世界の変化に追いつけない   作:ありくい

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百三話

 

何も、見えない。

でも、体は、動く。

「ぐっ……!」

突き出した剣に、何かを貫いたような感覚。後から聞こえる明子の声。

「明子っ!下がってて!治してあげるから!」

焦ったような悪魔の声、ということは、こっち!

「いいの?その先には君を守ってくれた人がいるよ?」

関係ない。聖剣は俺の意思に従って動くから、攻撃対象を見誤ることはないから。

「流石に二度目の死はごめんかな!香菜ちゃん!」

カァンと心地好い音が響く。香菜か?いや、でも、いける。

「ふっ!」

「は!?」

硬いものと何かを叩ききった感触がする。やった?

「ぐぅ…。明子が、いや、望みのためにがなんで君をあんなにも殺そうとしていたのか分かった気がするよ…!」

やってないみたいだ。耳を澄まそうとすると、聖剣が勝手に動いて何かからの攻撃を防いだ。なら、その先には敵がいる。

「…!止まれ!烈火正義!」

誰かが何かを叫んでいる。でも、聖剣はあれを敵だと言っている。であれば、止まる必要はない。

カァンとまた弾かれる。でも、さっきと同じで、もう一回振り下ろ━━━

「いいのか?!それは天童香菜だぞ!」

 

 

えっ

 

 

止まらない。聖剣は香菜を敵だと認識している。実際それは間違ってなくて、今は敵だ。だからこそ、この剣は止まらない。もう、自分の意思じゃどうにもならない。

ぐちゃりと、肉を裂いた音がした。

「あ、あぁ。あっあ”あ”あ”あ”あ”あ”」

香菜が死んだ。殺した。香菜が、香菜が、香菜が香菜が香菜が香菜が香菜が香菜が香菜が香菜が香菜が香菜が香菜が香菜が香菜が香菜が香菜が香菜が━━━━━━━━━

 

「くっそ…。なんてタイミングで強化切れるんだよ。じゃあ正義?ちょっと話そ…なんで香菜が殴ってくるの?いたくないよ?」

親友の、声がした。

「だめだよ?今の正義殴っちゃだめ。ねぇなんでそんなに無理矢理殴ろうとするの?通さないよ?」

どこか緊張感が抜けた声が今はとても頼もしい。

「ん~?香菜は洗脳されないんじゃ?というかここどこ?とりあえず中心地に来たけどこんな更地あった?」

親友は次々と疑問を吐き出す。だけど、誰からも答えが返されない。

「え?こんなかで洗脳されてないのは香菜以外?因みに正義は死にかけ?なんで見ただけで分かるんだよ。いやまあ死にかけてるのは見たら分かるけどね?」

そういいつつ、口元に何かが流し込まれた。

「正義。お前にはまだたっぷりと言いたいことがあるんだからな。死ぬなよ!」

不思議な安心感に包まれて、激痛の中、意識は沈んでいった。

 

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