公式設定及びご本人方の配信でのお話に出来るだけ基づいて執筆させて頂くつもりですが、展開の都合上、事実とは異なる場合がございます。解釈不一致が苦手な方、公式設定から外れたものが苦手な方は御遠慮下さい。
1話目なので短いですが、良ければお読みください。
雪の影も薄れゆくある日、いつものように店番をしているとふと1人の女の子が目に付いた。
整った綺麗な顔立ちで、落ち着いた雰囲気を醸し出していた。
それでいて何か惹き付けられるようなものを感じた。しかも、いつかどこかで見かけたようで、不思議な感覚がした。
その魅力を、感覚の正体を知りたいと純に思った。
とはいえ、人見知り故に自分から話しかけることなど到底無理な話だった。
そんな風に頭の中で独りでに思考を巡らせていたところ、声を掛けられてふと現実に引き戻された。
「すみません、お会計いいですか?」
「あっ、ご、ごめんなさい…!ボーッとしちゃってて…」
「大丈夫ですか?無理しないでくださいね」
「だ、大丈夫です、ありがとうございます…」
包まれるような優しい声を聞いて余計に頭が混乱していく中、なんとか会計を済ませた。
すると、
「また来ますねっ」
と、振り返って眩しい笑顔を向けながらそう言って去っていった。
その時、ふと自分の中の何かの歯車が動き出したような気がした。一体それが何なのか、正体は分からなかったが、異様に鼓動が速くなっているのを感じた。
体全体が大きく揺れ動いているかのように感じるほどのそれはしばらく止まりそうになかった。
しかし、動機などとは違い、胸の高鳴りを感じるものだった。だからか、とてもワクワクして堪らなかった。
その日は、女の子のことが頭から離れずなかなか寝付くことができなかった。
〜〜〜〜〜
あれから一週間ほどが過ぎ、桜の舞う新学期の始まりが訪れた。今日から高校生になるが、中高一貫校のため、特に新鮮味のある新学期ではなかった。そう、始業式が終わるまでは…。
「今日は高等部からの新入生が来ますよ〜!」
担任の先生は声高らかにそう言った。それもそのはず、高等部から入ってくる生徒は珍しいのだ。クラスメイト達もざわついている。
だが、あの日の子のことが気になって、ずっと窓の外を眺めていた。
「さあ入ってきて!」
先生がそう言って呼ぶとその生徒は教室へと入ってきた。
「どうも〜、猫又おかゆで〜す」
と自己紹介した。
その自己紹介を聞いた刹那、無意識にその声の主の方へと顔を向けた。
あの子だ。あの日の子だ。間違いない。
そう気付いた途端、あの日のように鼓動が速くなった。体が熱くなる。だが、やはり高揚感を感じる。
と、その時、
「猫又さんはご家族のお仕事の都合でこちらに引っ越してきたそうです。慣れない事も多いと思うから、みんな助けてあげてね!」
と先生が続ける。
それを聞いて思った。そうだ、まだあの子のことを何も知らないんだ…。
そうやって考えに耽っていると先生に声をかけられた。
「戌神さん、隣の席だから猫又さんに学校を案内してあげてくれる?」
そう言われてふと横を向いてみると気が付かぬうちにあの子が座っていた。
状況を全く飲み込めずキョトンとしているとまた声をかけられた。
「戌神さん、よろしくね♪」
「は、はぃ……」
急に話しかけられたせいであまりにもか細い声が出てしまった。
声の小ささのあまりに、無視されたと思っていないかと案じてそっと横を見ると、猫又さんは満面の笑みをこちらに向けていた。
予想外のことについ顔を逸らしてしまった。
何とも言えない空気にどうしたものかと心の中であたふたとしていると、また先生が口を開いた。
「では、新しい子の紹介も終わったところでホームルームを始めましょうか!」
〜〜〜〜〜
始業式の日とあって、ホームルームが終わった後にプリントの配布やこれからの説明をされてすぐ解散となった。
だがもちろん、彼女にとってはこれからが始まりだった。
(学校案内、緊張する…)
先生に頼まれていた通り、あの猫又さんを案内しなければならない。その緊張に押し潰されそうになっていた。
そしてその時がやって来てしまった。
「じゃあ戌神さん、後はよろしくね!」
と、先生に託される。内心堪ったものではなかった。そこに追い打ちをかけるかのように、
「改めてよろしくね、戌神さん!」
と、またもや満面の笑みで猫又さんは話しかけてくる。それに対して少し俯きながら頷いた。
〜〜
「こ、ここが理科室で…」
〜〜
「そ、それでここが図書室…」
〜〜
「…そしてここが職員室…」
「へぇ〜、こんなに広いんだ〜」
「そ、そうです…」
「戌神さん、ずっと緊張してるみたいだけど大丈夫…?」
「えっ!?あっ、だ、大丈夫、じゃないです…」
「だよね〜、朝からずっとガチガチだし」
「ご、ごめんなさい…」
「謝らなくていいんだよ〜、初対面だと緊張しちゃうよね〜」
自覚しているほどに明らかに異常に緊張しているのにも関わらず、猫又さんは優しい声でフォローしてくれた。
その優しさに包まれて、思わず声が漏れた。
「あ、ありがとう…」
突然の感謝に一瞬猫又さんもポカンとしていたが、すぐに微笑み返してくれた。
何となく心の距離が近づいたような気がして嬉しかった。
〜〜〜〜〜
「じゃあ戌神さん、また明日ね!」
「う、うん、また明日」
学校案内も終えて2人は校門で別れようとした。
だが、2人は別れることなく同じ道を歩き始めた。
「あれ、戌神さんもこっち?まだお話出来そうだね!」
嬉しそうな猫又さんの顔を見て、こっちまで嬉しくなってきた。
そうして2人は色々な話をしながら家へと向かった。
「へぇ〜、小学生の頃からずっとお手伝いしてるんだ〜!」
「うん…まだ自分でパンを焼いたことはないんだけどね…」
「僕もまだおにぎり握ったことないんだよね〜。あ、僕の実家はおにぎり屋さんなんだ〜。ただおばあちゃんが働いてるの眺めてるだけなんだけどね〜。笑」
「そうなんだ、いつか行ってみたいな…」
「ぜひ来てよ〜!うちのおにぎり美味しいよ!僕が作る訳じゃないけど笑」
「うん…!行きたい…!」
「夏休みとかに行けたらいいね〜!あ、僕んちここなんだ〜。まだ引っ越してきて二週間くらいだけどね笑」
「え、近い…」
「戌神さんちはこの先の大通りのとこだもんね〜」
「えっ、やっぱり気づいて…??」
「当たり前だよ〜、あの時も緊張してたよね笑」
「うぅ…恥ずかしい…」
「また今度行くね!」
「うん…!」
「じゃあまた明日ね〜、ばいば〜い!」
お互い手を振ってそれぞれの家へ帰った。
緊張しっぱなしの高校生活初日であったが、非常に充実した1日だったと感じる。
新鮮味のないと思っていた新学期が、あまりにも新鮮味に溢れていたものになっていた。
また明日から今日のような充実した毎日が続くと思うと楽しみで堪らなかった。
そんな高校生活へのワクワクを胸に布団へと潜った。
まだまだ彼女たちの高校生活は始まったばかり。
あまりにも在り来りな展開かもしれませんが、これから先、オリジナリティのある、私の好きなおかころを書いていきたいと思うので、これからも読んでいただけると幸いです。
宜しければお気に入りや感想など頂けると喜びます。具体的に言うと推しからリプが来た時くらい喜びます。よろしくお願いします。(切実)