「わぁ、外見変わったね。鎧もつけてるし、槍に変えたの?」
「そうだね。帽子もかぶってないし、髪も伸ばしたのかい?」
「何て言うかさ、以前のは、いかにもな魔法使いの感じだけど、外見的にえろくなったね?」
「そんなことはありません!」
「それでウォルバク先生、私とねりまきも魔法学校を卒業できたけど、魔法の発動体としての杖は用意しなくていいっていうのは?」
「うふふ。あるえとねりまき、それにめぐみんの分の発動体はユウヤが用意しているわよ。」
注目されたユウヤは懐をまさぐって三人の少女に手渡す。
「何で私たちが腕輪でめぐみんだけが指輪なのよ?」
それぞれ、マナタイトが嵌め込んであるが、確かにめぐみんは、今指輪をつけようとしている。
顔もその目も真っ赤だ。
「おい、めぐみん。それは魔法の発動体だからな。
それとな、三人共に、魔力を蓄えることが出来るように細工してあるからな、活用してくれ。」
「それじゃあ、皆で間隔を空けて並んでみて。
魔法制御の訓練をしてみましょう。」
紅魔族というのは、他の魔法使いに比べて圧倒的に魔力量が違う。
例えば、同じ中級魔法のファイアボールを唱えたとしても、その威力は段違いにすさまじい。
けれども、繊細な魔法制御はどちらかというと苦手な部類で、戦闘においても大魔法の連発で圧倒するのが大半である。
「なかなか難しいね。」
「三人だけじゃなく、ユウヤもこれは毎日練習した方がいいわよ。魔法の範囲を絞ったりすれば込める魔力が同じでも威力は上がるし、出力を絞れば、魔力量の節約にもなるわよ。
特にめぐみんは、爆裂魔法一本なんだから、魔法を放つ度に倒れるなんて無様なことにならないようにね。」
一時間ほどの訓練の後、出ようとした森の奥から、モンスターが襲ってきた。
群れをなしたファイアドレークだ。
長剣を構えたユウヤを制してウォルバクが群れに向き直る。
「ねえ、めぐみん。確かに初めてあなたにあった時、私は爆裂魔法を使ったわ。
でもね、あれは爆裂魔法の威力が必要だったからで、そうじゃないときは、違う魔法を使うときもあるのよ。」
そう言って行使した魔法は風の中級魔法だった。
「今のは“ブレードオブウィンド”。中級魔法のはずなのに、なんて威力なの……。」
「アクシズ教徒に邪神扱いされてるけど、これでもれっきとした女神だもの。
魔力量は、紅魔族以上にあるわ。
私が爆裂魔法を頻繁に使うのは、使用後にも対処できるからよ。あ、それと倒したモンスターはあなた達の好きにしていいからね。」
そう言い残して、ウォルバクは歩いていった。
「それでこれどうしようか?」
「モンスターの素材として売れる部分は引き取ってもらおう。せっかくだから、あるえとねりまきの装備を揃える足しにでもさせてもらおう。」
「それでお昼近くになりますが、これからどうしますか?」
あれから、再度武器屋に行きあるえとねりまきの装備を見繕った。
紅魔族ローブの長さを短くしたユウヤ特製の物を渡され、あるえは魔法使い向けの黒衣とショートソードだが、ねりまきはユウヤと同様の灰色の皮鎧とメイスだった。
「ねりまきにはな、ブリーストの役割をしてもらいたいんだ。」
「私、アークウィザードだよ?回復魔法使えないし………。」
「お前ら三人のなかでは、ねりまきが一番器用なんだ。このまま回復魔法を覚えるのは無理かもしれないが、転職すればアークブリーストになれるだけのステータスはある。今日、アクセルでのクエストを済ませてから考えよう。」
そう言ってユウヤが少女達に渡してきたのは銀色に輝くサークレットだった。
短いですがキリのよいところで次にいきます。