――――欧州。
一人の老人がインタビュアーに応じる。
プライバシーと安全のため、彼の詳細を明かすことはできない。
部隊を率いたエースパイロットの二番機を務めたことだけは公開されている。
「あの戦いに勝者はいなかった」
「そうさ。攻撃した側ですら」
「我々の戦いは、そう、雪の降る寒い日に始まった」
「我々空軍はせいぜいが200機。対する敵は優に数倍はあった。
首都にまで敵が迫り、各地では無尽蔵に湧き続ける戦力に、徐々に追い詰められていった」
≪ここに敵機はいないはずだ!!≫
≪たかが
郊外。
超低空を飛翔する二機。
一機は上空で警戒し、もう一機はヴァイパーを曳きながら電柱の上スレスレを亜音速で飛行していた。
「装備も劣っていた。航空機でさえも。唯一勝っていたのはそう、闘争心と、技量だった」
≪低すぎる……ツリートップレベルよりさらに低い。追従できない!≫
≪イカれた飛び方……
≪
≪付かれているぞ! だめだ振り切れない!≫
低空から一糸乱れぬ高速で襲い掛かる灰色のMiG-29【Fulcrum】。
電柱や木々が衝撃波で薙ぎ飛ばされる。
中でも特に速い一機はミサイルを撃ち放ち、常人離れした戦闘機動で格闘戦に持ち込む。踊るようにくるりくるりと身をひるがえしながら火線を吐き出していく。
フレアを撒く暇なく、次々に六機が火だるまと化した。
「まあ見て。あの飛行機……まるで挨拶をしているようだわ」
「我々はときに市民の上を飛び、彼らを勇気づけた。
命令があったかだって? なあに、都市上空の哨戒任務のついでだったのさ」
男は笑った。
「司令部からは大目玉を食らったがね」
「機体は消耗品だ。だが我々にとって一機の損失は祖国の敗北を意味するくらいには重大だった。
部品取りの為に倉庫で埃を被っていた機体を引っ張り出したのは後にも先にもだ。
彼か? ああ、彼だけは唯一機体を落とすどころかかすらせもしなかった。
我々は我々は森で、野原で、海岸で、渓谷で、通りで戦った」
≪渓谷を抜けてきたというのか!? あの隙間を!?≫
≪くそっ……
「いつの頃だったか。我々は“
「我々はミサイルが尽きると機関砲で戦い、体当たりさえ辞さなかった。
冗談ではないよ。本気のことだ」
≪中でも動きのいい一機がいる!≫
≪ベイルアウト! ベイルアウト!≫
次々と落ちていく侵略軍。
灰色の幽霊たちが天使のように踊る。
友軍からの偵察情報を受けた“怪鳥”が侵略軍の戦車を次々と血祭りにあげていく。
「幽霊がなぜそう呼ばれるか知っているかね?
幽霊は、死なないからだ」
『これより祖国を解放する!! 英雄たちに栄光あれ!!!』
ACE COMBAT:Ghost