一同が集まってアクセルに戻ることになった時クリスから、要望が出た。
「ねえ、今ユウヤが解除した水の障壁さあ、あの城の中にお宝があるんじゃないかな?
ベルディアも討伐したんだし、ちょっと行ってみない?」
「しかし、クリスはまだ、完全に回復してないだろう。大丈夫なのかい?なんだったら後日落ち着いてからでも……」
「甘い、甘すぎるよ、あるえ!後日とか、あとでなんて言ってたら、ハイエナどもに全部かっさらわれちゃうし!それに…神器があったら、回収しなくちゃいけないから。」
「……分かった。そういうことなら、クリスにはねりまきが一緒についていてくれ。じゃあ、手早くすまそう。みんな入るぞ。」
ユウヤの決断は早く、さっさと城門に向かって歩いていく。
「あれ、…ユウヤは私と一緒に居てくれるんじゃないの?」
慌てて追いすがるクリスとそれに並ぶあるえ・ねりまき。三人を追い越し、当然のように少年の隣を歩く爆裂娘の構図が出来上がった。
めぐみんはわざわざ振り返り、『ふっ』と鼻で笑う。
「ムッカー!何なのよあれは!!
待ちなさいよ、めぐみん!!」
「ふふん、分かりきったことです。ユウヤの隣は私の指定席です。あなたたちの場所はありません!」
「‥……戦闘が終われば、すぐにこれだ。
先が思いやられるねえ。」
「どうして、あるえは落ち着いていられるのかな?」
「そりゃあ、ユウヤが私を受け入れてくれてるからさ。何だかんだでパーティーにも入れてくれたし、お爺ちゃんの無茶な要求も拒否しなかったからね♪
そこは、ねりまきも一緒だろ?」
「…うん、プリーストが欲しいんなら、他の街で探してもいいし、選り好みしないんだったら、あのセシリーさんでもいいんだしね。そう考えると………私と一緒にいたいと思ってくれてるのかも♪」
二人の会話を聞き、自分もユウヤの方からパーティーに誘われて、危険な目に遭えば、本気になって怒ってくれた姿を思い出して、クリスは温かい気持ちになった。
前を見てなかったのでぶつかってしまい、視線を上げるとまさに彼女が考えていた少年が紅い瞳をこちらに向けていてドキドキしてしまった。
「どうしたんだ、もう城の入り口だぞ。探索なのだから、お前が先頭に立ってくれよ。」
一番前に移動するクリスだが、通りすぎるときめぐみんがジト目を送ってきた。
「‥調子に乗るんじゃありませんよ。」
それに向かって今度は、暗殺少女のほうが“ニヤリ”と返した。
「エリスの分も私は一緒にいるんだからね。♪」
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先に二階に上がり、一階に戻ってきたが、何も見当たらず、空振りかと思ったが、普通に地下室の入り口があった。
「なんか安直だね。私の活躍の場がなかったよ。」
「只の古城だしな。ダンジョンじゃないんだから、こんなもんだろう。」
そうなのだ。地下に降りて通路の突き当たりの部屋に無造作に白骨が積み重なっており、彼らが生前、身に付けていたであろう武器や鎧の類いが無造作に置いてある。同じ場所に財貨の類いも山積みになっていた。
「魔王軍幹部は、こういう物に無頓着だったのでしょうか?」
「脳筋だったんだろうね。いくつかは、貴族の家紋がついてるのがあるね。面倒だから、こういうのはギルドに届けよう。後で難癖つけられたくないし。」
「そうだねえ、他のは紅魔の里に持ち帰ろうよ。
売ってもいいし、傷が付いたユウヤの鎧の代わりがあるかもよ。」
「エリス通貨はもらってもいいでしょう?エリス教会の孤児院に届けたいんだ。
………❗こっちにあるのって神器だよ!どうしよう…今はエリスもいないし、復帰してくるまでどこか保管しないと‥……」
「いや、それ無理があるよ。隠しておいても知らないうちに盗まれてるかもよ?」
「いや、罠を設置したり、ユウヤに結界を造ってもらったりさ。」
「それなら、里の家にしまっておいたらどうだ。」
「いけません!我が家には出入り自由の妹、こめっこが入り放題だと忘れていますね。我が妹を甘く見てはいけませんよ!」
ああでもない、こうでもないと悩んでいると、穏やかな声が背後から聞こえた。
「心配は入りませんよ。」
そこには微笑をたたえた幸運の女神が立っていた。
「エリス、大丈夫なのか?」
「ええ、天界に戻り短時間ですが休息したので先程よりはましになりました。あちらでゆっくり休んでから仕事に取りかかる予定です。」
「それならさ、ここにある神器だとあたりをつけた物を持ち帰ってくれないかな?」
「私もそのために来ました。ただ、……この鎧とこの剣ですが特殊な物ですが神器ではありません。
丁度ユウヤさんの使用していたのが傷ついたことですし、装備してみては?」
エリスに薦められた物だがユウヤはあまり気乗りはしなかった。少年が今まで装備してこなかった
「せっかくだが、全身鎧は動きを妨げるし、その盾には紋章が刻まれてるだろう?俺は、エリス教のクルセイダーになる気はないぞ。」
難色を示しているユウヤを見てエリスは剣と鎧に手をかざす。白銀の光が降り注ぎ、その鎧は白銀に色が変わり、剣にいたっては、自ら発光している。
「これで、鎧の重さは、あなたの革鎧並みに軽量になってます。自然に傷が直るとはいえ、傷つかないのが一番です。何でしたら、剣はそちらの物と合成することもできるはず、きっとあなたの力になってくれるはずです。」
溜め息をついてから、少年は鎧を付け替えた。
全身鎧にしては各部が簡略化しており、エリスの軽量化の魔法や足裏や間接部に工夫があるお陰で金属鎧特有の大きな音もしない。
どうやら、今までと同じようには、動けるようだ。
「わざわざ、鎧の胸にまで紋章を刻んで、俺をエリスの使徒にでもしたいのか?」
幸運の女神は黙ってニコニコしている。
「それでは、私はこんどこそ戻ります。
ユウヤさん、クリスのことを頼みます。
しばらくしたら、必ずまた一緒にいましょう。
私も……あなたのことを想っています。」
「……こんどこそ、帰るぞ。」
「…私は戻ったら孤児院の方に行ってるね。」
「報酬はおそらく偵察分しか期待できないだろうから、貴族ゆかりの物品を届けて、早く里に戻ろう。」
口数が少なくなってしまった女子組を怪訝に思いながらも少年はテレポートを発動する。
白銀の全身鎧に紋章刻まれた盾?エリス教会が誤解するのでは?