世界の変化に追いつけない   作:ありくい

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第百三十六話

 

「ええええええ????」

正義君の頭に剣が刺さってる!なんで?じゃなくて治療!

聖剣が刺さったままだと治るものも治らない。とりあえず引き抜かないと…

「んっ!ぬ、抜けない」

力が足りないのか引っ掛かってるのか分からないけど私じゃ抜けない。他の人じゃないと…!というか抜けたとしても聖域じゃ多分治しきれないから、レイさんを探さないと。

「レイさんー!」

「なにー?」

遠くから声が聞こえた。

「正義君を助けてください!とにかく来て!」

お腹からしっかりと声を出して、そう叫ぶ。

「待ってて!」

そう言われて十秒くらい、なんとかならないかとスパチャに贈られていた回復魔法を頭以外の傷を治しながら待っていると足音が聞こえてきた。その方向を見ると…レイが大量の化け物を連れてこっちに来ていた。

「助けるからこれ抑えておいて!」

地面が軽く揺れるくらいには大きな足音を響かせる化け物達を指しながらレイはこっちへ走ってくる。

怖いけど、正義君が助かるには必要なことだ。やるしかない。それに、魔王よりはマシだ。

「分かった」

レイとすれ違って化け物達の前に立つ。

「≪全天≫!」

私の全天に強い衝撃が伝わってきた。そして、ヒビがいくつも入る。

「嘘?…」

魔王の攻撃は確かに耐えきれなかったけども、その前の化け物達の攻撃は耐え切れた。ということはもしかして、強くなってる?

「≪全天≫!」

全天が割られて、そのまま押し切られるなんてことがあったらおしまいだ。だから、すぐに新しいものに作り替える。

「≪全天≫≪全天≫≪全天≫!」

やばい。後続から押し寄せて来る化け物が増えるに連れて全天が割られていくペースがどんどん速くなっている。

全天は魔力があればいくらでも張れるけど流石に朝からずっとやってきたからもたないっ!

「レイさん!後どのくらい?」

「三分!」

三分…厳しくない?だって魔力的に後20回くらいしか張れないのに今でさえ10秒に一回のペースで割れていくんだよ?

あっ、また割られた。

ほんとにやばいって。耐え切れないよ。ああ!また化け物増えた!

どうしよう。スパチャ見ても自分のスキル見てもなにか出来る気がしない。

特に≪祈り≫ってほんとになんなの?綺麗な姿勢で祈れるだけとかおかしいでしょ!せめて他の何かに変わってよ!

…でも、神はいるんだよね。面白いからとか抜かしてるけど、神であることに違いはないんだよね?

癪ではあるけど、いや、なんでもないです!

全天を張りなおして、落ち着いてから目を閉じる。

 

お願いです神様。どうか私に正義君を守る力を下さい。

━━代償は?

うぇ、え、代償?

━━そうだよ。神の力を借りたいんでしょ?それなら、何かないの?

えーと。あ、やばい後全天五枚くらいだ。えっと。もう。はい。なんでもいいから!いいです!

━━ほう?なるほどなるほど。面白いこと思いついた。じゃあ後で伝えるね!ほいっ!

気の抜けるようなその声と共に、何か力が沸き上がってきた。

 

これならいけそう。

「≪全天≫!」

ヒビが入る事もなく、しっかりと受け止められている。

━━ねえねえ。それだけじゃなくてさ。倒してみてよ!

倒す?私はそんなことできない…できるの?

━━当然!せっかくの神の力なんだからやっちゃえ!

「は、はい!」

でも、どうすれば…あ、この力を放っちゃえばいいんだ!

━━名前は何でもいいよ!

「え、えっと≪閃光≫」

目の前にあった全天から銀色の光が飛び出す。そして、化け物が消え去った。

「香菜!だいじょう……え?」

レイさんが正義と一緒にやってきた。

「あっ!正義君治ったんですか!?」

「あっ、うん。意識はまだ戻ってないけどね。でも、その…」

「よかった!ありがとうございます!」

喜びのあまり思わず、そのまま正義君に抱き着く。

剣が突き刺さった顔は傷一つないし、心臓もしっかりと動いている。

「本当に、ほんっとうにありがとうございます!」

私は今一度レイさんにお礼を述べた。

 

 

 

 

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