世界の変化に追いつけない   作:ありくい

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第五十七話

 

「じゃあ休みましょうか」

三階層に到着し、背中を守れる場所へ行くと姉さんがそういった。三階層は森である。周囲は山に囲まれていて中央にはめちゃくちゃでっかい木がある。絶対ボス関連でしょ。

「ういー。というか今日の化け物って何なの?海のとこでは魚とスライムしか出ないしさ」

「確かにそうねってあれじゃない?」

姉さんが見ている方向へ目を向けると蜂がいた。魚と同じくらいのサイズで木には地面に着くほどの大きさの蜂の巣が着いていた。

「うっわ。これっぽいね」

「海とは違って今回はいろんな化け物が出てきそうね」

「そうだね」

いつものようにコメントを読もうという時間になる。ちなみに今は女の子なので姉さんの横でゆったりしている。こっちの方が受けがいいのだ。

『安全地帯となったところで犯罪多数』

『魔法少女が本名発表』

「え?これ明子じゃないよね?」

明子ってそんな目立ちたがりだったっけ?

「流石に違いそうだけど。あのー結局魔法少女って誰だったんですか?」

『メイコ』

「え?マジ?」

「わぁ。これは驚いたわね」

一体外では何があったんだろうか?

「あら?正義君のスパチャに明子ちゃんじゃないって」

正義もとい勇者君のスパチャに付属したコメントには『メイコっていう魔法少女は見たこともない人だったよ』とかかれている。

これはどう見るべきなのだろう。偽物が現れたとかだろうか?

「考えたって外に出るまではお預けね」

それもそっか。

 

 

 

 

翌日

「ミッション部屋的なのってどれなのかな?」

森なだけあってこれまでとは違いわかりづらそうだ。

「あ、あれじゃない?」

姉さんが指を指した先には大きな穴が空いている木があった。貫通しているわけではないようだが、中は明るい。中に明かりでもあるのだろうか。

「それっぽいね。でも姉さん。一旦無視して蜂と戦わない?」

未知数の敵とは恐ろしい物である。ましてやミッションの中には敵を倒せという物もあるのだから。

「それもそうね」

姉さんも賛同してくれたので蜂と戦いに行く。場所は昨日発見した巣である。

ブウウウウンと羽を羽ばたかせる大量の蜂。それらは俺達が巣まで十メートルくらいまで近づいた途端一斉にこっちを振り向いた。

「やっば!」

できたら一体ずつ釣っていきたいと考えていたがまさか全員が同じタイミングで気づくとは。反省しながら蜂へと火魔法をぶつけていく。当たった蜂はぼとぼと落ちていくのだが、数はむしろ増えている気がする。

「純!この蜂、巣から無限に出ているわよ!」

うっそだろお前。それはダメだろ。そう思いつつも火魔法でひたすら数を削っていく。

しかし、このままではジリ貧だ。魔法は魔力の量によって威力と回数が変わるのだ。火魔法1でも使える魔法とは言え無数に来られてはどうしようもない。

「クッソ。一か八か!≪代償強化≫!」

強化をかけた事で魔法の上限は上がり、威力も馬鹿にならなくなる。

「≪火魔法≫!」

狙うは蜂の巣。どれだけ倒そうがこれがあったら意味がない。目の前の障害物である蜂をすべて貫通し、あそこまで届く炎をイメージする。次第に炎は細く鋭利な矢のような形となる。

「届け!」

飛ばした炎は蜂を貫き、貫いた所からは炎が上がる。結果蜂の巣にもそれは到達し、蜂の巣は火だるまとなってボトッと落ちた。

「よっしゃ!…あ」

ついでに奥にある木にもそれは到達し、燃え上がった。その奥もさらにその奥も、蜂の巣の延長線上にあった木々達はすべて炎に包まれた。当然、それで終わるわけもなく、燃え上がった炎は近くの木々へと住家を移しつづけていって………………………

 

辺りは緑あふれる森から、一面が真っ赤の火の海へと変わり果てた。

俺へ攻撃を仕掛けようとしていたはずの蜂達はその一部始終を見届けた後、怒り狂ったように襲い掛かってきた。といっても蜂は弱いので問題ない。それらを片付けて俺は言った。

「どうしようこれ」

「どうしようもないでしょ」

俺の頭の中にはただただこれを倒しただとかそんな声がずっと響き続けていた。

≪ミッションを達成できなくなったためボスへ挑戦できるようになりました≫

 

ダンジョン、森の層。たった二日で木々は炭へと変わり果て、残った緑は中央の馬鹿でかい木のみだった。

 




フィオナの森
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