世界の変化に追いつけない   作:ありくい

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第百五話

 

「どういうつもり!?」

あまりにも理解不能なその行動に叫びをあげてしまう。

『というか、いつの間に外国支配してたの?そんな時間あったかなぁ』

宣戦布告が突然くる。外国だってまだ、化け物がいるはずなのにどういうつもりなのだろうか。放送で繰り返される国名にはアメリカなど知っている物もあれば聞いたことのない国もあった。だけど、全ての国ではなかった。これは洗脳がまだ回っていない所があるのか。はたまは別の思惑があるのか。

「深井純!」

ヒカの声が響き渡った。

「何がなんでも!今のうちにそいつを殺せ!」

殺す?殺してしまえばもう、戦争は回避できないのでは?いやでも殺したら解除されるかも…。

『かわるよ。純』

ぱっと体の主導権がレイに移った。

「≪代償強化≫」

一気に即死しない程度の血と臓器が消え去った。

『ちょっとレイ!殺しちゃってもいいの?』

ここまでの強化は初めてだ。これは殺しにいくのだろうか。

「違うよ。無力化するんだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

確定したことがある。それは世界が混乱に包まれるということだ。ここから友井明子を殺そうとも、洗脳を解くように出来たとしても。ただでさえ国民を守りきれていないのに他国へ宣戦布告。国民の不満は確実に爆発する。それになによりも最悪のパターンは友井明子の指示で核を撒き散らされることだ。生物が住めなくなったら人類所ではない。

そう思っての指示だった。一瞬深井純が迷っていたが、予想通りすぐにレイが代わってくれた。なのに、レイは生かそうとしていた。

どう考えても、この存在を生かしておく訳にはいかない。静かに、マユに命令した。

「ひーちゃんが言うならそうするね」

この女はやけに俺に依存しているが、今はそれがありがたい。そっちは任せて、今回の宣戦布告の影響を少しでも減らすために動きはじめた。

まずは、この放送を流したテレビ局をハッキング。SNSで間違いだという報告と謝罪文を投稿させた。

次に自衛隊には全情報を共有。ある程度パイプを作っていたからスンナリと受け入れられた。

考えつく限り、この衝撃の緩衝材をばらまき続ける。海外はおそらく日本を攻める準備はしていない。だから、最低でも一日、長くて一ヶ月。手出しをしない国もあるはず。

とんとんと肩を叩かれた。

顔を上げる。マユはうまくやれただろうか?

「ごめん。逃がしちゃった」

………………抑えろ。今は時間を無駄に出来ない。戦力を無駄には出来ない。申し訳なさそうな顔をしたマユを軽く慰めながら、次を考える。

「自衛隊に行くぞ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あっぶないなぁ。明子を無事無力化させた瞬間、刃が明子の首を狙って飛んできた。すぐに明子を拾ってその場を離れたから良かったものの、当たってたらどうするつもりなのだろうか?

「いやまぁ、当てるつもりだったんだろうな」

『レイ。ほんとに大丈夫なの?』

純がそう尋ねてくるが、大丈夫なわけがない。一応、方法は考えてある。これなら、被害も少なく、何なら無かったことにできる。ただ、机上の空論である。そして、ミスれば終わる。この世界も、私達も。

「純。私を信じてくれる?」

『?なにをするかはしらないけど何とかしてくれるとは思ってるよ』

純からの信頼が私の背中を押した。

ゆっくりと明子の顔へ両手を添える。目で明子をじっと見つめる。そして、唇を重ねた。

 

 

 

 

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