あれから様々な船でミッションをこなしていった。化け物を倒せ系が多くサクサクと進めることが出来ていた。ただ幽霊船の見た目をした船のミッションは他とは少し異色な物だった。
「うん?いつもと違って10分耐えろだって」
「化け物が無数に湧き出るのかしら?」
周囲を警戒して辺りを見回していると、海から大きな水柱が上がった。魚かスライムか、何にせよ火魔法を維持したままうしろに下がればどっちでも大丈夫だ。
案の定飛んできた魚であった。ベチッ!ベチッ!と跳ねて、最終的には消え失せる。ここまでならいつもと同じだ。
「純!上!」
姉さんの声に反応して上を見るとまた別の魚が海から飛んできた。それも二匹。ただ、それでも魚は魚であり、なにも出来ずに消えていく。三匹、四匹と数を重ねるごとに飛んで来る魚が増えていったところでやっとこの船の趣旨を理解した。
「ああ、耐えろってそういうことね」
この消耗品の如きの扱われ方をしている魚を避けろ。まあ増えるけどな。といった感じだろう。だから何だと俺は思った。なんせこの魚は前の魚が消えてから飛び込んで来るだけでなく、空中で突如軌道を変えることもないという超親切設計なのだ。代償強化すらいらない。
「姉さん。命って儚いんだね」
「ええ。この日を忘れられないでしょうね」
10分となる直前には魚の数はかなりの量となっており船の約半分を埋め尽くしていた。しかし悲しいかな。その大量の魚はなにもできず消えていくというのに。
≪ダンジョンのすべてのミッションをクリアしました≫
≪ボスへ挑戦できるようになりました≫
「ああ、これが最後なのね」
「やっぱりこの層は精神的ショックを狙っているんじゃない?」
「そんなことないと思うのだけれどねぇ…」
最終的にこの層は魚とスライムしか出なかった。別にオーク、ゴブリンもいてもよかったはずなのだが頑なに魚とスライムなので、そうとしか思えない。
「まぁ、行こうか」
「そうね」
そういって、俺達は最後の船へ向かった。
ビチッ!ビチッビチッ!
「もういいよ」
「何も感じなくなってきたわ」
ボス部屋?いやボス船の上には大きな水槽があり、中にはゴブリン同様馬鹿でかい魚がいる。そしてその水槽からはボスの攻撃なのか分からないがずっと魚が飛び込んで来る。
どれだけこれを擦るのだろう。もう飽きてきた。
「視聴者もそんな感じね」
姉さんは余りの退屈さにボスの目の前でコメントを読みはじめた。
「倒すか…」
時間がもったいないので倒そうとするとふと、気付いたことがあった。倒すべきボス魚は水槽に入っていて、その水槽の周りにはものすごい数の魚が飛び跳ねている。魚は時間が経てば消えるのだが、すぐに補充されているのだ。すなわち、
「どうやって近づけばいいの?」
これである。俺達はすべての魚を陸にあげて見殺しにしていたので奴らの攻撃力を知らない。当然防御力も攻撃手段も。ただ、遠距離ではないことはわかっている。
「銃撃ってみよ」
近くの魚に銃を撃つとカキン!と弾かれた。そしてその魚は時間が来たようで消えた。
「わーお。かったーい」なら魔法、物理と近くの魚で実験するがどれも弾かれた。
「姉さん。どうしよ。やられないけど倒せない」
頭いい人の知恵を借りよう!
「?」
なぜか姉さんは不思議そうな顔をして、
「水槽に銃弾撃てば?」
「流石に防弾ガラスでしょ」
そうは言いつつ撃ってみた。パリーンと水槽は割れて中の水が溢れ出ている。
「…………」
≪ボスの討伐に成功しました≫
≪次の階層に移動します≫
「…………」
≪第三階層に移動しました≫
≪残り1階層です≫
ちょっと現実逃避したくて、レイに会いに行くと
「アッハッハッハ!!!」
足をバタバタさせながら、水槽の中で飛び跳ねているボス魚をテレビに移し、笑っていた。
二階層。何だったんだろう。
はじめは強敵にしようとしてたんですけどね。