最終的にハッピーエンドになる魔法少女! 作:魔法少女広報委員会
「行くよ、キララちゃん!」
「うん!任せてリリラちゃん!」
フリフリの衣装を着て。
ピカピカ光るステッキを持って。
「「ラブリー♡ハイメガキャノンッ!!」」
敵兵を魔法で撃ち殺す。これが、私達魔法少女の仕事。
これは、何処までも血塗られて罪深い私達の物語。
〜〜〜〜〜〜〜
私達魔法少女は、魔法少女としてスタートするのは学園に入ってからがスタートとされている。少中高まである学園は、全寮制で三食付きだ。学園内は綺麗だし、みんなが楽しく暮らしている。ただし、前線勤務の子達は別だ。
私のような前線組は、汚い塹壕の中で臭い飯を食べさせられている。けれど、それでも兵士達の中では良い方なのだ。兵士達の食事は大抵カロリーブロックだ。まだ料理を出されている私達は恵まれているんだろう。
「……飛鳥大尉。いや、魔法少女リリラ。作戦会議をする故、食事が終わり次第トンネルを抜けキャンプまで後退せよ」
「井上少佐殿、宜しいのですか?それに、キララはどうするのですか?彼女は私のバディですが…」
「構わん。魔法少女キララならば1人でも対処出来よう。リンクブースターはキララに渡しておけ」
「……了解」
この戦場では、人が良く死ぬ。魔法少女でも、呆気なく死んでしまう。それはそうだ。何故なら敵にも魔法少女…彼らは魔女と名乗っているが、私達と大差ない存在がいる。
現在、私の祖国である大日帝国は華人共和国、ルーシー連邦と戦争中だ。皇暦143年に起こった第三次冷戦はステイト合衆国の軍部の暴走によって第四時世界大戦へと発展。合衆国と同盟国である欧州連合や大日帝国は手を組み、新兵器の開発に注力した。
その結果産まれたのが、私達魔法少女だ。
マジカルデバイスと呼ばれる杖に適合した者は"魔法少女"と呼ばれ、軍学校で教育を受ける。尤も、初めは幼気な少女達を軍事利用する事に反対する意見もあったようだが、皆殺されてしまったらしい。それも、私が産まれるよりも前の話だ。
現在では魔法少女は軍事力の要とされており、国内では肯定的な意見が大多数を占めている。それ故に軍学校は「魔法少女専門の学園」として機能を始めたし、私達の待遇も良くなったと聞く。
それ以前の魔法少女の扱いは、まるで戦争奴隷のように扱われていたと言う。反対意見が出るのも仕方の無い事だった。
現在の戦況は、あまり良くは無い。魔法少女の力を使い一気に戦端を押し上げたのは良かったけど、兵站や開拓が間に合っていないのだ。それに、華人共和国は死んだ魔法少女のマジカルデバイスを回収し"魔女"として軍事利用を始めている。それ以来、戦況は膠着したまま。初めは3年ぐらいで戦争は終わると思われていたが、いつの間にか戦争は長引き、5年という月日が経過していた。
戦争開始当時、9歳だった私は魔法少女の力を得た時、嬉しかった。この手で悪の枢軸を打ち倒せると思ったからだ。でも、現実は違った。テレビで見たような悪魔はどこにも居なくて、目の前に居たのは私と同じ人間。本当に、うんざりする。
「魔法少女リリラ殿、移動の準備が整いました。移動を」
「すまない如月軍曹。今行くよ」
私はトンネルを車で通り、軍営地まで行く。なぜトンネルを使うかと言うと、敵の狙撃魔法があるかもしれないからだ。基本的に塹壕は支援魔法少女大隊が結界を張っているが、塹壕の外はその限りでは無い。故に、トンネルを使うのだ。
三時間ほど移動し、軍営地に到着した。既に幹部達は集まっているようで、何やら話し声が聞こえる。
「おぉ、来てくれたか飛鳥大尉殿、マジカルデバイスはこちらで預ろう。さぁ、中に入ってくれ」
門番の少尉にマジカルデバイスを預け参謀室に入る。部屋に入った途端、むせ返るような煙草の匂い。だが、身体強化された魔法少女の前では煙草の煙など意にも介さない程微弱な毒である。
そもそも、魔法毒以外の全てに耐性を持つ魔法少女が煙草の煙で咽せる筈ないのだが。
「帝国陸軍魔法少女隊三番隊"蒼白"、飛鳥真矢大尉現着致しました」
私達魔法少女は、功績を上げると階級が貰える。魔法少女がなれる最高の階級は大佐までだ。戦闘要員に将軍は任せられないのだろう。それに、指揮権も無い。まぁ、当然と言えば当然か。だけど、その代わりにこうして参謀本部への参加が認められている。
「さて、現状だが…先週と何一つとして変わってはおらん。先程、飛鳥大尉と雲母伍長の"蒼白"が敵の塹壕の一部を結界ごと破壊したぐらいしか変わっておらん。これは由々しき事態だ。このままでは我々陸軍の面目にも関わる。誰か、良い案がある者はいないかね?」
「発言、宜しいでしょうか?」
「構わん、答えよ少佐」
「はっ、私は電撃戦を提案いたします」
「電撃戦とな?相手の魔法少女を殲滅してからだろう!そうでなければ広域殲滅魔法で兵士達が皆殺しにされてしまう!」
「なら、私の案があります。本国のEランク魔法少女を特攻させ、敵陣に神風を齎してやりましょうぞ!これまで我々は神風特攻を敢行して来ませんでしたが、ここで敢えて行う事で敵に動揺と恐怖を齎せるでしょう!」
それを聞いて、私はウンザリする。コイツら参謀本部の連中は魔法少女や兵士を数でしか見ていないのだ。そこに尊重されるべき人格は無く、ただの兵器として活用されるだけだ。
「しかし…Eランクとは言え我らの貴重な戦力。マジカルデバイスの量産体制は既に盤石のものだが…それでも勿体無い」
「中将殿、お待ちを。我ら神武兵器工廠では既に新型のマジカルデバイスを開発しておりますれば。その名も、一〇五式突撃型デバイスであります!これは従来の九五式汎用型よりも性能は落ちますが、魔力臨界による破壊時に魔導性大爆発を起こします!これは生産コストも従来の一割で生産する事が出来ます!」
参謀本部に感心するような声が湧き上がる。
「それは素晴らしいが…飛鳥大尉、歴戦の魔法少女として君はどう思う?この魔法少女特攻作戦について」
「私は……個人的には反対ですが、軍人としては賛成です。元より、Eランクの魔法少女は活躍出来る場面も少ない為、誉ある最期を迎えられるならば本望ではないでしょうか?」
私がそう言い切ると、大将殿は感動したように私を見る。周りを見ると、ほぼ全員が大将殿と同じ顔をしていた。唯一、浮かばない顔をしている女性将校がいたが、恐らく元魔法少女なのだろう。見ていて悲しくなるからその顔はやめてほしい。
「では、決定とする。作戦決行は三日後、〇三四五に行う。それまで現在の戦況を維持せよ!」
『了解!』
私は見たこともないEランクの魔法少女達に心の中で詫びながらその場を立ち去った。
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