな。だが!」

 

 ルシファーはそう言うと、全身から魔力を放出して二人を弾き飛ばした。

 

「キャッ!」

 

「グッ!?」

 

 弾き飛ばされた二人が無事なのを確認した後、俺は真司に声を掛けた。

 

「俺達も負けてらんねぇぞ真司!」

 

「あぁ! 僕はちゃんとした師匠じゃないけど、僕たちだって絆の深さならあの二人に負けてない! 行こう、悠馬!」

 

 俺達は頷きあうと、二人で連携しながらルシファーに突撃した。

 

「来るか! 神の気配を漂わせし者達、その中でも警戒に値する者よ!」

 

「一発キツイのお見舞いしてやる! 紫電一閃・真!」

 

 俺は走りながら疾風迅雷・真を発動させると、紫電一閃・真も発動させながら切りかかった。

 

「ぬおッ!?」

 

 ルシファーは両腕でガードするが、ルシファーの体から少しだけ血が噴き出す。

 

「僕の事も忘れないでよね! 明鏡止水!」

 

 そして真司の攻撃が決まったかと思ったが、ルシファーが直前で両腕のガードを解いて、バリアのようなものを張ったせいでルシファーまで攻撃が届かなかった。

 

 ――だが!

 

 真司の攻撃は本体にこそ届かなかったものの、バリアを破ることには成功し、ルシファーはその衝撃でのけぞった。

 

「青龍突き!」

 

「ガハッ!?」

 

 姉さんは攻撃を仕掛け、ルシファーの意表を突き薙刀でルシファーを吹き飛ばした。

 

「今だ、龍斗!!」

 

「ハァァァァ!」

 

 そのルシファーの隙をつくように、龍斗が切りかかったその時。

 

「図に乗るなよ! 人間がァ!!!」

 

 ルシファーがカッと眼を見開くと、龍斗は見えない何かに攻撃を弾かれる。

 

「なッ!? 剣が!」

 

 その何かにぶつかった拍子に折れた剣を見て驚く龍斗に、ルシファーの魔法が

炸裂し闘技場の床を転がった。

 

「ガッ!?」

 

「龍斗!」

 

 俺は慌てて龍斗へ駆け寄った。

 

「無事か、龍斗!」

 

「ゲホッ……まだ……戦える……」

 

「その怪我じゃ無茶だ! もう十分だ! お前はよくやった! そこで休んでろ!」

 

 俺は龍斗を闘技場の隅に寝かせると、今尚戦っている姉さん達の元へ戻った。

 

「水面切り!」

 

「ホーリーパニッシュメント!」

 

「ボルケーノ・ブレイク!」

 

「かまいたち!」

 

「甘いわ!」

 

 ルシファーに攻撃を仕掛けるも、弾き飛ばされる皆を見ながら、俺はイグニススラッシュを発動させた。

 

「クソったれ!!」

 

「フン、我に傷をつけたのは認めよう。しかし、その程度だ」

 

「なッ!?」

 

 ルシファーは俺のイグニススラッシュを避けると、俺の懐に潜り込み腹部に魔法を放った。

 

「ゲホッ!?」

 

 俺は闘技場の壁に叩きつけられ、血反吐を吐き地面に倒れ込んだ。

 

 ――これは……無理か? 

 

 そう思った瞬間。龍斗を寝かせていたはずの場所から光が迸った。

 

 その光が収まるとそこには瞳を銀色に輝かせ、黒い剣。ラスティア内最強装備の一つ、竜剣バハムートを手に持った龍斗が立っていた。

 

「ぬ!? この気配は! 貴様! 一体何者だ!」

 

「僕は1-Sクラスの鳴神龍斗。君を倒す、ただの学生だよ」

 

 そう言って龍斗はルシファーに剣をかざしながら、ルシファーに宣言した。

 

 あの状態はスキル『覚醒』の効果で、ラスティアでは最終決戦。ヒロインが死んだ後の龍斗の怒りか、ソフィアが死の間際に渡した神気込みの生命エネルギーにて解放されるスキルだ。

 時限強化だが、一時的に全ステータスに1000%の補正が掛かるぶっ壊れスキル。我らが主人公が全プレイアブルキャラの中でも最強たる所以だ。

 そして、竜剣バハムート。本来であれば『名も無き地下墳墓』奥深くに封印されている装備。

 この武器も装備するとステータスへ洒落にならない補正が掛かる上、とある超威力の必殺技が放てる。

 本来のラスティアでは、この二つともまだ龍斗が持っている筈がないのだが、俺はこの二つを最初から持っている状態の龍斗を知っていた。

 コミック版ラスティアの龍斗。

 コイツは最初からオーク相手に覚醒を使いこなし、Eランクダンジョンのゴブリン相手に竜剣バハムートを振るった。

 そんな蛮行をやってのけたことから、俺達ラスティアプレイヤーからは恨みも込めて公式チートの改造廚と呼ばれていた。

 

 ――お前、コミック版改造廚龍斗かよ!?

 

 俺はルシファーと相対する龍斗を見ながら、心の中で叫んだ。




違います。(ファンタCM風)悠馬君残念! ニアピン賞だよ!
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