世界の変化に追いつけない   作:ありくい

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第四十七話

 

朝、正義を含め全員がリビングに集まった頃、姉さんは話を切り出した。

「では、今からやることの説明をするわ」

「「「「「はーい」」」」」

「まず、全体の流れを説明すると、配信スタート、スパチャ連打、終わり、とこんなものね。この行程はなるべく速く終わらせるわ。理由としてはこの配信ってね、限定公開とかは出来ないのよ。つまり、一時的とはいえ、世界に公開されてしまうの。時間は短い方がいいし、風花ちゃんには映りつづけて貰いたいから、これを被ってもらうわ」

そういって姉さんはお面を取り出した。

「うさぎさんだー。かわいい~」

風花ちゃんも気に入っているようだ。

「あとね、ちょっとさっき言ったことと繋がって来るんだけど、なるべく家ではやりたくないのよね。どうしてもダンジョンができれば一日も立てばどこなのかばれると思うのよね。そんな限定した範囲だと身バレにつながる可能性がぐんとあがるし、ダンジョンマスターの位置が世界レベルで広まるのはどう考えても良くないから。外でしたいわ」

「なるほど。確かにダンジョンマスターがいる国は限られてますし、日本政府としても北海道だけじゃ足りないですからねー」

現在、世界単位で見ても、まだダンジョンマスターは片手で数えられるくらいしかいないとテレビなどでは言われている。信憑性なんて微塵もないけどそんな中で風花ちゃんがそうだとばれてしまえばどうなるか分かったもんじゃない。

「それは分かったけどどこでするの?」

理由は分かったけどどうしても場所がない。そもそもこうしようと決めたのは風花ちゃんの安全のためだ。これで外に出るのは流石に本末転倒になってしまう。

「そのために正義君と純がいるのよ。場所としてはあまり入り組んでないない一方通行のとことするわ。だいたい目処はつけているから安心して。そうして、そこの入口のところに正義君。風花ちゃんの近くに純という形で行こうと思うわ」

「私は?」

明子がそう尋ねると、少し申し分けそうにしながら、

「あー仲間外れみたいで申し訳ないのだけれど、お留守番していて欲しいわ。優さんと一緒に」

「えー?めいこおねえちゃんこないのー?」

姉さんに明らかに不満そうな言葉を漏らすのは風花ちゃんだ。

「いや、純と正義君の守る対象を少しでも減らしたいからっていうのが理由なんだけど、確か、明子ちゃんまだレベル20よね?」

「はい」

そんな会話を聞いて納得する。そういえば昨日は明子が参加を拒否したからやらなかったんだっけ。

「そういえば昨日も、一昨日も行ってないもんね。今日速く終わったら正義も交えて三人でいく?」

「あ、い……やっぱいいや」

そんな提案は断られてしまった。何か理由があるんだろうが、もともと普段やるようなことでもないのだ。向こうから話してくれるまで気にしないようにしよう。

「そっか。じゃあ風花ちゃん。俺が行くから許してくれないかな?」

今日は女の子なので一筋の期待を胸にそう言ってみる。

「うー。わかった」

一応納得はしてもらえたようだ。よかった。

「それじゃあ善は急げよ!行きましょう!」

「「「おー」」」

今思ったが正義も風花ちゃんもノリが良すぎるな。

 

 

 

 

姉さんが場所として使うのは、オークとの死闘があったところだった。俺の血まみれとなっているかと思ったのだが、そうでもないようで、初めの状態となんら変わりない様子だった。それで思い出したのだが…

「ねえ。そういえば今日の化け物って何なの?」

そう。以前それを知らずに突然湧いたオークに殺され続けたのだ。この場所だとなおさら警戒してしまう。

「あれ?そういえば言ってなかったわね。聞かれないから既に知っているもんだと思っていたわ」

え、こっわ。聞いててよかった。

「で、何なんですか?」

正義がそう尋ねる。

「今回は、そこまで気にしなくてもいいわ。形状は魚で全長は2から3メートル程度で、ある程度の水がある場所じゃないとダメみたいなの。自衛隊が動画着きで公開していたから間違いないと思うわ」 

後から見たのだが、その動画というのは自衛隊のプールに大量の魚の化け物が飛び跳ねているというなかなかに気持ち悪い映像だった。魚はかなり獰猛な見た目をしていて近くにいた自衛隊へ飛びついていたのだが避けられ、陸の上で跳ねるとすぐに消えていった。とても、命のはかなさが伝わって来る動画でした。まる。

 

「それじゃあ始める前に、≪場作り≫」

姉さんがそう呟いた瞬間、張り詰められていた緊張の糸が切れたようなほんわかとした雰囲気に包まれた。

「え?何したの?」

「場作りで作ったのよ」

え?それってやりようによってはもっとやばいこと出来そう。それこそ、集団洗脳とか。

少し、恐ろしくなったが気にしないようにする。

「じゃあ風花ちゃん。ここに立って貰える?」

「はーい」

うさぎのお面をつけた風花ちゃんが意気揚々と指示された場所に出てくる。

「じゃあ純は適当な話題で風花ちゃんの相手をお願い。鷲への対処もよろしくね」

「分かったよ。姉さん」

そうして、配信が始まった。

 

 

 

 

配信は特に障害なく進み、順調にどんどん風花ちゃんにステータスが入っていく。その風花ちゃんは

「なんかちからがわきあがるー!」

ととても楽しそうにしている。どうやら優さんもしっかりと見ているようで、すぐさまたくさんのステータスがスパチャとして流れていた。姉さんは風花ちゃんだけを映しながら、ひたすら携帯を連打している。あの調子だと1となるまで結構時間がかかりそうだ。

そんな中、のんびりと風花ちゃんとお話していると、異変が起こった。

 

 

路地裏の影から闇が溢れ出たのだ。

 

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