転生したら悪の組織のマッドサイエンティストでした。 作:サカマキまいまい
ふと気づいたら俺は正義の魔法少女を絶賛改造中だった。
何を言ってるのか分からねーと思うが(以下略)
気づいたら見たこともない機器が並ぶ手術室にいて、右手には15歳くらいの少女の左腕を掴んでいた。
......正確には肘部分で切り離された左前腕部を。
とんでもなくパニックになったが、その少女が瀕死の状態だったからとにかく治療を優先した。
自分よりヤバい奴がいたらかえって冷静になるよな。
幸い前世(とは認めたくないが)は医者だったし、初めて見る機械の使い方もずっと使ってきたかのように分かったから手術(改造)は成功できた。
前腕部の負傷は切断する必要性を感じなかったからなんとか繋げ直し、焼け焦げた機械部分は新品のパーツに交換し、人工皮膚でコーティングした。
そこで漸く人心地がつき、手術台の上で拘束された少女の顔を見て愕然とした。
俺は彼女を知っている。
ウェーブのかかった艶やかな髪に紫に輝く瞳。顔立ちはすっきりといていて、まだどこか幼さを残しながらも妖艶な美しさを感じさせる。
無機質な瞳で俺を見つめる表情は死んでいるが。
彼女の名は綾瀬レン、又の名を魔法少女ロータス。
世界を悪の組織から守る魔法少女の一人で、凌辱ゲーである『エンド・オブ・マギア~慟哭の魔法少女』に登場するサブヒロインだ。
物語中盤で行方不明となった彼女は、とあるルートでは物語の最終盤で主人公たちの前に再び姿を現す。
ただし、その身体のほとんどを改造され敵に洗脳された姿で。
じゃあ彼女を弄繰り回した俺は一体何者なんだ?
嫌な予感がしながら手術室を出て手洗い場に行くと、そこの鏡に映っていたのは、ひどく根暗そうな男の姿だった。
厚底の眼鏡を掛け、灰色の髪を無造作に伸ばし、ヒョロヒョロの体の上から薄汚い白衣を纏っている。
ああ、こいつのことも知っている......。
ヒトの身で魔王の手勢に加わった裏切り者でありながら、多数の魔法少女を捕獲、処分した功績で幹部にまで昇りつめた男。
影山冬彦。
なんでも理解できなければ気が済まない男で、己の好奇心を満たすために多くの魔法少女を手にかけ、彼女たちの命と尊厳を踏みにじった男だ。
生粋のサディストで、己が手に入れられない力を持つ魔法少女たちに嫉妬し、彼女たちを研究するために、異世界からの侵略者どもの軍門に下った。
魔法少女の力を手に入れる為なら何でもやる。解剖も、投薬も、ありとあらゆることを彼女たちで試し、愉しんだ。
そしてどうやら、その記憶はこの体に憑依した俺にも共有されるらしい。
記憶が濁流のように押し寄せてくる。
『面白い。脆弱な人間だがその欲望に免じて我が軍門に加えてやろう』
にやりと笑う青い巨人。
『貴方にはいつか必ずこの報いを受けさせるわ......』
腹部から血を流し睨みつける女性。
『どうしてこんな酷いことが出来るんですか? いや、いやいやいやいややめて!!!』
鮮やかなドレスを纏った少女が魔族の群れに飲まれていく光景。
これまでこの肉体が経験してきたあらゆる出来事が俺という魂にフィードバックされる。
(......最悪の気分だ)
否が応でも、自分が影山冬彦というゲームキャラに成ってしまったのだと思い知らされる。
どうやら俺は、ただでさえ胸糞悪い凌辱ゲーの世界の、絶賛バッドエンド進行中のルートで、悪の組織のマッドサイエンティストになってしまったらしい。
/(^o^)\ オワタwwww