世界の変化に追いつけない   作:ありくい

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第四十九話

 

純達が路地裏へと入っていくのを確認して約二時間ほど。烈火正義はときおり来る化け物を剣で切り裂き続けていた。人も少しは通るが常に発動し続けている隠密を見破ることは出来ずに素通りしていっている。

「おっそいなぁ」

鷲に向かって剣をぶん投げながらそうつぶやく。そう、暇だ。暇つぶしに純と明子を弄るための画像作成は既に10枚を超えようとしていた。プリクラのような加工や、画像を付け足して、ネタ画像へとしたり等、見せるのが楽しみだ。

そんな中、空から降り注ぐ光が遮られた。不思議に思い、上を見上げると、大きな針が無数に形成されていた。

「やばい!純!」

すぐさま純のもとへ行こうとしたが、それは幼い悲鳴に止められた。すぐさま振り向くと、男の子が腰を抜かしたのか尻餅をついていた。何故ここにいるのか。近くに自衛隊はおらず、男の子だけが一人、孤立していた。どこかの下へ逃げる時間もなく、無慈悲に針は降り注ぐ。

「ああもう!純!信じてるぞ!」

男の子のもとへ駆け寄り、剣を振るう。息を吸う時間すらなく降り注ぐ針をステータスの力で切り伏せる。一分ほど降り続けると、突如針の雨は止まった。無事男の子は守れたようで、ホッと息をついた。

しかし、針の雨による被害は甚大だった。ビルのような建物は崩壊しており、所々、瓦礫から肌色の何かがはみ出ていた。

「うっ」

男の子はその様子を見て、吐き気を覚えたようだ。まあ、ネットの中にはいくらでも死体があったりするんだけどね。男の子には悪いが、早く純のもとへ向かわないといけない。

「ごめんね!」

美香さんと風花ちゃんの生存を祈りながら、路地裏へ、いや、路地裏だったところへ向かった。

 

 

現場に着くと目を疑った。周囲の建物だったであろう瓦礫の山の上の空間が歪んでいた。その周辺には女の子が一人、風花ちゃんが倒れていた。すぐさま駆け寄り、容態を確認する。怪我はなく、息もしていて命の危機ではないようだった。

「良かった…」

風花ちゃんがいる。ならば近くに純も美香さんもいるはずだ。瓦礫をどかし続けていると、声がした。

「風花ちゃん!起きた?何があったの?」

見つからない不安からまくし立ててしまう。

「えっと、こわいひとがきてね。じゅんがたたかったんだけどね。うまくいかなくってね。そしたらこわいひとがぶわってくろいものをだしてね。はりみたいなのをだしてふらせたの。じゅんがね。まえにでてくれたんだけど、こわくて」

一度言葉をきって、風花ちゃんはこう言った。

「じゅんとみかおねえちゃんをだんじょんのなかにいれちゃった」

 

待て、落ち着け。取り乱すな。どうすればいい?風花ちゃんは嘘は言っていない、と、思う。というより、嘘であることを考えないほうがいいだろう。二人を、特に、美香さんを生き残らせるために頭を巡らせろ。

「風花ちゃん。二人を出すことは出来る?」

「したいけどできない」

「なら、僕を二人のもとに連れていける?」

「そこがいりぐち。でもどこにつながるかわからない」

ならダメだ。それに、風花ちゃんは守ってあげないといけない。何か、せめて二人の場所が分かれば…!

「動画だ!」

すぐさま携帯を取り出す。≪配信≫による動画はまだそれほど数はない。まだ続いている動画を片っ端から開く。部屋、違う。ゲーム、違う。そんな中、洞窟が映る配信があった。それは、見覚えのある二人の姉弟が辺りを見回していた。

「いた…!」

二人は風花ちゃんを探しているようで、ひたすら走り回っている。何度もコメントを書き込んでいるが、気付かない。

「なら…!」

スパチャを投げる機能を利用し、未開封のペットボトルとともにメッセージを送り込んだ。気づいてくれたようで、風花ちゃんを連れて、一度家に戻るとのことを何となくぼかして伝えて、家に戻った。

 

「お帰りなさい。あら、他の皆さんは?」

純の家では、優さんが何かを作っている途中だった。

「今から話します。ところで明子はどこですか?というか、何があったんですか?」

よく見ると、家の家具が所々倒れている。椅子にいたってはいくつかスパッと切れていて壁に走っている傷も随分と新しい。

「何もなかったですよ。ところで明子?さんってどちら様ですか?」

「は?」

明らかに異常と言える彼女の答えはこれからの世界への大事件へと繋がる前兆だった。

 

 

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