Re:ゼロから時飛ばす異世界生活   作:きなこ餅君

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第五話 悪魔の顔

▽▽▽▽▽

 

「―――あ"ァ!! マジでどうしよ!? 何も思いつかねぇ……」

 

スバルは路地裏に座り込み、なんでいると

とても信じられないことが起きた。

 

 

 

ピコンッ!

 

「あぁ? スマホのメール? たくッ…… こんなやべえ状況でよくメールを送ってくるのかわけ分か……メール!!?

 

 

ソレは、スバルが元の世界で聞き慣れていた

スマホのメールの着信音だった。

 

「なんで有線どころか電波の電の字も無い異世界でメールが届くんだよ!?」

 

無論、そんな疑問に答えてくれるものはこの世界には存在しない。

スバルは、疑心暗鬼な考えを抱えながらスマホのメールを確認した。

 

 

『助かりたい?』

 

書かれていたのはこの一文。

何に対してのモノだったのかはスバルには理解できた。

 

「助かりたい? ああ、こんなクソッタレな状況を助けてくれるなら助けてほしいものだね!」

 

スバルは、送られたメールに対して返事が帰ってくるわけもないのにと分かっていながら

いちゃもんをつける。 そりゃあ、こんな状況に送られているなら文句の一つでも出てくるだろうが……

 

ピコンッ

 

「!?」

 

『なら、私が助けてあげる』

 

何という恐るべき事態。

あろうことが、メールを返信していないのに相手から返事が来たのだ。

ちょっとどころか、かなりのホラーである。

これは、流石のスバルもビビる。

 

「おいおいおい! これは電話じゃあねえんだぜ!? なんで返信もしてねえのに返事が来るんだよ!? おかしいだろ!? つーか誰だよお前! 俺、こんな異世界にメル友なんていねえぞ!?」

 

ピコンッ

 

『私は《サラ》。 貴方の望みをお手伝いする相棒(バディ)……』

 

「いきなり相棒とか大きく出てきたなこいつ…… で、お前は俺をどんな風に助けてくれるんだ?」

 

ピコンッ

 

『私があらゆるルートの中から貴方が望む最適な未来に導くのが私の役目。 この世界で言うならば《福音書》と同じもの』

 

「福音書?」

 

ピコンッ

 

『福音書は、その持ち主の未来を記述する本。 私はそれと同じ役目を担っている』

 

「つまり、アンタの言うとおりにすればこの状況を打破出来るってことか?」

 

ピコンッ

 

『そう。 早速だけど、貴方にもう一つプレゼントがあるわ。 貴方のバッグに』

 

「ほわぁつ!? いつの間にバックに入れたんだ!? 一体何が…… ってなんじゃこりゃァァァ!!?」

 

スバルは、《サラ》という人物?の言うとおりに自分のバッグを開けると、とんでもねえ物が入っていた。

 

「何だ()()()()は!?」

 

ピコンッ

 

『それは、■■■■の矢と言って「ただのガラクタじゃあねえか!!」え?』

 

「こんな矢があんなにヤバ過ぎる対殺人鬼に役に立つわけねえだろ!! 馬鹿にしてんのか!!? たくッ! 一瞬でも期待した俺が馬鹿だったぜ! あ、そうだ…… 確か盗品蔵は物を売るってこの世界の金銭を得る事が出来るんだよな……」

 

ピコンッ

 

『あの…… ちょっと…… それは流石に……』

 

このとき、自称天才スバルの脳裏に駆け巡った生粋の悪魔的アイデア!

 

「この矢、売っちまおう! なんか金ピカだし、多少高く売れるだろう! そしてその金でこの国を颯爽とおさらばすればイージャン!!」

 

ピコンッ

 

『駄目ェェェ!! それは駄目ェェェ!! この世界、いやこの作品終わるゥゥゥ!!!』

 

そんなサラの悲痛な叫びもスバルの耳には届いていない。

彼は、自分の勝利は確信したからだ。

 

「勝った!! 第一章完!!」

 

このあとも、スバルはきっと数々の困難が待っているだろう。

でも彼ならば色々あっても乗り越えるだろう。

 

  re:ゼロから■■■■異世界生活 ー完ー

 

 

 

 

 

 

 

 

ピコンッ

 

『終わってたまるかァァァ!!!』

 

当然、こんなめちゃくちゃな事にサラはブチ切れてた。

 

「え〜 もう終わりで良くね? このまま俺のハッピーエンドで良くね?」

 

ピコンッ

 

『それ以前に終わってはいけない色々なものが終わってるんだよォォォ 売るの駄目だからね! 売っちゃあいけないヤツだからねソレ!!』

 

「えー…… じゃあこれからどうすればいいの?」

 

ピコンッ

 

『それは』

 

 

「おうおう! 兄ちゃん! なんか高そうな矢ぁ待ってんなぁ!」

 

当然、路地裏の出口から聞き慣れた声が聞こえた。

このとき、スバルは思い出した。 そういえば、セーブポイントはリンゴ売りおっさんの所から場所的にも時間的にも余り変わってないことに。

 

「ハァー…… またお前らか…… トンチンカン」

 

つまり、3回目のトンチンカン戦に移行することになる。

 

 

▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽

 

「兄ちゃんよぉ 大人しくその高め矢を寄こせば命だけは助けてやるぜ?」

 

勿論スバルは、こんなクソみたいな要求に従うわけはない

 

「無理だね。 この矢は俺のものだし、お前らのようなムカつく奴に渡すわけねぇだろ」

 

スバルの反抗にトンチンカン三人組は……

 

「上等だ!」

 

「ぶっ潰してやる!」

 

「生まれたての雛鳥のみてーにピーピー鳴かしてやるぜ!」

 

見事にトンチンカンへの挑発に成功したスバルは、最早慣れたものだ。

最近、作者も忘れかけていた『未来予知』を発動させる

 

「!?」

 

しかし、その未来はスバルが予想していたものではなかった。

真ん中のチンの奴にジャージの胸ぐらを掴まれている未来だった。

 

スバルは少し動揺したがトンチンカンたちには関係のないことだ。

あっという間に距離を詰められ『未来予知』の結果通りにチンにジャージの胸ぐらを掴まれた。

 

「グフフ…… 捕まえたぜ。 さぁ、これからどう虐めてあげようか……」

 

「グヌゥゥ……!!」

 

チンは、つかむ力を強める。

トンとカンもジリジリと近づいてくる。

3人でスバルをタコ殴りにするつもりなのだろう。

 

しかし、三人は気づかなかった。

いつの間にかスバルの目がまるで()()()()()()()()()になっていたことに

 

「おい! クソ喧しいぞォ!!」

 

「!?」

 

スバル?は、突如豹変しチンの口に手を突っ込んで掴んだ。

 

「その、薄汚ねぇ手で触ってんじゃあねぇェェェ!!」

 

その時、スバル?の声や身体がまるで別人のように変わっていく。

声は、大人直前の青年の声からドスの利いた声になり平均的な体は身長が伸び筋肉がゴツくなる。

 

『「俺に近づいてどぉするんだよォォォ!!?」』

「これから、潰されるてめぇ等がよぉォォ!!?」《CV小西克幸》

 

スバル?は、胸ぐらをつかんでいたチンを

そのまま持ち上げ壁に貼り付けた。

当然、トンチンカンの三人組は豹変したスバルに驚きを隠せない。

 

「な、なんだこいつ!!? か、顔が…… それも体格も声も別人に……!?」

 

「お前ら…… 俺に手を出したということは…… 逆に潰される覚悟もあるということだよな?」

 

「ヒィッ!?」

 

「何なんだよ…!! これは!?」

 

「お、お前は一体何なんだ!!?」

 

トンチンカンは、この状況を受け止めきれていないようだ。

彼らは、虎の尾を踏んだのだ。 踏んでしまったのだ。

決して踏み入れてはいけない捕食者の巣に足を踏み入れてしまったのだ。

 

「お前たちが知る必要は無い。 今、お前たちが知るのは恐怖と絶望だけだ」

 

この後、とある路地裏に3名ほどの悲鳴が街に響き渡ったという。

 

 

 

▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽

 

もう、読者の皆様はお気づきだろうが説明しよう。

何故、スバルが引きこもりにならず、

ましてや喧嘩が強いのか。 他にも諸々の疑問は多々あるが

それらの要因はとあるきっかけとスバルの第二の人格であるこいつが原因である。

 

かなりざっくりと話そう。

ソレは、凡そ四年前に遡る。

スバルがまだ中学2年の頃だ。

 

このとき、スバルはまだ第二の人格が目覚めていない頃だ。

性格はこのときまで原作と同じだ。 スバルは、自身が憧れた父親の真似をして生きてきた。

地頭も良く成績が良かったため、小学生の頃までは皆に慕われた。

しかし、誰かの真似をして生きるのでは無論限界がある。

中学生の頃にはスバルは父親の表面的なものしか真似をせず、空回りをすることが多くなった。

やたらめったらにズカズカと人に割り込んでくるため皆からはウザがられる嫌われるようになってしまった。

 

このままで行くと、原作通りに引きこもりになるのが確定する

だが、スバルにある意味の転機が起きた。

 

「なぁなぁ、スバル君よぉ これから面白えところにいかない?」

 

ソレは、年一つ上のとある先輩の誘いだった。

スバルは剣道部に所属しておりそこで知り合った先輩の誘いだったのでそれに乗りついていった。

 

そこからがスバルにとっての人生のターニングポイントだったのかもしれない。

先輩の誘いとは、まァ分かりやすくいえば()()()の誘いだったのだ。

 

スバルは、勿論それに懐疑的だったが先輩の誘いに乗ったのが運の尽き、そのまま暴力団に加入されてしまったのだ。 そのおかげで上納金を収めるためにバイトを掛け持ちする羽目になったり他の組員への挨拶もかわさなければいけない事も多くなった。

 

 

ここで、皆さんは知っているだろうが

このナツキスバルという男。

この男は、主人公適性よりもラスボス適性が高い主人公として有名である。

 

 

持ち前の反骨心が爆発したのか暴力団の業務を失敗こそあったが、数々の業務をこなしていき、組員としての地位や信頼が破竹の勢いで上昇し、高校2年…… つまり暴力団に入ってたった3年で幹部の信頼まで勝ち取るほどの人物となったのだ。 しかし、一般的には学生であるスバルは表向きには普通の学生を装うわなければならない。

昼は学生、夜は暴力団という何処かで聞いたようなフレーズのような生活を続けていれば勿論精神に異常をきたすだろう。

 

最終的に精神に異常をきたしまくった結果、生まれたのが第二の人格である。

二重人格…… 表と裏、光と闇、2つの顔。

二重人格は十六世紀のドイツで発見された一種の精神障害。

ソレは精神だけでなく肉体も別人となり、言葉すら別の言語になるケースもあったという。

 

この人格が生まれてからは、学生としてのスバルと暴力団としてのスバルの区別がはっきりしたためか、

あらゆることが上手くいくようになった。

 

表人格ののスバルは、精神的に成長したのか。 父親の真似をすることを辞めたのだ。

TPOもわきまえるようになり、友人も出来るようになった。

 

逆に裏人格のスバルは、先程のように体格もゴツくなり肉体的に強くなったため、幼少期に学んだ空手や拳法を活かして、戦闘が得意となった。 時には組の敵を力で潰し、時には策で潰す。 この人格で思いつく策はかなりドス黒いものであり。 組の中では彼を恐れるものも現れ、最終的には()()と形容されるようになった。

 

 

さらに、高校を卒業すれば幹部昇進という切符をも手にしたのである。

 

 

▽▽▽▽▽▽▽

そして今現在に至る。

勿論、異世界召喚という意味不明な形で、

幹部昇進が取り消しになってしまったので彼の機嫌は滅茶苦茶悪い。

表人格の方のスバルは純粋に家族や友人、将来のことを考え元の世界に帰りたいと思っているが

裏人格の方は、これである。

 

「……」

 

トンチンカン三人組を叩き潰してから、

スバル(裏人格の方)は路地裏を少し離れた広場の椅子に腰を掛けた。

そして、いつの間にか見た目は元の状態に戻っていた。

 

「あれ? なんで俺、こんな所にいるんだ?」

 

中身も元の人格に戻っていた。

そして『二重人格あるあるの別の人格が行っていた行動が分からない』

という典型的な台詞を言い放っている。

 

「さっきまで、トンチンカンと対峙してて…… それからの記憶が曖昧だな……」

 

曖昧になっている記憶を掘り起こそうとするスバル。

しかし、ソレは第二の人格の仕業のため思い出すも糞もない。

 

「一体何が起きて…… とぉるるるるるるるるるるるる……」

 

「!? 何だ!? 急に携帯が鳴りだしたぞ!? とぉるるるるるるるるるるるる……」

 

突然の奇景!

スバルは、携帯が何故か鳴っていると思っているがソレは違う。

スバルの口からまるで携帯がなっているかのように口走っているのだ。

それも、まるで魂が抜けたような不気味な表情で。

傍から見ると、そのイカれた様子は最早ただの狂人にしか見えないだろう。

 

とぉるるるるるるるるるるるる…… け、携帯は何処だ? とぉるるるるるるるるるるるる……」

 

 

スバルは、自分のバッグの中身を漁り、スマホ

 

「あ、あったぜ! 最近の携帯はコンパクトだからな~ バッグの端にあると探すのに苦労するぜぇ!」

 

 

……ではなく、何とコンビニで買った乾電池を取り出した

 

「ピッ はい、もしもし」

 

『私だ。 スバル』

 

「! リーダー……」

 

スバルは、携帯(乾電池)を通じて何者と連絡を取った。

そして、その電話相手の声は先程暴れたスバルの第二の人格の声と同じだった。

今の様子は傍から見ると、自問自答。 それに、今のスバルはまるで顔が2つ有るようにも見えた。

 

 

「リーダー! 貴方もこの世界に来ていたのですね!」

 

『ああ…… 後、この世界で《リーダー》と呼ぶ必要はもうないぞ』  

 

「へ? どうしてですか?」

 

『私はこの世界で

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

組織を創ることにした』

 

「!!?」

 

 

 

 

To Be continued

 




まずはボスの登場です。
スタンドの矢も出したので感のいい読者ならもうこの先の展開はバレバレだと思いますが応援宜しくお願いします。

あとしれっと登場した《サラ》さんですがオリキャラではありません。
てか、名前から一文字抜いただけだし……
まぁ、彼女には色々と苦労かけようと思います。

因みにスバルが第二の人格の方を《リーダー》と呼ぶのは、面倒臭いから簡単に言うと
ドッピオがディアボロを《ボス》と呼ぶのと同じ感じでーす

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