「ええ~。魔王ともあろうお方が部下の背中に隠れてこそこそと?それでいいんですかぁ~?」
「…」
「チッ」
なんとか釣れないかなぁと煽ってみるが効果は無かった。さっきまで顔真っ赤にしていた魔王はどこへ行ったのか。
「まあ攻撃が来なくなったわけだし、今なら一方的に数を減らせそうかな」
聖剣を二本構えて、ほぼ機械的にスライムの数を減らしにかかる。だけどたまに現れる魔法の壁に阻まれてあんまり減らせる気がしていない。
「あっ…!」
またもや、闇からぽこぽこと水色の粒が落ちてきた。当然、それらは一匹残らず気持ちの悪い人型へと変化する。
うざったいなぁ。あんまり減らせてる気がしないし…。というか純の脱出がこれ以上ないくらい難しくなった気がする。
どうすればいいだろうか。もういっそ突っ込んで純を引っ張り出すか…?でも、まだ母さんが…。
「おい、烈火正義」
「うわぁヒカとマユさん!?」
どこにいたの?確かにヘリコプターの所以来あんま見ないな〜とは思ってたけどさ!
「そんなことは後だ後。それより、行くのか?だとしたら、こいつらくらいなら守ってやれるぞ?」
自信ありげにそう告げてくる。
「え、ホントに?信頼していいの?」
香菜の全天思いっきり貫通されてたよ?無理じゃない?多分レイと違って戦闘向きじゃないんでしょ?
「何考えてるか分かってるんだぞ。まあ大丈夫だ。魔法ならもう切れるように調整終わったから」
「調整?」
なにそれ。始めて聞いた。時間はないが流石に香菜の安全を考えると聞いておきたい。
「あー…簡単に言うとマユの使う刀は俺の権能の一つでなんでも斬れるようにいじくってるんだ。流石に知らないものは無理だから新しい物がでるたびに設定し直しているんだ」
「ほー。なら化け物も、なんなら魔王も斬れるようになるんじゃ?」
「いや、確かに斬れるようにしたいんだが…とりあえず魔法優先でやったからまだ終わっていない。ただ、さっきも言ったように魔法ならいけるぞ。ほら」
飛んできた魔法をマユが両断する。斬られた魔法は二つに別れて後ろの地面を大きく削った。
「ふーん。確かにこれなら後ろは守れそうだね。じゃあ任せるよ」
「正義君、大丈夫なの?無理してない?」
心配そうに香菜がこちらを見ている。
「大丈夫だよ。無理する前に戻ってくるから」
少しでも安全させるために香菜に笑いかける。
「分かったよ。行ってらっしゃい」
「うん。行ってきます」
香菜に見送られながら聖剣を片手に気持ち悪い人型の群れに飛び込んだ。