世界の変化に追いつけない   作:ありくい

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一ヶ月坊主にならないようがんばります


第三十話

 

「いやー、良い反応してくれるね」

けらけらと女は笑い出す。何のつもりなのだろうか

「何しに来た」

いつ来てもいいように指を消費する。

「謝りに来たんだよ。ゴメンね、びっくりしちゃってついね」

「はぁ?」

謝るとは思っていなかった。ただこいつは人を殺しているのだ。警戒を解くわけにはいかない。

「後ね、もう一つは聞きたいことがあってね。あなた、神の祝福持ち?」

神の祝福は俺に不死のスキルを与えた称号だ。何故知っているのか。

「そんなこと聞いて何がしたいんだ」

「え?私もそうだからだよ?あれ?もしかして知らない?」

不思議そうに尋ねて来る。どう答えるべきか考えていると、姉さんが口を開いた。

「あの、少しいいかしら?どうして純の居場所がわかったの?見た目も昨日とは違うはずだし」

そういえばそうだった。昨日の俺は女で今日は男だ。家を突き止めた件も気になる。

「それはね、昨日、スキルで居場所が分かるようにしてるからね。GPSみたいなもんだね」

ストーカーかよ。ふと、昨日の件を思い出した。押さえ付けた後、よくわからない何かで逃げられている。あの時、死体も消えていた。それを使われると全員が危なくなるかも知れない。なら、素直になっておくべきだ。というか色々ありすぎ。

「神の祝福はある」

「なら、使命は?」

「それは知らない」

それを聞くと、女は息を吐くと、携帯を取り出した。何が目的だ?

「ねえ。聞いてた話と違うんだけど、……え?来るの?じゃあ待ってるね」

「誰に電話したんだ?」

「私に神の祝福をくれた人だね。説明してもらうからしばらく待たせて貰うね。まあちょっと申し訳ないから、ででーん質問タイム~」

出来たら断りたいが、万が一を考えると出来ない。ちょうどいいので情報収集でも、と考えていると

バタン、と音がなって、男が入ってきた。金色の髪と青色の瞳でかなりのイケメンだ。

「お、ひーちゃんはやかったね」

その男はひーちゃんと呼ばれているようだ。ギャップありすぎる。ひーちゃんは俺へと距離を詰めながら、

「おい、深井 純、質問だ。お前は性別が変わったりするか?」

いきなりそんなことを聞いていた。剣幕がすごいのでコクコクと頷いてしまう。その反応を見たひーちゃんは、頭を抱えてしまった。

何があったのかというより、何か知っているのか?という期待が浮かび上がった。あの痛みも、性別が変わるのもまったく何も分かっていない。特に痛みは本当に辛い。なんとか痛みだけでも消したい。

「何か知っているのですか?!」

湧き上がった期待からそう質問した瞬間、ものすごい速度で空間にヒビが入りはじめた。昨日とは比べものにならない速さで、体を動かすひまもなく、全員飲み込まれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

目を開けると、そこにはあの場にいた全員がいた。辺りは真っ白で、何処までも続いているような感覚がした。女とひーちゃん以外が動揺していると、

「ここは、お前の心の中だ。俺の権能で勝手に入らせて貰った」

とんでもないことをひーちゃんは言ってきた。心の中ってなんだよ。そして、ここまで来た理由は何なのだろうか。

「じゃあ、行くぞ。質問は後だ」

そういうと、ひーちゃんは歩き出した。かなり速いので頑張ってついていく。

「心の中ですか。これはもともとあったものなんですかね?それともスキルによって生み出されたのか気になりますね」

「まあ、後でひーちゃんさんに聞きましょう」

優さんと、姉さんはそんな話をしていた。確かにそれは知りたい。特にもともと医者の優さんは気になるのだろう。

ちょくちょくしゃべりながら歩き続けていると、ひーちゃんは、止まった。なんだなんだと前を見ると、テレビでアニメを見ながらお菓子をベットの上で食べている人がいた。

「おい、レイ。何しているんだ」

「ん~?だれ~?」

女が振り向いたその瞬間、俺と姉さんと優さんが息を呑んだ。

そう、それは━━━━━

赤い目をした、女の俺だった。

 

 

 

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