世界の変化に追いつけない   作:ありくい

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第二十一話

隠密の効果のおかげでほとんど減速せずに2分程度で家に着くことができた。

「ただいま」

「お帰り」

「お、お帰りなさい」

二人から声が帰ってきた。優さんは意識が戻ったようだ。荷物を部屋におき、リビングへ行く。

「どうだった?」

姉さんが縮こまる優さんを横目にといかけてくる。

「ゴブリン、オークは余裕だったよ。でもオークの進化系のハイオークは戦ってない。後、自衛隊の人がやばかった」

「へー。あれハイオークっていうのね。もしかしてその自衛隊の人がハイオーク倒したの?」

「うん。車で一撃だった」

「あー。ステータスで無理矢理耐えて車をスピードマックスで走らせるのね。なるほど、悪くないわね」

「えっと…。純さん、その、あの、予想より化け物が強くて、怖くなって、強くならないとと思って、それで、そのほんとにすいませんでした…」 

優さんは若干涙目になっている。だがよくよく考えれば優さんが俺を殺すなど不可能に近い。寝ている時にサクッといっても即死しなければ、ワンチャン不死で直る。そもそも部屋の鍵をかければ大丈夫だ。

「まぁ、心の底でどう思っているか知りませんけど、もともと俺を殺すなんて出来ないでしょうし、とりあえず許します。多分そう遠くないうちに一緒にレベル上げもできそうですし」 

正義がある程度育つならお互いにフォローしあえるため前のようなことにはなりにくいはずだ。そうなるなら他の人のレベル上げもできるだろう。

「それはありがたいわね。ところで純。なんで変装とかないの?」

ああ、忘れてた。

「ところで姉さん。今って自衛隊は何しているの?隊員の人がほとんどが出かけているって」

「それはね、オークやゴブリンが一箇所に集まったっていう情報がネットに流れてね、特に山の中とかにいるらしくて、家っぽいものを作ってるようなのよ。危ないからってのもあるけど、もしかすると会話できるだけの知性があるかも知れないから、一つ一つ調べているらしいわ。何かこの状況の解決のてががりをって必死見たいね」

村、ゴブリンの集団はよく見たがオークは一度も複数でいるところを見なかった。気をつける必要がありそうだ。

「あの、純さん。もし明日もレベル上げをするのであれば、ネットでもなんでもいいので、新しい化け物を調べるほうがいいと思いますよ?」

優さんがおずおずと発言する。

「なるほど。それもそうですね。そうします。ところで優さん。ご飯まだですか?」

優さんがとてもいずらそうだが、気にするなとは言えないので、少しでも家事で償ってもらおうと思う。

「はい!今すぐ!」

優さんはものすごい速さでご飯を作っていく。毒とか少し考えたが、配膳をするのは姉さんか俺なので大丈夫だろう。

「姉さん。テレビは見たの?」

今日は確か総理大臣の会見的なのがあったはずだ。諸外国とどうして行くのか話し合うみたいだ。

「ああ、それね。どうやら支援は厳しそうよ。まずね、米軍基地の軍隊はもうアメリカに帰ったみたい。一応、先進国は余裕があるなら周辺国、特に発展途上国へ手を貸すようにっていうのが決まったみたいだから、日本も近いうちにどっかに自衛隊が送りそうね」

「日本ってそんな余裕あるの?そんなことまだわからないよね?」

「いや下っ端でレベル50は充分でしょう。被害も結構出ていて、昨日の時点で死者が十万を超えるそうよ。特に発展途上国の割合が多いわね。負傷者はかなりいるけど、少なくとも日本の医療崩壊はなさそうな感じ。政府は食料は配給、水道管等ライフラインについては自衛隊がしっかりと警備するから大丈夫らしいわ。あと、自衛隊加入がかなり緩くなったわね。なりたいなら近くの自衛隊員に言うと、その地域の警備の手伝いをさせてくれるみたい。それである程度認められたら、正式に自衛隊加入となるらしいわ」

かなり多くのことが決まっていったらしい。自衛隊は無しではないが、別の地域を守るつもりはないのでやるとしても手伝い止まりだろう。

「後、食料ね。被害はそこそこ出ているし、貿易もできたもんじゃないんだけど、食料生産の職業が何かすごくて日本だけでも大丈夫という予測が建てられているらしいわ。最も、国民の買い占めを防ぐためとかあるかもしれないけれどね」

いくらなんでも3日でそこまで分かるのだろうかとも思ったがまあ考えても仕方ない。

「はい!出来ました!」

姉さんとそんなことを話していると、優さんはもう作り終わったようだ。サッサと配膳して食べ始めた。うますぎて馬になったわね。

 

 

 

食後、会話もそこそこに部屋に戻った。どうせ12時にはまたあの痛みがくるだろうし、寝たってほとんど意味がないだろう。なのでスキルを使ってみることにした。

「よし…」

部屋の鍵を閉め、カーテンも閉める。

「≪武器召喚≫」

手に現れたのはよくある、拳銃だった。重さは特に感じることはなく、とても手に馴染んでいる感じがする。一度消し、今度はスマホで適当に調べたタイプの銃をイメージする。だが出てきたのは拳銃だった。どうやら銃は固定のようだ。撃ってみたいが絶対面倒なことになることは目に見えている。何より銃にステータスが上乗せされたらとんでもないことになる。

じゃあ次だ。今日使ったリュックを取り出す。

「≪収納術≫」

見た目は変わらない。中身を覗くと底が見えなくなっていた。適当な物を入れまくる。二倍くらいの量が入ると、もう入らないのか、入れようとしても、跳ね返される。恐る恐る手を突っ込むと、頭に入っている物が浮かび、思い浮かべるとすぐに取り出すことができた。

「こんなものか。便利だけど、二倍までしか広がらないのか」

しかし、このスキル達はまだレベル1だ。将来が楽しみになってきた。二つの検証を終えると、深呼吸し、もう一度≪代償強化≫を確認する。

 

≪代償強化≫

体の一部を消費し、ステータスに変換する。

体の一部を消費、言いたいことは分かるが程度がわからない。姉さんが見たところによると、すぐに動けるようだがやってみないとわからない。暴れる心臓を右手で押さえ、

「≪代償強化≫」

胸のあたりの喪失感とともに口からは血が溢れ、意識が飛んだ。

 

 

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