世界の変化に追いつけない   作:ありくい

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百十三話

 

━━━目を開く。

状況は特に変わっていない。後ろには正義と魔王。前には化け物の大群とマユ。横にはひーちゃんと香菜。

「≪火魔法≫」

命中なんて必要ない。炎の波が化け物共を食い散らかす。建造物は灰色の粉に変わり、その場は地獄へと早変わりした。

「レイか。まだまだいるが、もつか?」

その言葉通り、魔法の範囲外にいた化け物が流れ込み始める。ほんと、馬鹿見たいな物量だ。さっきのでも優に千は超えていたはずなのに。

「いや、ここは無理しないよ」

地面を蹴り、魔王の前へと降り立つ。

「なっ!」

「吹き飛べ」

蹴り上げて、化け物の集団の方へ飛ばす。そして、水魔法と風魔法で竜巻を作り上げる。灰を巻き上げながら意志を持つかのように執拗に化け物を削り出す。

「聖剣、これは敵対行為ではないからな」

最後に炎の壁を隔てて、正義と香菜にひーちゃんとマユを一気に担いで駆け出した。

 

 

 

 

走り出して、正義の呼吸が落ち着いてきたので降ろす。

場所は…この前荒らしたフェリー置場だ。海には廃材が浮かんでいる。

「正義。そろそろ落ち着いた?」

やっと衝動が収まったのか少ししおらしげな顔をしている。

「はい。ごめんなさい」

「多分職業かスキルの影響なんだから仕方ないよ。じゃあ早速で悪いけど香菜起こして。ひーちゃん、よろしく」

「え?」

「この場所は安全なのか?」

「私がいるんだから当然でしょ。ほら、さっさと行きなさい」

そして、二人ともその場で崩れ落ちた。ひーちゃんの権能で香菜の精神空間へ向かったのだろう。あれ?二人かと思ったら三人だ。なぜかマユが崩れ落ちている。

「ハァハァ。ひーちゃん。ひーちゃん!」

……綺麗な、海だなぁ。

 

 

 

 

 

ぱっと見た感じ、それ程純のものとはかわりない空間だった。でも、どっちが香菜?と聞かれれば間違いなく即答できる。なんせ、この空間には一人であるはずの香菜が二人いたからだ。

「ここまでか…なかなかに進行しているな」

ヒカがよくわからないことを言っているが、異常事態ということはわかる。

「香菜!」 

「せ、いぎくん?」

縛られている香菜が声を漏らした。そして、━━━━

香菜が目を伏せたと同時に大量の鎖が香菜に結び付いた。

「香菜!っ!ねぇきみ!どうにかできないの!?」

もう一人の香菜に問い掛ける。しかし、なんの反応も示さない。近づいて問い詰めようとすると肩を捕まれた。

「なに!」

ああ。声を荒げてしまう。この気持ちは…?

「そこの天童香菜は友井明子の操り人形だ。意味ないぞ」 

「っ!じゃあどうしたらいいの!」 

「話を聞け!烈火正義ならまだ天童香菜を救えるはずだ!」

 

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