目が覚めると、俺は姉さんの部屋にいた。
「起きた?大丈夫?」
「う、うん。ちょっと頭が痛いだけ」
さっきから頭がずっとガンガンする。何か大事なことがあったはずだが、思い出すことが出来ない。
「そう、じゃあ何で玄関先で倒れていたか覚えてる?」
玄関先で倒れる?なんでだろ……?
「いや、ごめん」
「いいのよ。覚えていないなら仕方ないわ。まぁ死んではいないようだしなによりよ」
そういわれて体を見た。昨日は女だったから今日は男のはずだ。うん。1番付き合いの長い体だ。
「ほんとだね。う~ん、とりあえずリビングに行っておくね。姉さんの邪魔しちゃ悪いし」
「それはありがたいけど、大丈夫?」
「うん。何とかね」
そうしてリビングへと向かうと、明子がいた。
「う…、あれ?めいこ?帰ってきてたの?」
「どこにもいってない。ちょっとそとの空気を吸いに出てただけ」
そっか。ならいいや。
「それより、大丈夫?」
調子の悪さが伝わってしまったのか心配そうに尋ねられた。
「あ、うん。ちょっとずつマシになってきてるから」
「なら、ここで寝たら?」
そういって膝をぽんぽんと叩く明子。膝枕?そんなの恥ずかし…くはないや。頭痛いから枕が欲しかったところだし、ありがたく使わせてもらおう。
「ありがと」
そうして倒れ込むように明子の膝の上で眠った。優しく撫でる明子の手はとても気持ち良く、すぐさま眠りに落ちていった。
「お熱いねぇ!カーーッ」
気がつくと、俺は自分の精神の中にいて、目の前では子供ビールを浴びるように飲むレイの姿があった。
「なにしてんの……」
「いやさぁ。お二人さん熱いねぇ!私もそんな恋愛したかったよ!」
それはもう楽しそうに、手足をじたばたさせてはしゃいでいる。かわいい。
「で、なんでここに俺いるの?」
「聞きたかったからだよ。君達の関係をね!」
う~~ん?
「だ か ら 君とめがねっ娘のか ん け い!いつの間にか膝枕まで進展してもうラブラブじゃないですか!」
らぶらぶ?明子と?違うけど…。
「ただの仲がいい友達だよ」
「そんなこと言ってぇ~実は何かあるんじゃないの~」
うっっっざ。酔ってんのかこいつ。よく見れば顔も赤いし、でも俺は子供ビールしか飲んだことないし、実際どう見ても子供ビールと書いてある。
「何もないよ。向こうだって友達としか思ってないよ」
瞬間、レイの赤かった顔が一気に覚めて目が死んだ。
「え、マジでそう思ってるの?鈍感系主人公気取りもたいがいにしろよ」
突然キレられた。何なの?なんでこんなうざいの?
「特にそれっぽいことされてないじゃん。それで断定なんてできるわけないよ」
「え、膝枕までされてこれ?ヤッッッッバ。頑張れめがねっ娘。私は応援してるぞ」
何かぼそぼそ言っているが無視して俺はこの空間から出て行った。
「おはよう」
目を開けるとそこには明子の顔が目前にあった。もしかしてずっとしてくれていたのか?
「うわ、ごめんね。足もしびれたでしょ」
「大丈夫だ。問題ない」
そうは言っていたがすぐに頭を起こした。明子の口から小さく「ぁぁ」と聞こえた気がしたが気のせいだろう。時計は6時を指していて既に全員がリビングに集合していた。
「あれ?姉さん早いね。いつも7時くらいなのに」
「今日は風花ちゃんを迎えに行く日でしょ?純は行けないじゃない。今男だし」
あ、そっか。風花ちゃんは男の俺しか知らないもんね。なるほどなっとく。流石姉さん。さすねえ
「なるほどね。じゃあどうやって俺のこと説明するの?難しくない?」
そう言うと、姉さんは一台のパソコンの画面を俺に向けてきた。
「これ、俺が変わるときの録画?」
「そうよ。もちろん編集済みだけど」
そこでは、いつぞやにとった女から男に変わるときの録画を光らせてグロいところだけを見えなくするように編集されていた。
「流石に信じないんじゃないんですか?」
「その時は明日まで待ってもらいましょう。何日もたてば嫌でも分かるでしょ」
うーん。まぁそうするしかないのかな?
「えっと。純さんの代償強化で目の前で一度死ねば1番楽だと思いますけど…ア、ゴメンナサイ。ジョウダンデス」
そんなことを言った瞬間、全員から睨まれてすぐに撤回した。その後、俺と姉さんで風花ちゃんを迎えに行き、俺について理解してもらうまで1時間以上かかるのであった。