「あ~なるほどねぇ~」
「≪光魔法≫!」
光魔法を使うが、香菜が正気を取り戻す様子はまだない。
「なんで!」
「いや、そもそも聖域内で解除されてないんだから光魔法でも無理ってわかるでしょ?」
確かに、その通りだ。香菜の傷が治ったことから聖域が発動していないというのはありえない。なのに、洗脳は解除されていない。
何故だと考えようとしたところで炎が目の前に迫ってくる。
避けるために足を動かそうとすると、見えない何かにぶつかった。
「…!」
咄嗟に、いや、聖剣の力で聖剣が目の前の炎を防ぐ盾に立ち塞がろうとした。それすらも、見えない何かに止められた。
もはや、なにも出来ずに目の前の炎を見つめることしか出来なかった。
「ふんっ!!!!」
人影が視界を塞ぐ。くるはずだった衝撃は目の前の人、香菜のお父さんが防いだ。
「…っ。済まないねぇ正義君。うちの香菜が邪魔をしてしまって…!」
明子は何ともない様子でさらに魔法を追加する。机や椅子などその場にあった物全てを破片とし迫りくる竜巻、先程より威力が上がったであろう火の玉。
「ぐああああああああ!!!、」
血が飛び散る。助けないと行けないのに見えない何かが腕を、足を、体を抑えその場から動けない。
「せ、聖剣!」
『『フゥゥゥゥゥゥウウ!』』
二本の聖剣が迫りくる魔法を捌きはじめる。しかし、すべての魔法は防ぎ切れずどうしても香菜のお父さんへと向かってしまう。
「思ったより粘るねぇ~」
それに加えて、ベルが闇のナイフを作りだし、香菜のお父さんへと飛ばしていく。が、弾かれた。
「マユ!とにかく犠牲を減らせ!時間を稼げ!」
見ると、マユさんが明らかに届いていないところから斬撃を飛ばしてナイフを弾いていた。当然、彼らにも魔法は飛んできているのだがヒカが対応していた。
明子はこのままだとダメだと判断したのか攻撃をやめた。すぐに飛び込まないと行けないのに見えない何か、いや、香菜の全天が俺の動きを制限する。
なら、魔法を使うまで!
「≪火魔法≫!!!!」
何もない空間に赤い炎が立ち上り、限りなく小さく、そして、これ以上ないほどの明るさを持った球を形作る。そして、それを自身に向かって打ち出した。
僕は知っている。全天は少しでも穴が空くなどすると、解除されてしまうことを。だから、自身に向かって打った。
炎は僕の胸を当然のように貫通する。しかし、それと同時に全天も破り、体が自由を得る。もちろん、ここで倒れて再び拘束されでもしたら笑い者だ。だけど、僕には、いや、聖剣には、あれがある!
「げん、かい、とっぱ!」
動けないはずの致命傷を負っても動ける様になる聖剣のスキルの一つ。後からの反動がどうなるかは分からないがもう傷は聖域で防がれた。
踏み込み、明子に急接近する。が無防備に魔法を溜めるその姿への攻撃はすべて全天が防いだ。それならばと、香菜に拘束されないよう動き回りながら威力を意識した炎を生成する。
だけど、
「はいっ!時間切れ~!」
町中を光が包み込んだ。