深紅の瞳の魔法戦士   作:アキラ1

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闇ゆん


21話

冒険者ギルドに帰ってきたユウヤ達パーティー。

ついでにクエストでもと掲示板の前まで来ると、カズマ達パーティーが集まっていた。

 

「ようユウヤじゃないか。お前ら毎日クエスト受けてるな。」

 

「別に休む理由はないからな。それよりカズマは装備を揃えたのか?」

 

「よくぞ聞いてくれました。いつまでもジャージじゃ格好つかないからな。」

 

今のカズマは、丈短い緑のマントを羽織り、胸部や肘・膝等各部をアーマーでカバーしている。

 

「それにしても、お前らのパーティーの装備は、全員独特だな?」

 

「まあ、俺のも含めて自前で倒したモンスターの素材を使ってるからな。ちなみに、製作・加工も紅魔の里製だ。」

 

「ちなみに費用は?」

 

「俺のくたびれたように見える皮鎧でもアクセルで売ってる高級全身鎧より高いぞ。」

 

どうやら、カズマ達はゾンビメーカーの討伐を受けるようだ。夜までは自由時間らしいが、こちらは昼間のうちにクエストを終わらせてしまいたい。

 

「おまたせ~。みんな、今日から私は盗賊改め、アサシンのクリスだよ。」

 

受付でクラスチェンジの手続きをすませたクリスが戻ってきた。ねりまきもいつのまにかそばにたっている。

 

「私、さっきアクアさんと話して機会があれば、

復活《リザレクション》の魔法を見せてもらえることになったわ。」

 

「そうか……エリス教会には、どうやら復活の呪文までマスターした者がいないようだしな。

セシリーさんもアクアもどっちもどっちだしな………。」

 

「それよりも、今日のクエストを決めてしまいましょう。人数も六人なのでそれなりの報酬の依頼が良いでしょう。」

 

「なに言ってるんだめぐみん、俺達は五人だろう?」

 

疑問を呈したユウヤにめぐみんが指差した背後を見ると、思い詰めた表情をしたゆんゆんがこちらに歩いてきた。

 

 

 

 

 

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「結局、今日はシルバーウルフの討伐になったのかい?」

 

「ええ、エリス教会に行ったりして時間をとられましたからね。近場の家畜を襲っている狼の群れを退治することですませることになったようです。

‥……それにしても、ゆんゆんはどうしたんでしょうか?相当参っていますね。」

 

ユウヤは、後ろで話しているめぐみんとあるえの声を右から左に聞き流していた。

ゆんゆんが涙を浮かべてしがみついているのだ。

 

「私、アクセルに来ればユウヤと一緒にすごせると思ってた。

私がカズマさんのパーティーに入ってても、同じアクセルで活動してるんだから、話す機会はイッパイあると思ってた。

でも、ユウヤは夜になったら居なくなっちゃうし、めぐみんは一緒に住んでるし、あるえもねりまきも一緒のパーティーだし、あのクリスさんは何なの?ズルいよ、私の居場所がないじゃない!」

 

感情が昂っているのか目が真っ赤になって涙がとめどなく流れている。

ついに立ち止まってしまったゆんゆんを少年は横抱きにして歩き出した。

 

「めぐみんは別として、今の俺達のパーティー構成は俺の事情が理由だ。アクセルに長居する気もないしな。信用できないやつらよりあるえ達を連れてた方がよほど安心だ。テレポートで紅魔の里に戻れるんだから、距離を気にせずに連れ回せる。

ねりまきが回復魔法に適性があったのは、嬉しい誤算だった。」

 

静かに語るユウヤをゆんゆんはうらめしそうに見つめる。

 

「でもクリスさんは?あんなに仲良さそうににしてるじゃない。ユウヤも好きになってるんでしょう?」

 

「クリスのことか?確かに俺はクリスのことは好きだ。でも、それを言ったら、あるえも好きだしねりまきも好きだ。そして、ゆんゆんもな。

それでも、俺の嫁はめぐみんなんだ。

めぐみんが十四歳になったら、式をあげて正式に妻にする。これはもう決めたことだ。

お前は一刻も早くテレポートの呪文を覚えろ。

俺達は、メンバーがある程度のレベルまでいったらアクセルを離れる。

ここの領主のアルダーブはクソ貴族の典型だからな。長居する街じゃない。」

 

ゆんゆんを下ろして歩き出すとめぐみんが側に駆け寄ってきた。他の皆は苦笑いだ。

自分も好きと言われたクリスも顔を紅くして頬をポリポリ掻いている。

 

「言ってしまいましたね。どうするんですか、この空気は?」

 

「ごまかせるもんじゃないだろう?正直に言っておいた方が絶対にいい。最悪俺はめぐみんと二人だけで各地を巡る覚悟でいたんだ。

テレポートが使えなかったら、そうなっていただろう。」

 

「私はそれでもよかったんですけど。あなたにとっての特別は私ですし、私にとっての特別も今や、あなただけですからね。」

 

「そんなの許さないわ。いいわよ、じゃあすぐにテレポートの呪文を覚えてあげる。

そして毎日紅魔の里に帰るようにすれば、顔をあわすこともできるわ。めぐみんの思いどおりにはさせないんだから!」

 

「いいかげん、諦めなさい。私の夫に手を出そうとするのはやめて貰おうか?後ろにいるあなた達もですよ。好きだと言われたくらいで調子に乗るんじゃないですよ。わかりましたね。」

 

「ふふふ、めぐみん、ユウヤは自分から私をメンバーに誘ってくれたんだよ。離れるわけないじゃないか?」

 

銀髪の暗殺少女がしなだれかかってきた。

 

「ずっと盗賊だったのに、わざわざアサシンに変えたんだ。今更出ていく気はないね。」

 

「私も同じだよ。うちのお爺ちゃんもその気になってるんだ。離れる気もないよ。」

 

「ねえ、めぐみん?私の外見がユウヤにとっての理想だって知ってるでしょう?

今は一緒に行動してるんだから、すぐに落として見せるわよ。」

 

にんまりしているクリス・あるえ・ねりまきを見てめぐみんはくやしそうにしている。

 

「まあ、パーティーメンバーとしては協力しましょう。私は分別ある大人ですからね。

ゆんゆんも頼みましたよ。」

 

頷いたゆんゆんも調子を取り戻したようだ。

 

「そろそろ依頼の場所のはずなんだけど。」

 

「じゃあ、あそこで土をほじくり返しているのは何なの?」

 

そこには、巨大なレッドブルが三頭いた。

 

「後からウルフが来るからな、お前らは、まだ魔法を使うなよ。“聖なる唄(ホーリーソング)”」

 

ユウヤの呪文で身体能力を上げた皆はめぐみんとあるえ、クリスとねりまきが組になって一頭ずつ大猪を仕留めた。残りの一頭が突っ込んできたがユウヤの長剣が一閃して、四本の足が断たれ、巨体が横倒しになった。ゆんゆんが必死になって首の付け根に短剣を突き入れて息の根を止めた。

 

「“スペシャルクリーン”、血の匂いにつられて、そろそろ現れるはずだ。クリス、反応はどうだ?」

 

「?!私達、いつのまにか囲まれてるよ!」

 

大きな輪を作っているシルバーウルフは五十頭以上はいるだろう。そして丘の上からこちらを見下ろしているのは‥……

 

「フェンリルだなんて聞いてないよ。」

 

「ふん、やることは変わりない。めぐみん、爆裂魔法の準備だ。」

 

ユウヤは詠唱なしで指輪をはめた左手を動かす。

こちらに殺到してきた狼達が白銀の障壁に阻まれて動きが止まる。少年が掌で拳を作る動作をすると、シルバーウルフの群れは、強制的にめぐみんの正面十メートルの位置まで不可視の力で移動させられた。

 

「今だ、めぐみん、ぶちかませ!」

 

「消し飛びなさい、エクスプロージョン!」

 

閃光が炸裂し、残った狼は、十頭もいない。

それも爆風で全身傷だらけだ。

 

「よし、めぐみんは、槍を構えて、そのまま待機だ。残りの獲物は、あるえ・ねりまき・クリスでかたずけてくれ。ゆんゆんは、魔法で援護だ。」

 

「ユウヤはどうするの?」

 

ゆんゆんが問いかけた少年は、飛行の呪文を唱えて丘の上のフェンリルに向かっていった。

 

「なんとか倒したね。」

 

「今日は魔法使ったのは、ウルフだけだったから、まだ余裕があるね。」

 

「それにしても、爆裂魔法を撃ったら倒れてばっかりだっためぐみんがねえ………。」

 

「消費魔力の軽減、魔力制御、範囲の絞り込みによる威力上昇など、今までの私とは違うのですよ。

今の私の目標は、爆裂魔法を二発撃て、かつテレポートが発動できるようになることです。」

 

「愛は偉大だね~あんなに意地を張ってためぐみんが。」

 

「言ってなさい。本当に大切な人のためには変わらざるを得ないのです。」

 

ゆんゆんは、めぐみんを見ていてうらやましいと思った。負けたくないと思った。

うじうじしてる暇はない、がんばろう。決意を新たにしていると、こちらにユウヤが戻ってきた。

フェンリルの巨大な頭部をたずさえて。

 

 

 

 

 

 

 

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依頼人に討伐の報告をして、テレポートで急いで戻ってきてみれば、ギルドに着いたのは薄暗くなる頃だった。

 

「おかえりなさいユウヤさん、今日も討伐対象の部位を持ち帰ったのですか?」

 

「あぁ、すまないがゆんゆんがカズマ達と夜のクエストに行くはずだから、急いで計算してくれ。」

 

見回すと、ゆんゆんがめぐみんと何やら話し込んでいる。出掛ける前に比べるとずいぶん顔色も明るくなったようだ。

 

 

 

「お待たせしました。シルバーウルフの討伐依頼報酬とウルフの追加討伐数加算、レッドボアの討伐に買い取り、最期にフェンリルの討伐と買い取りで合計五百万エリスとなります。」

 

六つの皮袋に分けられた一つをゆんゆんは受け取った。

 

「私、頑張るね。ユウヤが好きだから振り向いて貰えるように努力します。」

 

そう言っておさげにした黒髪の少女はパーティーの仲間のところに歩いていった。

 

 

 

「‥……………俺たちも帰るか。」

 

銀髪の少年を中心にした紅魔のパーティーはテレポートの光に包まれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ゆんゆんは、やっぱりユウヤを諦められない!
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