幼稚園くらいのころは馬鹿にされてばかりいた
「オマエ、まだ個性ないのかよ!」
「あるよ」
「わからないならないのと同じだろww」
明らかに自分を嘲笑する顔が、ひどく神経を逆撫でした
「その顔、むかつく」
そうやって、いらいらしたものには愚直に噛み付いていた
その度に
「なんでこんなに喧嘩ばかりするの?こんなにうわさになって」
母は、近所からの評判ばかり気にしていた
「なんでこんなことするんだ?情けない、俺の兄はもっと立派だった」
帰りの遅い父は、事あるごとに叔父と比べた
悲しかった
家にいると泣いてばかりいた
「あぁ!もう!うるさいわね!ご近所さんのうわさになるでしょ!」
「うるさいな、兄はもっと立派だったぞ」
帰りの遅い父に不満があったのか、家にはよく他の男の人が来ていた
「ベランダに出てなさい」
そういわれてベランダに蹴りだされると、決まって獣のような声が聞こえてきた
さびしかったから、いつもカラスと話していた
蹴りだされたときに一緒にもらう野菜の芯や肉団子をカラスたちにあげながら、僕は物語を書いていた
絵はうまくかけなかったから、物語を書いていた
僕とは違う人達、僕と同じように不幸な人たちの物語、先生が読み聞かせてくれる小綺麗な話でなく、醜くも美しい人間の物語。
僕もいつかそうなるんだと信じて書き続けた
しかし、何事にも終わりはある
ある日、父が死んだ、母に殺されたらしい
僕はそれを黙ってみていた不思議と何の感慨もなかった
すぐにぼさぼさの髪のヒーローがやってきて、母は連行された
天涯孤独となった僕は、孤児院に引き取られた
いじめられていたやつが新しい集団になじめるはずもなく、当然のように浮いていた僕に院長はピアノを教えてくれた。
中々に厳しい指導だったけど、ちゃんとほめてくれる
認めてくれる
院長は僕の父親のような人だ
孤児院にあったピアノだけでは飽き足らず近所の楽器店にも足を運ぶようになった
「あなたは、だあれ?」
~~~~~
ガンガンというけたましい金属音で僕は目を覚ました
正直言って夢見が悪くて寝足りない、なのでも一度眠ろうとした意識が耳の痛みによって覚醒する
「二度寝しようとするな!ウチも遅刻させる気か!」
響香の怒声が寝ぼけた頭に響く
「んあ?」
「早く着替えろねぼすけ!電車に遅れるよ!」
電車?おかしいな辺須瓶(べすびん)中までは自転車で行くはずなんだ・・・・・待てよ、
「今日なんかあったっけ?」
「雄英の受験!」
こりゃまずい、どうやら僕は人生の分岐点となる大事な日に寝坊したらしい
「そっか」
「冷静か!わかったのなら三十秒で支度して!」
「合点承知!」
顔お洗って着替えてバックに参考書を突っ込んで・・・朝は十秒チャージでいいか
顔を洗いながら朝のプロセスを確認し寝巻きから制服に袖を通して食堂に走る
「マキマさん!ア○バイタルとカロ○ーメイトは!?」
「いつものところだよ、忘れ物はないかい?」
「大丈夫だ、問題ない」
「大アリだわ!ほらバック!」
「ありがと響香!」
「響香ちゃんごめんねぇ、こんなの置いて行ってもいいのに」
「大丈夫です、いつものことなので、」
ここまでは僕が遅れた時のテンプレの会話だ
それからはできるだけ自転車を駅まで飛ばし(もちろん交通ルールは守った)雄英の校舎には余裕を持ってつくことができた。
電車に遅れたわけではないので当然といえば当然だが、朝寝坊しただけに少し安心する
さてと、とりあえず新作のプロットでも考え・・・
「鏡也、何考えてるの?まさか受験の日にまで小説書こうとしてないよね?」
図星だ、響香の視線が痛い
「受験に集中しないと落ちるよ?」
ごもっともな親友の言葉、あっ響香いい匂いする
「実技で取り返す、響香こそ、実技で落ちないようにね」
響香の個性は戦闘向きじゃないから少し不安だ、筆記の方はボーダーに確実に乗ってるから問題ない
「まさか受験生同士で模擬戦するわけでもないだろうし、大丈夫だよ。ウチは鏡也の方が心配だな、鏡也は浮き沈み激しいから」
それは僕の生まれつきの問題だ、どうしようもない
「全力を尽くすしかないよ、」
「その感じなら大丈夫だね、お互い頑張ろ?」
そう言って響香が微笑む、そこには過度な緊張は見えない
「そうだね」
そう言って僕たちは別れた
〜〜筆記終了後〜〜
手応えはあった、筆記は問題ないだろう、とすれば実技をクリアすれば合格は確実、そう考えながらジャージに着替える。
実技の試験内容はロボット退治、流石にパワー系の異形系にしか破壊できない強度には設定されているはずがないのでいけるだろう、そもそも採点基準はロボの破壊だけではないはずだ、問題は響香がそこに気がつくかどうか・・・・まあだいじょうぶだ、ここで信じなきゃ親友失格だろう
そしてこっちにも懸念点はある、資料に書いてあった0ポイント、プレゼントマイクは「おじゃま虫」といっていたがそれだけなわけがない、恐らくは恐怖心に駆られないかなどなど、ポイントのあるロボットだけでは見れないポイントがあるはずだ
「はいスタート」
えっそんな感じなの?実践には始まりの合図なってないよということかな?そう考えながらも体は勝手に走り出していた、他の受験者は固まっている、
「こんなものか」
僕はメリケンサックを握りなおし、腰のケースから「本」を取り出してつぶやく
「さあ、推理開始だ」
目の前に20体ほどのロボットが現れる、
「モクヒョウハッケン、ブッコロス!」
このくらいの数なら問題ない
「人格描写、求生者『傭兵』」
個性を使用すると頭に「設定」が流れ込み体が軽くなる
「オラァ!」
とりあえず最寄りの一体に拳を叩き込むするとロボットの頭が大きくひしゃげた、思ったより脆い、傭兵で身体能力が上がっているとはいえ少し拍子抜けした、これなら楽勝だなぁ