第四十五話
「どうしよう」
めがねっ娘の質問に答えた結果、めがねっ娘は突然下を向いたかと思うと、笑顔になって部屋から出て行った。コワイ。さすがにほっておくのはかわいそうだけど、私が行くのも違うよな~だってあの子純のこと絶対好きだし。
うし、純に行かせるか。
突然現れたレイに強引にアニメ観賞を中断させられ、明子を追えと言われた。何があったの?
目を開けると同時にドアが開く音がした。え、ほんとに出て行ったの?やばいって、姉さん達もなんでとめないの?
とりあえず明子を必死で追いかける。靴も後回しだ。裸足で出ていこうとした瞬間、
「ぐっ…」
痛みが俺の体を地面に縛り付ける。何十年とも感じるほどの五秒間の後、息を整え、すぐに後を追った。
「明子!」
視界にはいない。俺が住む家の周りは見通しがかなり悪いから、どこへ行ったのかがわからない。手遅れになる前に、速く、急がないと。
「おっと!ここは通行止めでーす!」
目の前を何かが塞いだ。それは、黒と黄色の服を着た犬だ。いや、犬ではない。一つであるはずの首は三つあり、めちゃくちゃかわいくデフォルメされている。そして、空を浮かび、くるくると回っている。まるで、魔法少女のマスコットみたいだ。
とはいえ、今は一刻を争う一大事。新たな現象だし、人の言葉を喋る人外というだけで初めての例だ。しかし、今は一刻を争う。
明子に何かあってからでは遅いのだ。
無視を決め込み、横を通り過ぎようとすると、足が何かに貫かれた。
「は?」
見ると、コンクリートだった地面からは、大量の針が生えていた。その一つに俺の踏み出した足は深々と刺さっている。
「通行止めって言ったじゃーん!聞いてないのー?」
貫かれた足の痛みが思考を邪魔し、考えられなくなる。抜きたいが左足以外はすべて針だらけだ。
「な、んで止めるんだ」
前のケルベロスはかわいらしさ全開で笑うと、
「このままだと予想も着かないことになりそうだから!楽しそう!」
子供のように言いきった。
「ふざ、けん、な」
何とか銃を召喚して銃口を向ける。
「おやおや~撃つの~?怖ーい」
キャハハと笑った奴へと、明確な殺意とともに引き金を引いた。
「ま、あたるわけないよね~」
余裕綽綽と、銃弾を避ける。何発も何発も撃ち続ける。がすべて外れてしまう。
「おっと!そろそろ離れすぎちゃうや。じっかん切れ〜じゃあかなりいたいですよ~っと」
その言葉とともに足の痛みが膨れ上がった。
「ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」
「良い反応だね~。不死者でもそんなもんか。バイバイ~」
目の前からケルベロスが消え去る光景を最後に意識は暗闇へと染まった。