『いったいですわ!』
空いた穴周りを枝と葉でふさぎながらりんごを落としはじめる。
「ところがどっこい!効きませんなぁ」
レイの頭に当たるとポコンと軽快な音をたてて跳ねていく。そしてそのまま幹に向かって回し蹴りをお見舞いすると幹が三分の一ほどへこんだ。
『ああああああああああ!』
痛みからか錯乱したように枝、根っこ、葉、りんごをすべてでレイに攻撃する。しかしそれも通らない。
『認めませんわああああああああああ!』
幾度も攻撃するがレイの位置も、様子も変わらない。
「まぁ時間かけるのも良くないか」
その言葉とともに彼女は地面を蹴って飛び上がった。木のてっぺんまで一瞬でたどり着くと太めの枝に着地。
『きゃあああああああ。何ですの!?』
幹の真上までいくと、両手で枝の付け根を触り、
『ななな何を…!』
枝を折りはじめた。
『ぎゃああああああああああ!』
ボキッといともたやすく普通の幹ほどもある野太い枝は幹と離れ離れになる。そして折れた枝は遥か遠くへとぶん投げられて見えなくなる。大木からの悲鳴が響く中彼女は折っていくのをやめない。そして大木からすべての枝が切り離されると一度降りてきた。
「うし。軽くなったね」
木の幹へと手をうずめ、ズボッと大木を引き抜いた。
『きゃああああああああ』
「なかなか感じることのできない感覚でしょ?浮遊感って言うんだって」
そうして、横倒しになった大木を端から砕きはじめた。
『いや!いや!いやあああああ!』
顔の部分が近づけば近づくほど悲鳴が大きくなる。それでも彼女は気にせずに拳でもって砕き続ける。そして顔の部分が砕け散ると、大木は消滅した。
≪ボスの討伐に成功しました≫
≪すべての層を攻略しました≫
≪最後のボスに挑戦できます≫
「あの、所で純はまだ?」
倒した後、森からは一瞬で追い出されボスがこの先いますよといわんばかりの扉の前につくと純の姉がそう問い掛けてきた。というか純は実質私だから私の姉でもあるのかな?
「まだ寝てるよ。というかダンジョン出るまでは私がやるよ」
これは純が起きててもそうするつもりではあった。
「貴方が?どうして?」
「多分だけど次のボスに勝てないからだよ。流石に今のより弱いってことないだろうし、どうせ私がやるんだったら最初からやっていた方が効率的だし」
それに、その……
罪悪感が……
アニメの片手間にいつも見てるけどこんなクズニートの為にあそこまで頑張られるとちょっと申し訳なくなったというか。いやそもそもこんな地獄にさせたのは私のせいだし純は何も悪いことしてないわけで純が責任を負う必要もないのにそれで苦しんでる様子をアニメ片手間に見てたら死にたくなったというか。そもそもこの程度なら私無傷で倒せるのに純が失神するまで放置はちょっとゴミ過ぎるというか。
うん。もうちょっとサービスしてあげないとね!
「じゃあ行こう!というより、さっき何処いたの?」
「あ、スキルで隠れたわ」
あれ?この子にそんなのあったっけ?
「ちょいと失礼。≪鑑定≫」
名前 深井 美香
レベル 70
攻撃 60 (直接30 間接30)
素早さ 60
防御 60(直接30 間接30)
魔力 457
職業 名女優5 有名配信者5
スキル 声真似10 演技10 場作り 注目 配信 事務所
称号 なし
ん?やっぱりなんもないよね。というかステータスおかしくない?
「え、純の鑑定じゃ名前しかわからないんじゃ?」
「ああ、そりゃあ私のステータスだから純のとは違うよ。というかステータス変じゃない?」
レベルにたいして魔力以外が釣り合っていない。
「いや、風花ちゃんに全部あげたので」
あ~納得~。というかサラっと追加された事務所は有名配信者に昇格したからかな?
「ところでほんとにどうやったの?」
「場作りでタイマンの雰囲気作ったうえで注目を純にかけたのよ。そして木の演技したらばれなかったわ」
あれ?最後のおかしくない?木の演技ってなに?流石に気づくでしょ。
「見てみる?」
「うん」
「じゃあ目をつぶって十秒たったら目を開けて」
そうして目を開けるとそれはそれは立派な木が佇んでいた。
マジかよ。
ステータス出さなさすぎてめっちゃ混乱してます