下校時間になり、今日も私はゆんゆんと帰っている。
「そう言えば、午前中の授業で先生が大雨を降らせたのに、いきなりぴたっとやんだよね?マジックキャンセルみたいな感じ?」
担任教師のプッチンが格好をつけて唱えた呪文
“コールオブサンダーストーム”で雷雨になり、校長が花壇に植えた花が流されたりしたがいきなりやんだのだ。まるで雨など降ってなかったように。
「それはそうとさ、一緒に喫茶店によっていかない?前から友達と寄り道するの憧れていたんだ~」
「あなた、ユウヤと出会ってからずいぶん積極的に
なりましたね。以前とはまるで別人ですよ?
まあ、いいでしょう。おごりならつきあいます。」
「ねえ、めぐみん、恋ばなしない?」
席に座ってメニューを頼んだら、いきなり何を言い出すのだろうこの娘は……
「どうしたのです?ゆんゆんも色気付いてきたのですか?」
「なによそれ~。私とめぐみんは、ライバルだけど、すくなくとも友達だとは思ってるわ。
こう言う話題もたまにはいいんじゃない?」
「そうですね……わたしがすきなのは………」
「めぐみんは、ユウヤが好きなんでしょう?」
「ちがいますよ。私のタイプは、甲斐性があって浮気もしない。日々努力を怠らず、常に上を目指している。そんな誠実な人です。」
「なんだ、それ、ユウヤのことじゃない。」
「どう考えても違うでしょう!」
「そうかな?自分の剣をかかえて森でモンスターを狩ってきて獲物はめぐみんの家にわざわざ届けてさ、帰ってきたら登校時間になるまで素振りしてるんだよ?そして学校が終わったら、また剣の稽古してるとかさ、目指してるものっていうか、目的があると思う。ひたむきなところとか、めぐみんが言った条件に当てはまるんじゃないの?」
「あの男は、浮気性です!あるえなんかに気をとられて…」
「めぐみんてば、自分があまりかまってもらえないからやきもちなの~」
「ユウヤを好きなのはゆんゆんのほうなんじゃないのですか?」
ゆんゆんがしつこいから逆に問い質したのだが……。
「そうだね‥…。わたしは、ユウヤが好き。
お嫁さんになれたらいいなと思うけど………。
ユウヤは、冒険者になって里を出るみたいだし………
私も冒険者になろうかな‥……。」
「ゆんゆんは、将来の族長ではないですか。
いいのですか?」
「テレポートを覚えていつでも戻ってこれるようにすれば大丈夫だよ。それにね、あるえだけじゃない。ねりまきだっていつのまにかユウヤと知り合って夢中みたいだし。」
「あの女たらしが~。」
ねりまきも私たちの同級生だ。この里随一の酒屋の娘で、将来居酒屋の女将になるのが目標だったはず。容姿も私より背が高く、長い黒髪で男には魅力的に映るはずだ。性格だって悪くない。
‥……。私も髪を伸ばそうかな。
「なにを考えてるのか想像できるけど、ユウヤが自分からアプローチしてるのはめぐみんだけなんだよ?心配なら彼が稽古してるところに行ってみよう。さぁ、お土産のサンドイッチをこめっこちゃんにわたしたらすぐにいこう!」
ねりまき本人が登場しない。
影が薄い?