自作品クロスオーバー集 ※旧『オリ主たちが異空間でばったり遭遇するだけの話』   作:緑茶わいん

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『起きたら金髪碧眼の美少女聖女だったので、似たような奴らと共同生活始めました』
『クラス転移の特典が俺だけ「サキュバス化」だった』が
エピローグ後に繋がったら、という作者得なif話です
飽きたら続かなくなるやつです


金髪碧眼の美少女聖女と後天サキュバス

「あの、教授。例の神隠し事件は私たちでなんとかならないんでしょうか?」

 

 年末のとある夕食の席にて。

 俺ことアリシア・ブライトネスはとある事件を思い出してそう尋ねた。年末の特別番組で事件の特集をしていたからだ。

 我らがシェアハウスのリーダーである見た目は子供、頭脳は大人な大賢者──通称『教授』はビールを飲む手を止めて「ああ、その話か」と頷いた。

 

「神隠し事件。年に一度、日本のどこかの高校で一クラスが消える。もちろん、政府から『どうにかならないのか』と話が来た事もある。……が、あれはさすがに吾輩達にもどうにもならん」

「どうしてですか?」

「原因がわからないからだよ、アリスちゃん」

 

 と、教えてくれたのは学生組の中では最年長の錬金術師、シルビア。

 

「警察や各種研究機関が調べても何もわからない。この時点で普通の誘拐とかじゃないでしょ。何千人っていなくなってるんだから、行先が『この世界なら』痕跡くらい追えるよ」

「じゃあ、いなくなった人たちの行先って」

「異世界なんじゃない? たぶんだけどね」

 

 ふん、と、鼻を鳴らしたのは俺と同学年の熱操作超能力者、朱華だ。

 

「あたしたちは一回現場に行ってるけど邪気は感じられなかったし、夜でも敵は出てこなかった。この時点で邪気案件じゃないからお手上げ。いくらなんでも異世界に行く方法とかないし」

「……そうですか。でも、そこまでわかっていて何もできないのは心苦しいですね」

「アリスさまのお気持ちもわかります。特にアリスさまや朱華さま、シルビアさまは他人事ではありません」

 

 そう。

 神隠しの対象は高校生。変身する前の俺も被害者になる可能性があったし、今の俺と朱華も来年進学したらばっちり対象範囲に入ってしまう。

 シルビアに関しては現在進行形で対象だ。

 そうそう被害に遭うことはないと言ってもあまり気持ちのいい話ではない。

 我が家の良心である家事万能のメイドさん、ノワールは表情を曇らせながら眉を寄せて、

 

「ですが、我々に影響がないということは、あれはきっとわたしたちの変身とは別の何かが関わっているのでしょう。であれば、解決するのはわたしたちではありません」

「そうだな。もし、我々が関わるべき事件であるのなら既に影響を受けているだろう。……あるいは来年、アリス達が直面するという可能性もないではないが」

「それでいなくなった人を助けられるなら、それもいいかもしれませんね」

「縁起でもないこと言うんじゃないわよ。それ、高確率であたしも巻き込まれるんだからね?」

「いひゃい」

 

 俺はぐにっと朱華に頬を引っ張られ、締まらない声で抗議した。

 その時は結局「放置するしかない」という結論で。

 

 

   ◇    ◇    ◇

 

 

 時が流れて、シェアハウスに霊力持ちの女剣士・瑠璃や化け物じみた能力を持つラスボス魔王・ラペーシュがやってきて。

 俺は再び例の件を持ち出してみた。

 今度は教授ではなくラペーシュに。少し警戒していた六月の神隠しシーズンには何も起きなかった。定期的に邪気祓いをして安定している桜萌がターゲットになる可能性は理論的にも低く、このままだと事件を止められない。

 

「なんとかならないでしょうか、ラペーシュさん」

「それはさすがの私でも難しいわ。何しろ手がかりがなさすぎる。私の魔法ならどんな異世界にでも理論上行けるけれど、そのためには行先の指定が必要だから」

 

 ラペーシュは厳密に規定された効果であれば無制限に起動できる驚異的な魔法を有している。例えば、異世界から来たものを元の世界に帰すのなら簡単だが、それでもどこかの異世界に行ってしまった見ず知らずの他人を探すのは至難の業だ。

 

「やっぱりそうですか……」

 

 俺が肩を落とすと、黒髪黒目のすらりとした後輩、瑠璃が「元気を出してください、アリス先輩」と元気づけてくれた。

 

「きっと、いなくなった方々は大丈夫です。せめてそう信じましょう」

「瑠璃さん」

「失踪がどこかの怪物のせいで、それを倒せば解決するのなら良かったのですが」

「本当ですね。私たちにはそういう話のほうが向いています」

 

 この時も結局、出たのは「何もできることがない」という結論で。

 

 

   ◇    ◇    ◇

 

 

 毎年六月が来るたびにやきもちする日々はある年、唐突に終わりを告げた。

 俺──私、アリシア・ブライトネスが高校を卒業し、大学を出て、変身者を中心とした邪気祓いの専門機関の長を任された後。

 とある高校の校庭に突如、千人規模の人々が現れたのだ。

 

「ちょっとアリス、これ見なさい!」

 

 私は機関の副リーダーを務める朱華から手渡されるようにして小型端末(最近普及始めたばかりのスマホに代わる次世代機)の画面へと目を落とし、驚愕した。

 神隠し被害者たちが一気に帰ってきたこともそうだけれど、それ以上に、彼らの中に日本人離れというか地球離れした容姿の者が含まれていたからだ。

 

「なんですか、このファンタジックな服装。……この人なんて悪魔なんじゃ?」

「いや、このエロさはサキュバスね。間違いないわ」

「エロゲ基準の話はいいですから真面目に話をしてください」

「でも本人がサキュバスだって言ってるわよ、ほら」

「……確かに言ってますね?」

 

 帰還者たちのリーダーを務める少女、レンはサキュバスで魔法使いで、元は神隠し被害にあったただの男子高校生だったという。

 召喚の副作用的なものでサキュバスになってしまった彼女(彼)は仲間たちと共に戦いを繰り広げ、なんとか帰る方法を見つけてこうして地球へとやってきたらしい。

 

「なんだか親近感覚えない、アリス?」

「そうですね……。元男性なのにすっかり染まってしまっているあたりなんかは私たちにそっくりです」

「となると、ひょっとするかも?」

 

 私たちの予想通り、程なくして政府からの連絡が入った。

 レンたちに接触して話を聞いて欲しい。

 私たちなら万が一、戦いになっても応戦可能だし、私が代表者ならそうそう話が抉れることはないだろうとのこと。

 

「どうしよっか、アリス?」

「もちろん、お受けしましょう。ずっと気になっていた事件が進展したのですから願ってもありません」

 

 こうして私たちは、異世界から来た後天的サキュバス──レンと顔を合わせることになった。

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