純と入れ替わり体の調子を確認する。純が意識を失う直前に死ぬまで削ったようで私の体は女の子の方…つまり元々の姿になっている。
「おお、結構いいな」
かなりステータスが上がっている。半永久的にダメージを喰らいつづけることを除けば、なかなかにいい手段だ。私も回復魔法欲しいなぁ。いつか手に入れられれば良いんだけど。
「えっと、レイよね?」
「うん。この強化を活かしたいからすぐ行くね」
せっかく純が頑張ってくれたんだから、このステータスを活かしてあげたい。姉さんの返事を聞く前に、私は地面を蹴った。
「くそ…」
やはり一度守りに入ってしまうと、再び攻めに転じることが難しい。どこか時間稼ぎのように思える魔法を撃ってきているのだが、一発一発が手足が飛ぶほどの威力であるせいで油断ならない。
確実に一つ一つ対処していると、魔王に向かって、高速の何かが飛んできた。
「ぐわっ!」
魔王が大きくのけ反り、その飛んできた何かがこっちに向かってきた。
「お、純?いや、レイ?」
「レイだよ」
ほほーう。純じゃないなら絞ってやるのは後回しだな。
「正義、スパチャのこと気づいてる?」
「えーと…。この光魔法とか書いてある奴?」
魔王の攻撃を防いでいる途中、たまにカラフルな文字で良く目立つメッセージ的なのが飛んできていた。
「そうそう。それ使おうと思えば使えるよ。後ね、今たくさんの人が正義にステータスを正義に送ってくれてると思うんだけど、感じてる?」
ステータスを送ってくれてる…?うーん。もしかして体がちょっと熱くなってるのがそれなのかなー?
なにはともあれ、確認するのが先だろう。何度も確認したステータスをもう一度確認する。
「あ、上がってる」
戦ってる時には全然気づかなかったのだが、もう百以上上昇している。多分、魔法を防いでいる時は聖剣で斬っているだけなのでステータスの恩恵を感じずらかったのだろう。
「なら良いや。正義。私が魔王に隙を作るから確実に仕留めてね。2分後くらいだよ」
返事をする前にレイは行ってしまった。
魔王の方向を向けば高速で動くレイが魔王を圧倒していた。
「ステータスの上昇のおかげで多分助け無しでも魔王は倒せるだろうけど…。いや、いいや」
変なことを考える必要はない。確実に倒せるチャンスを無駄にするわけにはいかない。
「集中するだけじゃなくて、これも使おう」
スパチャとして送られてきた光魔法を使用する。僅かだが、力が増した。この調子で複数ある光魔法を使用していく。
「いける」
沸き立つ力に脳が興奮しているのを感じる。なにもかもがゆっくりに見え、レイの動きも目で追える。
レイが懐に潜り込み、魔王を浮かせた。
「今」
身動きの取れない魔王の体を莫大な光が包み込んだ。
「おつかれー」
「レイ。まだだよ」
なにもかも終わった感じで近づいてきたレイに正義は警告を促す。
「手応えはあったけど、死んでいる姿を確認しないわけには、安心出来ないよ」
「いや、流石にやったでしょ…。あれ、最大限に強化したとしても耐えれないもん」
そう言った途端、真っ暗な闇が光を塗りかえた。
「ユルサン!ユルサン!ユルサンゾ!」
闇が晴れ、ボロボロとなった魔王の体が現れる。
「え…。あれ耐えるの?でもあのくらいならさっとやれるでしょ。ね?正義」
レイが正義の方を振り返り、固まる。
「がはっ」
そこには、正義がとめどなく血を吐き出して倒れていた。