深紅の瞳の魔法戦士   作:アキラ1

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少し間があきました。


3話

朝になった。昨日はあまり眠れなかった。

居間にいってみると、食卓に肉が出ていた。

貧しい我が家では、何年ぶりなことだろう。

「姉ちゃん、お肉だよ、お肉!」

「こめっこ、どういうことですか?」

困惑している私に、母のゆいゆいが答えてくる。

「あなたがまだ寝てるときにね、昨日のユウヤ君が訪ねてきて、一撃熊を置いて行ってくれたのよ。

それに、こめっこにって、一撃ウサギもね。」

 

熊の肉は臭みがあるはずだが、高レベルのモンスターの肉は結構な経験値も入るはずだ。なにより、目の前の肉を食べないという選択肢はない。

私は、父、ひょいざぶろうを押し退け、朝一番の戦線に参戦した。

 

 

登校時、挙動不審なぼっち娘が前方にいたので話し掛けてみた。

「おはようございます、ゆんゆん。今日も朝から、ぼっちをこじらせてるのですか?」

「ぼっちじゃないわよ!」

「でも、あいかわらずサボテンに話しかけてるのでしょう?」

「それを言っちゃだめえ!」

「それはそうと、あの転入生は一緒じゃないんですか?」

「なんか、ぎりぎりまで剣の素振りしてたよ。

スキル取っただけじゃなく、稽古しないと役に立たないって言ってた。」

私の質問に答えた後、なにかに気づいたとばかりに、ゆんゆんが意地の悪い顔をした。

「ふうん、めぐみんは、ユウヤのことが気になるのね?彼ってば、背が高いし格好いいもんね~」

「何を言うのですか?このぼっちが!」

「ふふーんだ。いまのめぐみんなら、ぜんぜんこわくないんだからね~」

私は駆け出したゆんゆんを追いかけて、鬼ごっこは女子クラスの教室まで続いた。

 

 

 

昼休みになった。私と目があったゆんゆんは、自分の弁当をとられまいと警戒しているがそれを無視して机から包みを出す。

「めぐみん、それお弁当?」

「どこかの転校生が我が家に獲物を貢いでくれたので、母が調理してくれたのです。」

「へ~。ユウヤってば、朝早く出掛けてそんなことしてたのか。そうだね~彼にお礼を言って一緒にお昼しようよ。」

そう言うとゆんゆんは、抵抗する私を強引に男子クラスまで引きずっていった。

おかしい。なぜぼっちのゆんゆんがこんなに強気なのだろうか?どうして私はこの手をふりほどけないのか?ぼんやりしてたら、目的地は、すぐだった。

「ユウヤ~私とめぐみんと一緒にお弁当食べましょう。めぐみんもお待ちかねよ。」

「あぁ、ゆんゆんか。めぐみんも昨日ぶりだな。」

気のきいた挨拶でもしようとしたが、声が出てこない。顔を赤くした私は、うつむいてしまった。

「できれば、私も参加させてくれないかな?」

声に振り向けば、胸部装甲はゆんゆん以上のものを装備するあるえがいた。

 

「我名はあるえ。紅魔族随一の発育にして作家を目指すもの!」

「ユウヤだ。よろしく。」

「待ってほしい、君も自己紹介の時のように華麗な名乗りを!」

「そもそも、学校の皆の前で名乗りをしたのは、いっぺんにすむからだ。」

あれから私達四人はこの大きな木の下に移動したのだが、食べ始める前にあるえがポーズをきめて名乗り上げたのに対してユウヤの反応は薄かった。

あるえは、彼の両親のこと、特に父親が魔王軍幹部と戦った話やこの里に来るまでの道中で出会ったモンスターとの顛末などをキラキラした眼差しで聞き入っていた。その中には、私の知らない話もあった。

「逆に俺から質問なんだが。」

「何でも聞いてほしい。」

「おまえはこの学校で成績がいいようだが、卒業しても里に残るのか?冒険者として外に出る気はないのか?」

「いや、私は作家志望だから………。」

 

興味が薄れたのか、あるえから視線をはずして食事を再開した彼に今朝がたの獲物を届けてくれたことに対するお礼を言った。

「弁当は、食材があるなら、自家製の方がいいだろう?それに………こめっこを見てたら、食べ物を持っていきたかった。なんの解決にもならない、俺の自己満足だがな。」

「どうしたのめぐみんてば~真っ赤になってユウヤに見とれてるし~」

おかしい。余計なことを言うぼっちを怒鳴り付けてやりたいのだが、言葉が出てこない。それどころか、頬が熱くて胸も苦しい。

「ゆんゆんは、ユウヤが来てからやけに積極的だね。自信がついたのはいいことだけど、逆にめぐみんの方がおかしくなったようだけど。」

 

昼休みが終了して先に校舎に向かったユウヤの背中を見ながら女子三人は、まだ会話していた。

「彼が外に出るなら、私が里に残ってるのは不利かな………。」

「なによあるえ、どういう意味よ。あなたは、作家になるんでしょう?」

「ゆんゆん、君も将来の族長だろう?」

「族長にふさわしくなるように修業に出るつもりよ。おあいにくさま。」

口論していたあるえとゆんゆん二人は、私を見て言い争いをやめた。

「めぐみんは、ユウヤに予約されてるようなものだしね。」

「そんなことはありません。最強の魔法使いになるためには、恋愛などに構っていられません。」

「そんなに顔を赤くして言っても、ぜんぜん説得力有りません~」




こめっこが、可愛い。このお話では、ゆんゆんがぼっちになりません。あるえもユウヤに目をつけました。
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