世界の変化に追いつけない   作:ありくい

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第百十二話

 

「ヒカ!まだ!?」

強くなりはじめた化け物の大群を抑えることが難しくなってきた。最弱のゴブリンですら二発。幸いなのはゴキヤェロとか言う即死トラップがないことだ。マユにいたってはオークですら倒し切れていない。空にいる化け物は余り強さが変わらないためマユに対処してもらい、地上は全部俺が引き受けている。

「…、終わった。まだ完全には至ってないが今の状況だとこれが限界だ。だが少なくともこれで半年近くは人同士の争い、特に戦争は起こらないだろう」

ほんとになにをしたのだろうか?まあ、そんな疑問言っている暇なんてないんだけどね。

「よし!逃げるよ!」

今絶対に起こってはいけないのは正義の死だ。魔王相手にそこそこ戦えているようだが、後ろから化け物にちょっかいを出されたら溜まったもんじゃないだろう。かといって、流石に化け物が四方八方からくるので、そろそろ一、二匹逃がして仕舞いそうだ。だから、今は逃げたい。

「いや。無理だな」

「ど、うして!」

正義をコピーしたであろうスライムが飛び込んでくる。完全に不意をつかれたけど、俺にはレイがいる。火に包まれて消えた。

「烈火正義は現在、聖剣の影響か勇者という職業の影響かはしらんが、これまでにないくらいの殺意を魔王に覚えている。恐らくというか絶対に逃げろと言っても聞かないだろう」

「マジでっ?でも、そろそろキツイよ…あ」

一つ、水が丸を形作って正義の方へと飛んでいった。魔王と優位に戦えていた正義は、突然の水に肩を跳ねさせた。聖剣は正義を守ろうとしていたのだが、液体となった水は一本の聖剣じゃ止めきれなかったらしい。そうやって生まれた隙を逃すほど、魔王は甘くなかった。

「ぐっ…!」 

魔法が正義を狙う。聖剣で防ぐものの、衝撃を抑え切れず、後ろへ下がる。またまた隙が出来たからもう一発、またまたまたもう一発。

ちょっとずつ、こちらへよって来ている。これは好都合?いや、違うな。このままだと、正義も俺達も動きづらくなる。乱戦となったとき、一番の邪魔は味方なのだ。

『…純。代わるんだけどめちゃくちゃ痛いから耐えてね』

えっ

「ごっ、あぁ、あがっ」

痛い痛い痛いでも意識は保たないとひとつでも多く殺さないとばけものをなんかちからわくきがするしいけるぐぅあぁ

『ほんっとごめん!』

視界が変わるとともに痛みは消え去り、真っ白な空間に俺はいた。

精神空間…?どうして?えっと、痛い、じゃなくて何だっけ。

「純。落ち着いて」

落ち着いてる場合じゃなくて、その魔王がいて正義が起きて化け物の大群がいて、

「純。だから落ち着いて。レイさんから連絡があるから」

なんか強くておしきられそうで

「純!!」

顔をガシッと捕まれた。目の前には明子の顔がある。

「私のことわかる?」

「明子」

「話聞ける?」

なんかぎりぎりいってる!顔が!痛い!

「は、はい」 

「よろしい」

その言葉とともに手が緩められた。でも、まだ明子の手は俺の顔を挟んでいる。

「じゃあ言うね。まず、今外に出てるのはレイさん。純じゃない。おーけー?」 

「はい」

「で、さっきの痛みは代償強化を重ねがけしたから起こったの」

「?」

「あ、えっとね。体が材料に使われて強化がはいるでしょ?で、死んで体が再生した瞬間にまた材料に使われたんだよ。その痛みが一気に襲って来たってわけ」

なるほど、あの痛みはそれが原因か。それにしても痛かったぞ。

「いや、ほんとはレイさんが前に出ようとしたらしいけどレイさんの方が急に馬鹿上がりしたステータスに対応出来るしレイさんですらあの痛みには怯んじゃうから純に受けてもらったんだって」

んぅ。仕方なさそう。

「えっと。はい。蛇の抜け殻風味の塩クッキーだよ。好きでしょ?」 

「おお!え、まって、なんで知ってるの?」

マイナーにも程があるのに。

「もしかしてストーカー」

「……いや、見たから!記憶!見たから!」

あ~、なるほど見たなら仕方ないね。

 

 

 

 

 

 

 

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