《ターゲットを捕捉………TB-2による観測を実施中》
“怪鳥”が飛翔していた。高度なセンサーにより、ミサイルや各種ドローンに紛れて、敵侵攻部隊を捕捉している。
観測データを元に、首都に配備されている砲兵達が砲の向きを調整する。
遠距離の精密打撃ロケットが一斉に放たれる。空中でクネクネとした軌道を描いたかと思えば、緩い放物線を描いて、敵侵攻部隊に対し襲い掛かっていく。
その上空を、矢じりの陣形を取った12機の第114戦術航空旅団“サンフラワー”が超音速でフライパスしていく。
先頭を行くゴースト1が翼をバンクさせた。
《
うち半数の機体が一斉に中距離空対空ミサイルを発射。身軽になった機体は上昇しつつ運動エネルギーを稼ぎ、残った機体は散開する。
《
射程ギリギリで放ったミサイルは、推進剤を使い切った状態で敵に到達する。しかしそれでも攻撃機のような鈍重な機体ではかわしきれなかったらしく、ポロポロとSu-25が撃墜されていくのが見える。
《ゴースト隊、レーダーパターンからSu-30、10機を確認している》
各機、一斉に射撃位置に付かんと増槽を捨てると、急上昇。高度エネルギーを稼ぐ。速力を乗せられた中距離ミサイルが発射され、敵を食らう。
ミサイルの撃ち合い。それは、ファースト・ルック・ファーストキルを原則とする次世代機であろうが、旧世代機であろうがかわらぬ現代戦の大原則である。特に、敵と味方が最新鋭機ではなく旧世代機で戦う以上、その戦いはどちらかと言えば
《花火の中に飛び込むぞ!》
ゴースト隊が一糸乱れぬ動きで先鋒に襲い掛かる。正面からのミサイルの撃ち合いを避けて高度を稼ぐと、
次々に敵機が落ちていく。引き裂かれる翼が黒煙をまとって悲鳴を上げていた。
《ゴースト1、FOX2》
短距離空対空ミサイルがホットローンチされる。発射。急激なGにさらされながら、Su-30の背後に食らいつく。タンタンタン、と軽い音を上げてフレアが放出されるが、ミサイルは欺瞞を避けてエンジン付近で近接信管を作動させ、機体を引き裂いた。
《グッドキル! グッドキル!》
《ゴースト1、
『Over, G ... Over,G...』
急旋回。バレルロールしつつスロットルを絞り、敵機の
警告音が鳴り響く。
『AoA最大・G負荷最大』
常人であれば気絶するであろう急激な旋回Gに、ゴースト1の鍛え抜かれた体躯は耐えた。
ラダーを入れつつ片翼を失速、減速、機首方位を強引に捩じり、上昇に対し、急激な角度での上昇でその半径の内側に入る。
―――――ダンダンダンダン!
30mm砲弾の速射が機体を貫き、敵機はもんどりうって空中で爆発炎上した。
次々と敵機が落ちていく。
爆弾を抱えていたSu-25は低空に避難。ブレイクし、回避せんとしようとするが幽鬼の如く襲い掛かるMig-29の群れに次々と火を噴いていく。
もがれる翼の断末魔をBGMに、掃討は続く。
地対地誘導ロケットが放たれ、首都に迫ってきている敵戦車を葬り去っていく。
囮として放たれたレシプロ機が敵地対空ミサイルの餌食となる。
“怪鳥”の異名を取るTB-2が、露呈した敵対空戦力の撃滅にかかった。アンチレーダーミサイルを発射。不気味にプロペラを唸らせ、遥か高空から次々と獲物を血祭りにあげていく。
通信。
《HQから各機へ、聞け。ダム破壊作戦が実行され、敵主軸部隊の侵攻を阻止した。ただちに帰還し、対地装備に切り替えて掃討作戦を実施せよ》
《ゴースト1、了解。各機、帰還するぞ。RTB》
一機の損失も無く首都を守り切ったゴースト隊は、来た時と同じように翼を翻し基地へと戻って行った。