世界の変化に追いつけない   作:ありくい

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第百二十話

 

「ふぅむ」

魔王と勇者の力はかなり拮抗している。だから、何か相手の裏を突くような事をしないと、なかなか終わらないはずだ。だというのに、理性を完全に失っているのか互いに正面からぶつかる事しかしていない。

手伝おうにも、純が耐えられる程の痛みの強化ではいかんせん正義と魔王が強すぎたのだ。経験はまた別のところで積ませるべきだろう。

さっきから馬鹿の一つ覚えみたいに戦っている二人を見つめる。下手に突っ込んでしまうと、片方の攻撃を受け、もう片方も次いで攻撃しにきてしまう。だから、タイミングをしっかりと測らないといけない。とはいえ、今は正義も魔王も互いが互いに夢中であるから、先に周りを片付けるのも良いかもしれない。

というわけで、一先ず馬鹿共をほって置き、周りを見渡す。馬鹿みたいな数の化け物と自衛隊は一進一退の攻防を繰り広げている。所々抜かれる所はあっても空から降ってくる自衛隊が食い止めてくれている。倒れた自衛隊員は香菜によって起こされている。正直、手を出す方が駄目そうなくらいにはしっかりと連携が取れていた。

「やっぱり、こっちかなぁ」

もう一度馬鹿共の方を見る。

「オラァァァ!!!」

「効くわけないだろう」

「チッ!死ねやぁ!」

「貴様こそさっさと死ね!」

正義荒れてるなぁ。あの頃の優しさは……私そんなに正義のこと知らんじゃん。後で純の記憶漁っとこ。ま、それはそれとして

「≪火魔法≫」

正義が回避行動を取った瞬間に来るようにタイミングを調節する。まさにこれ以上ないタイミングで放たれた炎は……

もう一本の聖剣に防がれた。なんでだよ。

いや確かに隙を誤魔化すために聖剣がカバーしてるのは見てたけど魔王に当たるものすら防ぐのはダメだよ!今回はお試しみたいな感じで弱めだから良かったけど本気の奴だと溶けてたからね!?

『あぶねえだろうが!邪魔すんじゃねえぞ!』

聖剣から罵声が飛んできた。…すぅ〜。

うん。溶かしてもいっか。

「≪火魔法≫≪風魔法≫≪水魔法≫」

なんでかしらんけどものすごい威力をこめたくなっちゃった☆ちゃんと正義のいない時を見計らって。いっけえええ!!

「む!?」

『は?』

二つの声が上がり、次いで爆音が響き渡った。気持ちえええ!!

「やったか?」

結果は知っているからこそ、ここで言うしかないよね。

当然のごとく息はあるようで、煙が晴れるのを待たずに正義が突っ込んで行った。膨大な光を纏う聖剣を振り下ろし、煙全体を光が包み込んだ。

瞬間、光と相反するように真っ黒な闇が周囲の化け物を取り込んだ。

突然の事態に全員が固まる。そして、ドスンという音に全員が反応し、音の方向、魔王のいた場所を向いた。

光が収まって、その正体が明らかになる。

すべての化け物をミキサーにかけて、型に流し込んだような人型がそこにいた。その人型の頭のテッペンには角が一本生えていた。

 

 

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