世界の変化に追いつけない   作:ありくい

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第百四話

 

「さてっと、じゃあ明子。って大丈夫?」

目の前では明子が腹部を押さえてうずくまっていた。患部は真っ黒な闇が覆っていて良く見えない。

「うーん。とりあえず」

体が半分程ちぎれかかっているベルにむけて、魔法を撃った。

「せ、めて、道連れに…」

不穏なことを言ったので正義を抱えて飛び出した。直後、地面から針が飛び出てきた。

ふむ。避けれたのはよかったんだけど着地どうしよう?

『さっさとあの犬を殺せばいいんだよ≪火魔法≫』

勝手に体から炎が飛び出て、ベルを焼き尽くした。

「おお~。そんなんも出来るのか!」

『ふっふっふ。あの聖剣程の安定感はないけど、似たようなことは出来るのだよ』

そんなこんなで、再び明子の方へと顔を向けると、すでに傷口は塞がっていて、横には香菜が並んで立っていた。

『仕掛けてみたら?』

いや、この二人に攻撃するのはな~。ちょっと様子見かな。

そう決めて、二人と睨み合う。正直、今は容赦なく二人を攻撃することは難しい。絶対にどこかで躊躇してしまうだろうし、そうなるなら交代かな~と考えていると明子が口を開いた。

「ねぇ純。それってどうなってるの?」

どこか震えた声でまるで答えてほしくないかのような表情をしながら問い掛けてきた。

話す、べきなのだろうか?話したところで何か不利益を被る訳でもない。とはいえ、絶対に話さないほうがいい気がする。

『黙ってるの?』

まあそんなとこと心の中で返しながら逆に問い掛けた。話を逸らす為でもあり、俺が一番気にしていたことでもある。

「姉さんはどこに?」

「答えたら教えてくれる?」

「考えておく」

適当に返して、向こうからの返答を待つ。

「…私の家。配信してる」

配信してる?そんなこと何のために……あ、もしかして。

「それって洗脳を広める━━」

その時、視界の端に刀を持った女性が見えた。香菜は反応して全天を展開していたが、それらは豆腐のように斬れていき、たいした減速すらしなかった。

そして、その刃は明子に片手で止められた。

「は?」

ヒカの素っ頓狂な声がその場に響いた。

「純。それでどうしたの?」

「あ、ああ、ごめん。考えた結果話さないわ」

自分でも嫌になるほど最低な発言だが、本能が話すなと脳に訴えかけている。

「香菜ちゃん。知ってる?」

「あ、まず━━━」

そういえば香菜は知ってるじゃないか。しかし、いますぐ行ったところで間に合わない。

「えっとね。合体したんだって!」

ドンと重りが頭に載ったかのように空気が重くなった。

「どういうこと?」

香菜が詳細を話すに連れてどんどんと空気が重くなる。

『あ、ああ。こっここわくないからな!いっいいざとととなったらまっまままままかせろろよ!』

ものすごいレイが震えている。

「ももももうかかかかかわわってもいい?」

「だっだだだだめめめ!!!

当然俺も震えている。レイがいなければ狂ってしまいそうだ。

話を聞き終わった明子の瞳には理性がなかった。何もいわずに片手を掲げる。

パチン。そんな音が響き渡って……。

数分経過すると、どこかのスピーカーから音が響いた。それは、どうしようもなく不安感を煽ってくる音で昔、どこかで聞いたことのある音だった。記憶を探る。あれは、確か……歴史で、近代史で‥

思い出してすぐ、顔を青くする。

「速報です!速報です!日本時間午後18時~午後━━━━━」

これは、確か、

 

 

 

 

 

「日本が世界各国から宣戦布告を受けました!」

戦争の始まりのリズムだ。

 

 




日本がアメリカに宣戦布告したときの音声を聞いたことがあるけどめっちゃ怖かったです。私はその日眠れなくなっちゃいましたね。
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