銀河に願いを(カービィアニメ風   作:ゼロん

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沢山の読了をありがとうございます!
中には嬉しい感想も……本当にありがとうございます!
皆様の感想が執筆の励みやモチベになるのでありがたいです。

他作品を書いている時も皆様の作品は一つ一つ何度も読み返させていただいております。
これからも応援などを送ってくださると幸いです。
時間ができ次第、返信させていただきます。


お願い!ギャラクティック・ノヴァ!中編

 ****‘*

 

 

 それからマルクはカービィたちと共に日々を過ごした。

 

「釣れたぁ!」

 

「んん……うぉっ!? こっちの方がデカイのサ、カービィ!!」

 

『うおぁー!!』

 

 海で巨大魚を釣り上げたり。

 

「かわいい鳥サ。なんていう鳥なのサ?」

 

「それは……!」

 

「逃げてマルク!! 親鳥が来るわ!!」

 

 ダイナブレイドに攫われそうになったり。

 

「さぁさぁ、箱に入れたキュリオさんが……あら不思議!! こんなところにテレポートしてしまったのサー!」

 

『うおおおおわぁぁぁ!』

 

「はーい、花火に拍手なのサー!!」

 

 マルクが村のみんなに手品や魔法を披露したり。

 その時カービィやフームたちは誇らしげだった。

 

「デハハハ!! これでも喰らうぞいカービィ!」

「わたくしの開発したニューDDDハンマーの威力を思い知るでゲスよー!!」

 

「ぽ、ぽよ〜!! やめてよ、デデデー!!」

 

「そうはさせないのサ……ふん!!」

 

「────!? な、なんゾイ!?」

「く、車が持ちあがって……あら、あらららららっ!?」

 

 デデデのいじめからカービィを助けたり。

 

『ぎゃぁぁぁぁぁぁぁーーーーっっ!?』

 

 デデデたちはマルクの魔法で遠くへ車ごと吹き飛ばされてしまった。

 

「すげぇー!」

「マルクあなた、本当に魔法使いなのね……」

 

「ありがとう、マルク!」

 

「へへん。どんなものサ」

 

 デデデたちは車ごと池へボッシュート。

 

『ぶはっ!!』

 

 デデデとエスカルゴンは同時に水面から身体を出して口から水を吐く。

 エスカルゴンの頭上では魚がビチビチと跳ねている。

 

「ぺっ、ぺぺっ……まったくひどい目にあったゾイ!」

 

「あのマルクとかいう変なガキンチョが現れてから全くカービィに近づけないでゲスよ!」

 

 エスカルゴンは頭の上の魚を手で掴む。

 

「んむむむ……邪魔ゾイ! ワシも魔法を使いたいゾイ!!」

 

「あんた前に本に影響されて魔法学校なんて馬鹿なもん作ったでげしょうがよ」

 

 エスカルゴンはハリセンのように軽くデデデの肩を魚で叩く。

 

「あれはフィクションゾイ!! どんなフィクションもモノホンには劣るゾイ!」

 

「だから────!!」

 

「だから────!!」

 

『ぢhsbうぃzぐぁか────!!』

 

 二人の痴話喧嘩は放っておこう。

 

 

 ******

 

 場所はかわってカワサキの店。

 今日も店には閑古鳥が鳴いている。

 

「はぁ……どうしたら料理が上手くなるのかなぁ」

 

『相変わらず不味い!』

『カワサキの料理を食うくらいならレトルトの方がマシだ!』

『カップ麺でいいわ』

 

「うーん……オレやっぱ店畳んだ方がいいのかなぁ」

 

「……」

 

「あ、マルク! いらっしゃい!」

 

 マルクは落ち込むカワサキの向かい側の席に座る。

 

「おまえ、あんなに不味いってみんなに言われて悔しくないのかサ」

 

「……んん。けど不味いのは事実だし」

 

 マルクは目尻を指で摘む。

 

「カワサキ、ちょっと料理してるところ見せるのサ」

 

「えっ……いやでも」

 

「でもも糞もあるか!! 見せるのサ!!」

 

 

 

 ****

 

 

 時間は流れ、陽は落ちる。

 空には明るい星々が見えている。

 

「あ、マルク、見て見て!」

 

「なんなのサ、カービィ。もう夜なのサ」

 

「ほら! お星さまがたくさん!!」

 

 空には宝石箱をひっくり返したかのような星々が瞬いていた。

 

「星なんて珍しくないのサ」

 

 カービィは首を傾げる。

 なんだかいつものマルクじゃないみたいだったからだ。

 

「そう? すっごい綺麗だけど」

 

「僕は夜空なんて大っ嫌いサ。……見つめてると自分が小さく見えて嫌な気分になる」

 

 マルクはプイと不機嫌そうに俯いてしまった。

 しかしそんな彼を他所に、空には一瞬、星が落ちていった。

 

「あ、流れ星だよ!! 願い事しなくちゃ!」

 

「……」

 

 星に願ってもすぐに願いが叶うわけないだろ、とマルクはカービィに聞こえないように毒づく。

 

「ボクの願いが届くまで何年かかったと思ってるんだ……」

 

 ────ボクは全てこのために生きてきた。

 

 お前はどうなんだ、星のカービィ。

 お前は何不自由ない日々の中で何を願うんだよ。

 

 良い友達もいて、人々には愛されている。

 敵を倒せる力もあって。

 

 ボクとは正反対のお前が何を願うことが。

 

「マルクとずっと友達でいられますように! マルクとずっと────」

 

 カービィは三回、今は消えてしまった流れ星に向かって願いを唱えた。

 

『マルクとずっと友達でいたい』

 

 そんな小さな願いを込めて。

 

「……っ……なんだよ、それ……」

 

「ぽよ? マルク?」

 

 マルクは小さく、心の中で舌打ちをした。

 

「ふふっ、はははっ」

 

「マルク、ひどいよ、なんで笑うの!?」

 

「いや、違う違う。だってその願い、もう叶ってるじゃん」

 

「え?」

 

 マルクは笑う。

 

「だってボクら、もう親友でしょ?」

 

「……!! うん!!」

 

 嬉しそうに笑うカービィ。

 

 ────おまえみたいな脳なしピンクボールと友達なわけないだろ、バカが。親友だってぇ? ボクが本心で言うとでも? 本気にしちゃって! バッカでぇ!

 

 そんな彼を嘲笑いながら、心の中で嗤っていた。

 カービィに本性がバレぬように、笑顔の仮面を付けて。

 

「マルク! ぼく、マルクと会えて毎日がもっとたのしくなったんだ!」

 

 カービィの言葉を聞く傍らでマルクの脳裏に幻聴が響く。

 

『────お前みたいなのに、友達なんかいるもんか!』

『マルクってつまんなーい』

『手品しかできないし!』

 

「ボクも楽しいよ、カービィ」

 

「マルクはほんとうにすごい! 魔法でデデデをわーって浮かしちゃって! それでサッカーもすっごく上手いし、手先も器用で、ボールを扱うことだったら何でも上手!」

 

『────落ちこぼれ!!』

『マジカル族の恥さらし!』

 

「カービィの方がもっとすごいよ」

 

「ぼくはみんなに助けられただけだよ。フームたちがいなかったらぼくはダメダメだったと思う」

 

『落ちこぼれマルク!』

『負け犬マルク!』

 

「……」

 

「マルク?」

 

 黙ってしまったマルクにカービィは心配そうに顔を覗き込む。

 

「だいじょうぶ?」

 

「はっ!? い、いや、なんでもない。なんでもないから……」

 

 しまった、とマルクはぎこちない笑みを浮かべる。

 

「どこか痛いの? なにか変なものを食べちゃった?」

 

「まっさか! カービィじゃあるまいし! ははははっ」

 

「ひどいよ、もう!」

 

「ごめんごめん、怒らないでサ」

 

 機嫌を損ねたカービィにマルクは帽子と星のついたボールを取り出す。

 

「ここにあるボールが……あっと不思議!! 増えてしまいました!! 3、4、5、7! どんどん増える!!」

 

「わぁぁぁぁぁ!!」

 

 手玉にしたボールがどんどん増えていき、ジャグラー、足と手を両方とも使った最高のジャグラーへ。

 

「すごいよ、マルク! まるでサーカスみたい!」

 

「こ、このくらい朝飯前さ!」

 

 マルクは顔を赤らめてカービィから目を逸らす。

 

「……ねぇカービィ」

 

「? どうしたの?」

 

「もし……サ。もしの話なんだけどサ」

 

 マルクは言いにくそうに顔をカービィから逸らす。

 

「もし、今までのボクが嘘だったら……どうするのサ?」

 

「ウソ?」

 

「ボクが本当はすごい魔法使いなんかじゃなくて、手品みたいな魔法しか使えない落ちこぼれだったら……カービィは仲良くなってくれたサ?」

 

「さっきみたいな?」

 

 カービィからの問いにこくりとマルクは頷く。

 

「関係ないよ!」

 

「えっ……」

 

「どんなマルクでも、ぼくは友達になれたよ」

 

「カービィ……?」

 

「魔法が下手でも、運動ができなくても。けど本当は優しいマルクが大好きだよ!」

 

 マルクにはカービィの笑顔が眩しくて。少し、辛かった。

 

「ねぇマルク! ぼくね! 明日、誕生日なんだ!」

 

「そっかぁ、おめでとうなのサ」

 

「うん、それでね! マルクにも来てほしいんだ! フームが誕生日会を開いてくれるんだ!」

 

「カービィは明日産まれたのサ?」

 

「ううん。明日がぼくがはじめてププビレッジに来た日なんだ」

 

 カービィはたくさんのことをマルクに話した。

 星の戦士として、幼くして命をかけて戦わなければならなかったこと。

 フーム、ブン、メタナイト、時にデデデにも助けられて今までやってきたこと。

 

「デデデはね。意地悪だけど本当はいい人なんだ。子供っぽくて純粋なんだってメタナイトが言ってた!」

 

「……あいつがねぇ」

 

 マルクは疑わしげに目を細める。

 あんな意地悪フーセンオヤジのどこに良いところが。

 

「デデデやエスカルゴンも誕生会に呼びたいんだ! カワサキがフライパンを貸してくれるから、たっくさんのごちそうを作って、みんなでお祝いする!」

 

「……カービィは憎くないのサ?」

 

「え?」

 

「デデデやエスカルゴンに仕返ししてやりたいって考えたことはないのかサ?」

 

 カービィはうーんと少し考える素振りを見せる。

 けど悩むのはほんの数秒。

 

「デデデは意地悪だけど、たまにスイカをくれるし。エスカルゴンもお手伝いをするとお菓子をくれるんだぁ。本当はいいところもあるんだよ」

 

「はぁ?」

 

 それ、ただ餌づけされてるだけだろ、とマルクは内心呆れる。

 

「カービィ、おまえ。いつかは人を疑って憎むことを覚えないと壊れちゃうのサ」

 

「うーん。ぼくは難しいことはわからないや」

 

「おまえなぁ……人のやることには裏があんの。誰かに好かれたい、誰かを貶めたいとか」

 

「だれかにスイカ? 誰かをお年玉?」

 

()()()()()! ()()()()サ! 誰が食べ物やお小遣いの話なんか……もういいよ。カービィには難しい話みたいだし」

 

「よくわからないけど、人にはいいところも、悪いところもあるんだよ!」

 

 カービィの言葉に当たり前だろ、と返すマルク。

 

「まぁいいや。誕生会、出てやるサ」

 

「ほんと!?」

 

「デデデやエスカルゴンも来るんだろ? ならお優しいカービィに代わって、奴らが変な真似をしたら懲らしめてやるのサ」

 

「やったぁ! 楽しみだなぁ!」

 

「……」

 

 変なやつ、とマルクはちょっと笑った。

 

 

 

 ******

 

 

「カービィは眠ったか」

 

 マルクは隣で眠るカービィを起こさぬように、そろりとベッドから抜け出す。

 

「いよいよだ……今日、ワープスターを収納するカブーのいる星々が特定の軌道にのるのサ」

 

 結構は今しかない。

 

「カービィ。お前は悪いやつじゃないけど、少々おバカすぎるのサ。世間の厳しさってもんを、このマルク様が直々に教えてやるのサ」

 

 マルクはある場所を目指すべく飛び立った。

 

「全てはボクの計画通りなのサ……!!」

 

「……」

 

 飛び立つマルクを、トッコリはこっそり見ていた。

 

「なんか怪しいから見張ってたけど……やっぱアイツ……」

 

 トッコリはカービィの元へ飛ぶ。

 ドアを開けて、カービィの枕元へ。

 

「カービィ! おいカービィ起きろよ!!」

 

「……ん、トッコリ……?」

 

「マルクを信用するな! あいつなんかロクでもないこと企んでるぞ!」

 

「マルクが……? そんなわけないよ……むにゃ」

 

「おい……! おい寝ぼけんなカービィ起きろって!! ぎょぇ!!」

 

 トッコリは寝返るカービィの下敷きになってしまう。

 

「くそっ……!! このおつむの足りねぇフーセンボールが……! こうなったらオレが証拠を掴んでやる!!」

 

 トッコリはマルクをつけて飛ぶ。

 だがマルクの飛ぶスピードは思ってたよりも早く、追いかけているのに距離をどんどん離されてしまう。

 

「くっ、あいつめ……なんてスピードだっ」

 

「お急ぎでいったい誰を追いかけているのサ?」

 

「ああん!? マルクってガキだよ!! え、えぇぇぇぇっ!?」

 

 驚くトッコリの隣にはマルクがいた。

 

「ハロー、チキンボーイ」

 

「お、おまえ、なんで……!? 前を飛んでたじゃねーか……」

 

「くっくっく……」

 

 マルクが指をならすと、トッコリの前を飛んでいたマルクがクラッカーのように破裂してしまう。

 

「少々頭のいいチキンがいたようなのサ。囮を飛ばして後をこっそりつけて正解だったのサ」

 

「ちっ……!!」

 

 トッコリは逃げようとする。

 

「カービィに……伝えねぇと!!」

 

「ベロベロバァッ!!」

 

「ッ!?」

 

 しかし瞬間移動のできるマルクから逃げられるはずもない。

 

「さて、鬼ごっこは終わりサ。目障りなキミにはちょっとオシオキしちゃおう!!」

 

 マルクは不気味な笑みと共に禍々しい色の雷が周囲に集まっていく。

 

「ひっ────」

 

 暗い星の見えなくなった空の下。

 

 

「おーっほっほっほっ!! おーっほっほっほっ!!」

 

 トッコリの悲鳴と、マルクの邪悪な笑い声が響いていた。

 

 

 

 *******

 

 

「あれ……? おいカービィ! 起きろよ!」

 

「ぽよい……なぁに、トッコリ……まだ夜だよ」

 

「トッコリじゃねーよ、オレはブン! ちげぇよ、今は朝だよ!!」

 

「んんーぽよい!? もう10時!? すごい暗いよ!?」

 

「いや……窓の外見てみろよ! まただ!!」

 

 明るくなったり、暗くなったりを繰り返す。

 

「ぽよよよ!? なんか朝と夜がごっちゃごっちゃ!」

 

「そうなんだよ!! 太陽と月が衝突したり、殴り合ったりで昼と夜がめちゃくちゃだ!!」

 

 家の外ではフームが待っていた。

 

 村の人々は不安がってププビレッジの広場に集まっていた。

 

「なにごとゾイ!! あの太陽と月の喧嘩はなんゾイ!!」

 

「私たちもわからないの!!」

 

「なぁ姉ちゃん、アレ……!」

 

 

 空を見上げると、太陽と月が互いにガンを飛ばして取っ組み合っていた。

 

『おまえだろ、オレのプリンとったの!!』

 

『ちげぇっつてんだろ!! ていうかオレは毎日夜勤なんだ!! 少しはサービスしろよ!!』

 

『うるせぇ、オレの方が労働時間は長いんだ!! たか、サービスって言葉が出てるってことは、やっぱお前が取ったんだな!!』

 

『違う!!』

 

『そうだ!!』

 

『違う!!』

 

 どうやら太陽の方のプリンを誰かがとったことが喧嘩の理由らしい。

 

「喧嘩の理由がしょうもないぜ……!!」

 

「彼らは……」

 

「────ポップスターの太陽と月を司っているMr.ブライトとMr.シャインだ」

 

 メタナイトの登場にあたりが賑わう。

 困った時は、まずはフームかメタナイト。

 それくらい彼はみんなに信用されているのだ。

 

「ミスターブライト?」

 

「ミスターシャイン?」

 

 ブンとフームが首を傾げる。

 

「彼らはいわば太陽と月の化身。彼らが決まった時間に交代交代で空に浮かんで動くことで、この星の昼と夜の周期が守られている」

 

「彼らが喧嘩しちゃってるから昼と夜がめちゃくちゃなのね……」

 

「交代交代で一日中働くってまるで24時間営業のコンビニとか消防士みたいだな……」

 

『こんのーっ!!』

 

『ぐぁっ!!』

 

 太陽が月を殴り飛ばすと、真っ暗だった空が急に明るくなる。

 

『やったなこのーっ!!』

 

『うおわ!?』

 

 今度は月が殴り返す。空は夜のように真っ暗に。

 

「互いの力は互角。このままでは共倒れだ」

 

「そうなったらどうなるの!?」

 

「ブライトとシャインが消えれば、ポップスターが雲に覆われて恒星の光が届かなくなる」

 

 フームの問いにメタナイトは答える。

 

「……月と太陽の光がなくなったポップスターはいずれ死の星になるだろう」

 

『!?』

 

 デデデを含めた全員の顔が驚愕に満ちた。

 

「月がなくなることで潮の満ち引きがなくなり、太陽の光がなくなれば、ポップスターのあらゆる植物は死に絶える」

 

「そ、そうなったら……」

 

「作物が育たなくなって……」

 

「動物もいなくなる……」

 

「みんな遠からず飢え死にでゲス!!」

 

 エスカルゴンが悲鳴をあげる。

 

「大事件じゃない!! カービィ、なんとかできない?」

 

「ぽよ! やってみるよ!!」

 

「お願い、ワープスターっ!!」

 

 ワープスターに乗り込んだカービィがシャインとブライトの喧嘩に割り込むが……

 

『邪魔すんなーっ!!』

 

 シャインとブライトがカービィを殴り倒し、全身を火だるまにしてしまう。

 

「ぽよーーーーっ!?」

 

『カービィ!!』

 

 黒焦げの風船玉と化したカービィはゴムまりのように地面に落ちてしまう。

 

「カービィ! 大丈夫!?」

 

「うーん……だいじょうぶポヨォ……」

 

 フームが駆け寄るが、とても大丈夫そうには見えない。村人全員がざわめく。

 

「メタナイト!! なんとかできんのか!!」

「ハルバードでぶっ飛ばして大人しくさせるでゲス!!」

 

「陛下、ハルバードの二連射砲では威力が高すぎます。シャインとブライトが死んでしまう可能性が……」

 

「ええい、役立たずめ!!」

 

「え!? 陛下!?」

 

 呼び止めるエスカルゴン。しかしデデデがシャインとブライトの方へ走って行ってしまう。

 

「おいブライトにシャインとやら! 喧嘩を今すぐにやめて昼と夜を元に戻すゾイ!! さもないとぶっ飛ばして────」

 

『うるせーっ!!!』

 

 当然ながら怒り心頭なブライトとシャインの八つ当たりを喰らう。

 

「ギャァァァァァァァハハハァァァァエ!?」

 

「ああああ、へいかーっ!?」

 

 全身火だるまのデデデは急ぎ泉に身体を突っ込む。

 泉から煙が上がり、浮かんできたのは黒焦げのデデデだ。

 

「び、ビーチで日光浴をするまでもなく真っ黒くろぞい……」

 

「あああ、へいかぁ〜……なんというお姿に……」

 

 そんな言葉をかけるエスカルゴンだがよくみると笑いを堪えきれず若干口元が緩んでいる。

 

「笑い事じゃないゾイ!! カービィ!! もう一回行ってきて早く太陽と月を止めるゾイ!!」

 

「ぽよ!? いやだよ! 熱い!!」

 

「なんてこと言うの! 一回行っただけでこんなに酷い目にあったのに!」

 

「ワシだって酷い目に遭ったゾイ!!」

 

 笑うエスカルゴンにキレたデデデはカービィに当たるが、フームがそれを止める。

 

「カービィにもどうしようもないのでは……」

 

「プププランドはこのまま終わってしまうのですかな……」

 

 村長とボルン署長が顔を見合わせる。

 

「オレ、まだ死にたくないよーっ!!」

 

 カワサキが悲鳴をあげる。

 全員がザワザワと不安がっていたその時。

 

 

「ヘイヘイヘイヘーイ! どうしたのサ、みんな! なんか昼と夜がごちゃごちゃだけども、この星では当たり前なのサ!?」

 

 

『マルク……!』

 

 フームたちを含めたみんながマルクに目線を移動させる。

 

「カービィ? どうしてそんなに真っ黒こげになってるのサ!?」

 

「マルクお願い! あなたの魔法でなんとかできない!?」

 

 フームがマルクに頼み込む。

 

「あの月と太陽が喧嘩してるんだ! 早く止めないとプププランドがめちゃくちゃになっちまう!!」

 

 カービィも止めようとしたんだ、とブンはカービィを抱き抱える。

 

「残念ながら、ボクの魔法でもさすがに無理なのサ。下手にちょっかい出して怒らせたら怖いのサ」

 

「そうなのね……」

 

 マルクの答えを聞いて、エスカルゴンとデデデが癇癪を起こす。

 

「なんだ使えない!!」

 

「本当に頭にくるガキンチョゾイ!!」

 

「そんなこと言わないで!! マルクは私たちのために悩んでいるのよ!」

 

「でももしかしたら……」

 

 マルクは思い当たる節があるように眉をあげる。

 

「みんな聞いて! もしかしたら、ボクの旅で得た知識が役に立つのサ! ちょうど条件が揃っているのサ!」

 

『条件?』

 

 フームとブンがマルクに問う。

 

「銀河の遠く遠く。船ではたどり着けないほど遥か遠い宇宙の彼方。そこにはギャラクティック・ノヴァという大彗星があるのサ」

 

「ギャラクティック・ノヴァ……」

 

「知ってるの? メタナイト卿?」

 

 フームがメタナイトの方に向き直る。

 

「宇宙に伝わるとても古い伝説だ。たしかギャラクティック・ノヴァは……」

 

「そう。そこの仮面の騎士さまの言う通り。その遥か彼方から呼び出した者の────どんな願いでも聞いて叶えてくれる奇跡の大彗星サ」

 

「どんな願いも!?」

 

「叶えるぅ!?」

 

 フームとブンの悲鳴を皮切りに村人たちは賑わう。

 

「陛下!! 聞いたでゲスか!?」

 

「あぁ、どんな願いでも叶える大彗星。……ところでエスカルゴン?」

 

「なんでゲスか?」

 

「彗星ってなんゾイ?」

 

「がくっ!?」

 

 エスカルゴンは呆れてずっこける。

 

「彗星って言うのは目で見えるくらいのデッカい流れ星のことでゲス!」

 

「なんだ、流れ星のことかゾイ。星に祈ればいいのかゾイ?」

 

「いいや。そんな簡単じゃないのサ。伝説って呼ばれるだけあって、呼ぶのはすーっごく難しい条件があるのサ」

 

 マルクは説明する。

 

「簡単に言うと……ひとつ、呼び出したい星系の星々にある七つのカブーを星の戦士の乗り物、ワープスターの力で繋ぐのサ。そうしてノヴァを呼ぶ星のパワーを溜めるのサ」

 

「それなら……」

 

「カービィが適任ね」

 

「任せて!」

 

 まだまだ条件はあるから聞いてちょ、とマルクは止める。

 

「ふたつめ。純粋無垢で正しき心を持った者が言った願いしかノヴァは受けつけないのサ。決してノヴァが悪しき者に悪用されないために作られた条件みたい」

 

「純粋無垢……」

 

 やっぱりカービィに当てはまる条件。

 

「みっつめ。これがもっとも難しいのサ。ノヴァを呼び出すために繋ぐ星々。それがちょうど、七つ星の形になってなければダメなのサ」

 

「えぇ!?」

 

「周りの星が七つ星の形に並ぶって……」

 

「とすると……こんな形ですかな?」

 

 キュリオ博士が地面に星が並んでなければならない七つ星の形を書き出す。

 

『*』

 

「そうそう。アスタリスクっぽい……雪の結晶みたいな形サ。真ん中に一つの星がなきゃだめね」

 

 マルクがニヤリとしたり顔で言う。

 

「そして、ポップスターのある星系。周りの星々がちょうど……今はこんな形になってるのサ!」

 

『あぁっ!!』

 

 ポップスターの周囲にバラバラにある星々を線で結ぶ。それはマルクは提示した三つ目の条件と同じ形だった。

 

「ちょうど今日。天文学的な確率でしか揃わない星の並び方が満たされる。三つ目の条件に合った並び方になるのサ」

 

「すごい!! それじゃあ……!!」

 

「そう。奇跡的に今日がノヴァを呼び出せる日なのさ」

 

「カービィの来た日に重なるなんて……運命のようなものを感じるわ」

 

 フームは感慨深く胸を撫で下ろす。

 

「わかった! じゃあぼくがワープスターで星々を結んでくるよ! それぞれの星にいるカブーに頼めばいいんだよね!?」

 

 カービィが自ら志願する。

 

「けどカービィ。他の星にいるカブーの場所がわかるの?」

 

「えっ? えーと……」

 

「わかってなかったんだな……」

 

「ダメよ、カービィ。勢いだけで行こうとしちゃ」

 

 呆れるブン。フームがカービィに注意する。

 

「カービィは仕方ないのサ。ここは、ボクが人肌脱いでやるのサ。カブーって前にフームが案内してくれた石の建物でしょ? それなら旅する傍らに見かけたのサ」

 

「ほんとう!?」

 

「じゃあマルク……!」

 

「うん。ボクがカービィにそれぞれの星々のカブーの場所を案内してやるのサ!」

 

 村人全員が歓心と喜びでいっぱいの声をあげる。

 ブンがよっしゃあ!と。

 決まりね、とフームが笑顔で言った。

 

「カービィ。お願い。ギャラクティック・ノヴァを呼び出してシャインとブライトの喧嘩を止めるように言ってちょうだい!」

 

「頼んだぞ」

 

「うん! 任せてみんな!! じゃあマルク! お願い!!」

 

「わかったのサ!」

 

 村人全員に応援されてカービィはポップスターで宇宙空間へ飛んでいく。

 

「すごい……」

 

 カービィはあっという間に飛んで見えなくなってしまった。

 

「頼んだわ。カービィ……あれ!? デデデがいない!?」

 

 

 

 

 *****

 

 

 デデデは話を聞いてすぐに車で城へと戻っている最中だった。

 

「どわははははは!! ノヴァを呼ぶのはカービィに任せるゾイ!! 呼び出したところを横からワシがいただきゾイ!」

 

「なるほど! 陛下の願いを叶えてもらうでゲスな! けど太陽と月の方は大丈夫でゲスか?」

 

Dark Matter Industry(ダークマター・インダストリー)の魔獣で喧嘩両成敗ゾイ! たかが喧嘩の仲裁にノヴァを使うなんぞ馬鹿げてるゾイ!!」

 

「なるほど、さすがは陛下! ナイスアイデア!!」

 

「ワシをコケにしたシャインとブライトに目にものを見せてくれるゾイ!! だーっはっっはっは!!」

 

 願いを叶えるのはワシゾイ!!とデデデとエスカルゴンは笑いながら帰っていく。

 

 

 

 *****

 

 

「……フーム」

 

「えぇ。またデデデはロクでもないことを企んでるわね」

 

「それよりも気になるのはマルクという少年の方だ」

 

 メタナイトは目を緑色に輝かせる。

 

「マルクが?」

 

「うまく隠しているが……あの少年からは邪悪な気配がする。太陽と月の喧嘩。そしてギャラクティック・ノヴァ。────何か大きなことがこのポップスターに起ころうとしている」

 

 未だに移り変わり続ける昼と夜の空をメタナイトは険しい目つきで見つめていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ******

 

 

 

 ファイナルスター放送室。

 

「ダークマター様。ちょうど一週間が経ち、デデデ陛下が魔獣をお求めになりました」

 

「よし。作戦は第三段階に移った。手はず通り、デデデに魔獣を送れ。強力なのをたくさんだ」

 

「はっ! ただいま!」

 

「さすがはゼロ様……ここまでは全て順調……あとは星の戦士のお手並みを拝見といこう」

 

 ダークマターは再びゼロの元へと進捗を報告する。

 

「ゼロ様」

 

「……ふふ。どうやらカービィはすっかりマルクくんを信用しきっているようだね。村の連中も」

 

ゼロはカービィたちの様子を映した窓のような空間を機嫌が良さそうに目を細めて見ている。

 

「はっ! おそらくまもなくギャラクティック・ノヴァが……」

 

 ゼロの白き体から無数の魔獣が生み出される。

 そしてそのどれもが強力な力を秘めている。中にはかつてナイトメアの作った魔獣たちもいた。

 

「手はず通り……さぁここからが見ものだ。さぁマルク……私の与えた闇の力を存分に振るうがいい……ははははっ!」

 

 ファイナルスターにはゼロの笑い声が響いていた……。

 

 




読了ありがとうございます!
各星々の冒険は書いていると身が持たんのでカットさせていただきます(続きはゲーム本編で!)

代わりに後編ではカービィとマルクにフォーカスさせていただきます。
(それ以外も諸々あるのでお楽しみに!)
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