世界の変化に追いつけない   作:ありくい

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第二十六話

俺は魔法を使うことのできそうな職業を持ってそうな人は一人しか知らない。そう明子である。

「もしもし、明子?」

『なに?』

「職業って決めた?」

『うん。魔法使い』

勝ったな。ふろ食ってくる。

「じゃあさ今からそっちいっていい?」

『何で?』

というわけで事情説明。

『わかった。そのかわりレベル上げ手伝って』

「了解」

テキパキと約束を取り付けられた。やっぱ持つべきものは友だよね!

「というわけで行ってきます!」

「明日じゃダメなの?もう夜遅いわよ?純は今女の子なんだから襲われるわよ?」

「いや、むしろ自衛隊のおかげで犯罪ないじゃん」

自衛隊が町を巡回するので犯罪係数はかなり減った。まあなくならないんだけどね。悲しいなぁ。

「今自衛隊少ないって言ったでしょ」

そういえばそうだった。まあ俺は強い方だし大丈夫でしょ。あと、できたら明日までに魔法使えるようになりたいし。

そうして俺は外に出た。外は静かで街灯の明かりのみが道を照らす。とりあえずの感覚で隠密を使って走り出した。もう隠密がないと、やってらんねえわ。

風を切る音が響く中、聞き慣れない音が耳に飛び込んできた。金属と金属がぶつかり合う音だ。ここらへんは住宅地で特に何もない。そして、警察もとい自衛隊はレベルが高く打ち合うことなく倒していっている。

俺と同じようにレベルが高く戦いあっているのだろうか。いや、とにかく一度確認してみよう。

屋根に飛び移り、その方向を見ると、ちょうど音が止み二人の人間がいた。一人は立ち、もう一人は倒れている。立っている人の手には武器のような物があり、何かが滴っていた。

目がなれてくると、立っている人の顔まで見ることが出来た。女のような顔をしたその人物は

 

 

 

 

俺の方を見ていた。

 

「っ…!」

飛び込んできた女の剣を銃で防ぐ。違う。これは刀だ。速度は正義とくらべると遅く、俺と同じくらいだ。女は刀を綺麗に振り、休む暇を与えてくれない。技術が高く正義をコピったスライムとは別の感じで辛い。このままではジリ貧になってしまう。

「なんだお前は!」

一度声をだし、会話によるリセットを期待するが無視される。肩、腕、足、胴、指、首狙う場所をことごとく変えて来るので防ぐことで精一杯だ。

「≪代償強化≫」

左腕への攻撃をわざとうけ、切り落とされる前に代償強化を使用する。腕を失う喪失感と痛みが脳を駆け巡り、思考が一旦とまる。女は一度目を見開いたが、すぐさま気を持ち直したのか、その隙を見て、女は首を狙ってきた。

何とか、三分の一程度で銃で止めることが間に合い、相手を蹴り飛ばす。ステータスが強化された蹴りはかなりの威力のようで、女は受け身をとることもできず、壁にたたき付けられた。死んだかと思ったがそういうわけではないようでピクッと腕が動いた。そして、視界から消えた。

「消えた?あ、違う。隠密だ」

すぐに女がいた場所を押さえると見事に捕まえることが出来た。抵抗する力がないのか何の抵抗もして来ない。そして、横にはさっきの倒れ込んでいる人がいて、それは肩からばっさりといかれた死体だった。

「うっ」

襲ってくる吐き気を全力でこらえる。

殺人だ。速く通報しないと。でも両手を離せない。とりあえず身元を調べて最悪逃してもいいように鑑定を使う。

 

鑑定結果 ブロックされました

 

「は?」 

名前だけでもと思ったがそれすらわからない。なら、押さえ付けて自衛隊を待たないと。そんなことを考えていると女は何かを呟いた。聞き取ろうと思ったが聞き取れず、代わりにズウゥゥンと聞いたことのない音が響き渡った。辺りを見回すと、空間にヒビが入り辺りに広がっていった。

俺は女を取り押さえるのをやめ、すぐに飛び去った。そして何とかその空間からは逃れられたが、女は見失ってしまった。

「はぁ、なんだ?今の?」

荒れ狂う心臓を押さえつけ、あたりを見回す。ヒビはもうなくなっていて、死体も消えていた。よくわからないがとりあえず死ななくて良かった。

一連の流れを姉さんに伝え、明子の家へと向かって行った。

 

今度は何事もなく到着。ピンポンを押す。

「ん。きた。純、いらっしゃい」

明子が笑顔で迎え入れてくれた。さっきまでの恐怖から一転和やかな雰囲気に心が休まる。中学生なのに明子は一人暮らしである。何故かは怖いので聞いていない。

「お邪魔しまーす」

と家に入ろうとするとピコーンとなり、

≪新たな課題が出題されました≫

と頭に響いた。

次の課題は、魔法を見る である。

これは簡単そうだなと思いながら家に入った。

「なんかあった?」

「え?まああったにはあったけど。顔に出てた?」

まだ死体を見たのを引きずってしまっているのか?顔をぺたぺた触っていると、

「いや、純のお姉さんから教えてもらった」

そういってスマホを見せてきた。そこには『純ちょっとショッキングなことがあったみたいだから優しくしてあげて』と姉さんのメッセージが乗っている。

「何で姉さんと連絡先交換してるの…」

「で、何があったの?」

軽くあのことを話してついでに外に出るなと脅しておいた。めっちゃビクビクしていた。

「じゃあ本題。明子先生お願いします!」

「うむ」

と偉そうに頷くと片手を上げた。魔法の実演である。

「≪火魔法≫」

明子の片手から光が出てきて球を形作っていく。そして、水をはった洗面台に打ち込んだ。

≪新たな課題が出題されました≫

とりあえず、

「「おおおおおおおおおおおおおお!」」

二人で初めての魔法にテンションが上がり騒ぎあった。

 

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