世界の変化に追いつけない   作:ありくい

7 / 137
第七話

「おはよう。はいこれ」

目が覚め、リビングで朝ごはんを食べながらテレビを見ていると、姉さんに服を渡される。女物の下着と制服だ。

「…え?」

「私のだから着けていきなさい」

突然そんなことを言われる。

「え、なんで」

「ないと痛いわよ」

姉さんが一点を見つめながら言う。いろいろと察した俺は、渋々了解した。

「あと、学校にも連絡は入れといたわ。今日というかしばらくはそっちの姿の時は、職員用トイレを使うのと、体育は保健室で着替えろって言われたわ。あとはじめに職員室にきてって」

「分かった。あとさ、これどうやってつけるの?」

そうして着替えを手伝ってもらい、学校へと向かった。

 

じー

視線を感じる。端を歩いているのに全員が見てくる。早くも後悔してきた。

幸いにも誰も話しかけに来ないので、全力の速歩きで学校へと向かった。

 

学校へ到着する。当然それでも止まらず、全力で職員室に駆け込んだ。いきなり開けてすぐ閉めたので先生達がすぐにこちらへと向く。

「お?もしかして深井か?」

息を整えている俺に、担任の梅田 幸一先生が話しかけてくる。

「はぃぃ。ぞうでずぅ。よぐわがりましだね」

「落ち着け。まあ、銀色の髪とかうちにはいないからな。それじゃあとりあえず決まったことを伝えるぞ」

そういいながらプリントを渡される。そこには俺への対応についてかかれていた。

「まず聞いていると思うが、トイレと着替えは、いつもと違う場所だ。そして、学校だが保健室登校もいいことになった。希望するなら言ってくれ。次に深井の事情についてだが、一年から三年まですべての生徒に先生から伝えることになった。理由としては、そうした方が生徒に釘をさせるのと、噂に尾が付かないようにするためだな。あと、クラスには先生と入ってもらう。だからしばらくここで待ってもらうぞ。さて、何か質問あるか?」

「なんて伝えるのですか?」

「ざっくり言うと、深井という生徒が原因はわからないが女の子になった。節度のある行動をしろ。他クラスには休み時間にそのクラス行くのは禁止。というぐらいだな」

どうやら危惧していた他クラスからの視線はかなり減りそうだ。

「ご配慮ありがとうございます」

お礼をいっておく。

「まあ、なんかあったらすぐいえよ。遠慮する必要はないからな」

梅田先生は、そういって締めくくった。

教師として当たり前の事かもしれないが、俺へ最大限の配慮をしてくれた先生に、

「ありがとうございます」

深く頭を下げ、お礼した。

ほんと、この先生が担任でよかった。そう思わずにはいられなかった。

 

 

 

 

 

 

「…原因は分かっていないし、男に戻る時もあるようだ。深井のことを思いやって、行動するように。以上!」

そう言ってホームルームをおえ、梅田先生は、教室を出た。

当然のように、教室は騒ぎに包まれる。

次の授業まで5分ほどしかないのに我先にと、俺のところへよってくる。質問攻めにされ、頭がぐるぐるしてくると先生の怒号が響き渡り、静かになった。

 

昼休み、何とか仲の良い4人と屋上に集まることができた。俺は友達は多い方だが、遊ぶのはこの四人とばっかで他の友達より特に仲がよく、気軽に話せる。

「純~、お前さ、つらくねえの?」

茶髪で制服を着崩した桐谷 渚が声をかけてきた。

「そう。心配」

心配そうに少し小柄の眼鏡っ子、友井 明子が続けてそういう。

「ん~、つらいというほどではないかな」

実際、まだ日が浅いどころか丸一日女の子だった日はないので、何とも言えないが、今は得に不満はない。

「ほんとかい?無理したらダメだよ?」

クラス一のイケメンであり、親友の烈火 正義が頼ってくれてもいいといわんばかりの顔でいう。

「そうだよ?純くん、よく一人で抱え込んじゃうんだから」

優しそうな雰囲気全開の天童 香菜が優しい声で問い掛けて来る。

ちなみに渚と明子は、中学からで正義と香菜は保育園からの幼なじみだ。

「だから、大丈夫だって。普通で頼む」

気を使われるのは嫌なので普通に接してくれという。

「分かった。じゃあいつも通りを心掛けるよ」

正義がそういって、写真を撮った。

「え?」

明子と香菜は俺の後ろにまわり、どこからか道具を取りだし俺の髪をいじりはじめた。

渚は、

「あはははは!お前可愛くなりすぎだろ!」

溜まっていたものを吐き出すように笑い出した。

「声もさー、アニメみたいだし、なんでスカート履いてんだよ」

「え、いや。姉さんが渡してきたから」

「いや、普通着ないだろ。っていうか似合いすぎ。そっちの姿の方がいいだろ!」

「そんなこと言うなよ!だいたい―――」

「動かないで」

「動かないでね。純くん」

「あ、はい」

何か言おうとしたが即座に抑えられた。渚はお構いなしに言いたいことをいっていく。ステータス上がってるから殴ってやろうかなと友情崩壊間際の事を考えていると、

ピロン♪

チャットを開くと、めちゃめちゃにかわいく加工された俺がおくられてきた。贈り主は正義だ。

「はあああああああ?せ~い~ぎ~?」

「あはははは!」

「かわいい」

「純くん、かわいいね!」

元男なので全くうれしくない。笑われて、かわいがられて、何故か髪を結われて、今日はとことんからかってくるようだ。時計を見ると昼休みは残り15分という贅沢仕様となっている。

「うわあああああ」

「足はっや」

俺は四人から逃げ出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




梅田幸一  うめだ こういち
桐谷 渚  きりたに なぎさ
友井 明子 ともい めいこ
烈火 正義 れっか せいぎ
天童 香菜 てんどう かな
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。