世界の変化に追いつけない   作:ありくい

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第四十六話

 

最悪だ。ダンジョンができて化け物が近くに沸かなくなると、化け物のために最悪隣の県まで行かないと行けないかもしれない。幸いにもステータスをあげろとは言われなかったが、今日を逃すと効率がかなり悪くなってしまうことは明白だ。

「めいこおねえちゃん。いっしょにねよ」

風花ちゃんは今日一日中遊んであげただけなのにすごく懐いた。かわいいから純との養子にしちゃいたい。

「いいよ」

ただ、いくらかわいかろうと純との邪魔になるのはいただけない。さっさと寝てもらいたい。

ただでさえダンジョンの件で遅れてしまうのだ。一分一秒無駄には出来ない。そうでないと、

あの女を殺すのが遅れてしまう。

違う。引きはがすのが遅れてしまう。別に生死はどうでもいいんだから。

やさしく風花ちゃんを寝かしつけてからリビングにいる純に感づかれないよう窓から外に出た。部屋には鍵をかけておいたからばれることはないはずだ。

「ベル」

「りょーかーい」

ベルの索敵のもと、化け物を殺し続ける。自衛隊とはなるべく接触は避けたいので、屋根、路地裏、地下水道、様々な道順から町中を駆け回る。道中の鎧は無視して、それ以外は殺し尽くす。鷲も目立つ火魔法はひかえ、風魔法で命を刈り取り続ける。当然闇魔法無駄撃ちしてレベル上げも忘れない。新しく覚えた魔法の効果はベルが教えてくれるから本当に便利である。

1時間ほど化け物達を殺し続けていると、焦りからか、路地裏に逃げるのが遅れてしまい、自衛隊に気付かれてしまった。

「誰だ!そこにいる奴は!」

まずい。こんな夜中に魔法少女の格好は怪し過ぎる。いや、むしろこの格好だからこそ乗りきれるのではないだろうか。テレビでも奇抜な格好の人がいた。それに逃げようにもこいつらのレベルがおかしいことは分かっている。素早さに補正がないと苦しいだろう。まぁデバフを入れたら別だろうけど。

「何?私は化け物を殺しているだけ」

そういいながら、自衛隊の前に姿を現す。その瞬間、目を見開いてしまった。そこにいたのは自衛隊に入ったと聞いていた渚だった。何故ここにいるのか。というかこのままだとバレてしまう。

「化け物については自衛隊が対処する!安全のために家に帰れ!はぁ。テレビに触発されたのかは知らんが危ないからやめるんだな」

「…」

「だんまりか?まあいい。自衛隊として市民を守るのが役目だ。ついていってやるから安心しろ」

どうやら私を明子だと認識出来ていないらしい。純だと出来ていたから認識阻害とかはないはずだが、まぁいいや。時間がないんだから、どいてもらおう。近づいてきたところに

「≪火魔法≫」

明るさだけを追求した炎を作り上げ目の前へと投げつける。到底夜の闇になれた目ではその光に耐えられない。私はしっかりと目を瞑っているから大丈夫だ。

「ぐっ…!」

一応闇魔法でその上から視界を闇で包み込む。

これで何とかなる━━

咄嗟に体を曲げ飛んできた斧を避けた。 

失敗?いや、渚は目を閉じている。その上で斧を投げているようだ。次々と手から生み出された斧は私を正確に狙っていく。わけがわからない。私は魔法で軌道をずらしながら避けていく。

「そこにいるのは分かっている!今ならおとなしく投降すれば多少の弁明は聞いてやる!投降しろ!」

目を潰されながらそんなことを言ってくる。私には時間がないのに。今日が純に一気に追いつける最後のチャンスなのに。殺したいけど純の友達でもあるから殺せない。なら、

「投降します!」

そして投げて来る斧が止まった瞬間、全力で腹部に向かって拳を入れた。当然新しく覚えた闇魔法で防御も下げる。

「うっ!」 

苦しそうに声が漏れたのを確認して、逃げるついでに顔に蹴りを入れてから私は逃げ出した。走りながら、ベルに頼んで渚が近くにいないかだけを確認させる。そうして、だいたい30分程、道中の化け物を殺しながら逃げつづけてやっと追われなくなった。

「ハァ、クッソが!」

時間を無駄にしてしまいイライラする。でも、そこで万能アイテム純の写真。しっかりと香奈から幼少期の写真も集めておいたから、どの歳の純も揃っている。

かわいいくてかっこいい純のこれまでが私の手元にある。これからを手に入れるためと考えればモチベーションも上がるものだ。口惜しく、アルバムを閉じて、

「ベル。またお願い」

「あいあいさー」

そうして、狩りを再開させた。自衛隊は見つかったら大幅な時間ロスになってしまうため、10メートル以内に近づかないように徹底して、その日はもう見つかることはなかった。

朝日が昇るその時まで殺し続けて、家へと帰った。ちゃんと窓から入り、少しだけ純のベッドで風花ちゃんと寝た。

いつか横にいるのが純になればいいのにな。

 

 

 

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