今日の新規の化け物は既にネットで名前が回っていて、名をナイトという。ガシャガシャと鎧を全身に纏っていて中身は何もない。一番の特徴はまさかの魔法無効。
物理無効ではなく、魔法無効。なんでやねん。
足が遅いので逃げることも簡単なはずだ。なので正義が倒せなかったら逃げるということで、効率アップをするために姉さん優さん二人とも同時にあげている。正直スライムも覚えた魔法で余裕なので危険な要素がないのである。
「いや~もう楽勝だわ~」
「ダメだよ、純。そうやってゲームで不意つかれて負けてるでしょ。大会の時もあれなければ勝ってたんだからね」
正義と俺はネトゲでチーム組んでいて、そのゲーム内では結構有名だったりする。大会だって上位常連だ。
「そんなのやってみないとわからないじゃん。たらればやめて」
「開き直るな。あのあと大会のコメントで叩かれて拗ねてたくせに」
「あの。私達は普通に死ぬんですから、真面目にやってくれません?」
「「あ、ごめんなさい」」
優さんに怒られました。正義が悪いんです。
話していると、突如悲鳴が鳴り響いた。
「女の子の声!」
「俺が行く!正義、姉さん達は任せた!」
「分かった。すぐに追いつくよ!」
優さんが真っ先に反応した。が、速度的に代償強化含めれば俺が最速なのですぐさま向かった。
一瞬とも言える速さで悲鳴の元へたどり着くとそこでは、女の子が男に襲われていた。女の子の方は何かを抱き抱えていてうずくまっている。一瞬、人?と思ったが、スライムが擬態しているのだとあたりをつけて、男にたいして火魔法をぶつけた。
魔力が多くなっているため威力はかなり出るが、そこまでする必要はないのでせいぜい火の粉レベルだ。まっすぐ飛んで行った火魔法は綺麗にこめかみへと当たると、いつものように溶けるわけではなく、
「あっづ!」
男は熱がっていた。
え?マジで人?
「テメェ!このくそあまがぁ!殺す!」
男はものすごい形相で襲いかかってきた。速さは俺にとってはなんて事ないが、力はどうなのかわからない。だから、当たらないように攻撃を避けてから、女の子を拾って正義達の元へと直行した。
「アア''?待てやぁ!」
男は体中から闇を噴き出して明らかに上昇した速度で俺を追いかけてきた。だとしてもまだ俺の方が速いため追いつかれる事はない。
「あ、あの━━━━」
女の子が何か言っているが対人戦は流石に経験不足なので意識のほとんどを男に割いているため、聞き取ることは出来ない。
「純!」
正義の声が鳴り響く。すぐさまその方向へと向かった。
「純!どうしたの?」
「わかんないけど不審者!この子襲われてた!よろしく!」
とにかく時間がない。そして、少なくともここで戦うのは良くない。流れ弾には気をつけないといけないからな。
「頼んだぞ!」
正義に女の子を任せた後、男の視界に何とか入り込んでから別方向へと走り出した。さっきからどんどん男の噴き出す闇が増えていて圧が増している。
俺は最悪応戦するつもりではあるがなるべく、自衛隊に任せるために屋根に飛び移りながら━━━━━━━
「ちょこまかと、消し飛べやぁ!」
そうして男から生み出された闇は槍の形となって肥大していき、俺がさっきまで足場にしていた家の半分を消し飛ばした。
後、少し遅ければ当たっていたことを認識して、背中がひやりとした。しかし、これはまずい。このままでは被害が急増してしまう。最悪人が死ぬ。
そう判断した俺は、指だけを消し去って強化した後、最速で懐まで潜り込んでアッパーを決めた。
が、奴の体から出ている闇がそれを防いだ。
ならばと、次は火魔法を使用する。相手のステータスを信じて、手から出した火を男の顔面に押し付けた。
「あ''あ''あ''あ'あ''!」
叫んだ男は体中隙間なく闇を纏わせ忽然と消えうせた。