「フハハハハ!そもそも魔法を発動できてないがな!」
エ?ジャアモウドウシヨウモナイ?
「フハハハハ!言葉も出ないか!では、まだ寝ているといい」
愉快そうな声を最後に、視界が真っ暗になった。ツギハ…ハァ、ア、ア、ア、ア、ア、アアアアアアアアアア
『レイ!』
アアア、ア、ア?
『ごめんね!すぐに変わる…え?どうしたの明子?え?私が出る?いや別にってちょ!』
アれ?イたくない?
「あ〜もう。とりあえずレイっ!」
「じゅん?」
こころが、ぽかぽかする。
「ねぇ!大丈夫?もう安全だからね?よ〜しよ〜し」
あたたかなぬくもりをせなかでかんじる。
「うぇ。どうしたの?」
めのまえのぬくもりにとびつく。あったかい。
「も~。明子の為にもちょっとだけだよ?」
「……うん」
「お、やっと喋った」
痛いなぁ。純の代わりに出てきたのはいいけど、これは辛いなぁ。
体が燃え尽きていく感覚は忘れられるようなもんじゃない。とはいえ、≪望みのために≫のおかげでなんとかなっている。
「よっと」
魔王というか、スライムの攻撃を避ける。さすがに一度死ねば死にたくないとは強く願える。ただ、このスキルも、この攻撃を耐えることは無理だと判断したのか、与えられたスキルは≪回避≫であった。
魔力を使えば使うほど、避けられる可能性が上がるとかいう、これまた都合のいいスキルである。
…魔法、ほんとに効かないのかな?
「≪火魔法≫……あれ?」
少し弱めの炎を当てる。が、ぱしゅんと当たる前に消えた。そう。当たる前に。
確か、あの鎧は当たってるけど効かない、というやつだったはず。少なくともこんな感じで消えている訳ではない。
「…チッ」
降って来る炎をスキルの効果で避け続ける。もっといろいろ試したいけど避けることしか出来ていない。ただ、活路は見えてきた気がする。
「ま、私には時間稼ぎしか出来ないな~」
この攻撃を避けられているのはスキルの力で、魔王には私の魔法も物理も何も効かないのだ。今はみっともなく、一度殺そうとしていた二人に頼るしかないのだ。
うーん、どれだけ耐えられるかなぁ。運がいいことにスライムの魔法は一回一回派手なおかげでまだ、魔王には避けていることを気付かれていない。多分、魔王に気付かれると終わるんだろうなぁ。
「…いった」
魔力足りないなぁ。後一、二回くらいかなぁ。魔力、死んでも復活しないからあれがずっと来るのかー。うーん。まあ、仕方ないか、罰だと思えばちょうどいいよね。
気付けば、目の前に炎が飛んできている。魔力はもう、底を尽きた。
こんなものは自己満足だし、許されることではないんだろうけど、正義に香菜。本当にごめんなさい。
私は、抵抗せずに、炎を甘んじて受け入れた。
ち な み に
レイちゃんは一人でこのような状況に陥ったとき、相手が寿命等で朽ち果てたりするまで狂います。といっても、大体は代償強化でなんとかなるし、ドMになることはないです。はい。