世界の変化に追いつけない   作:ありくい

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第七十二話

 

「ただいまー」

「お帰りなさい。ご飯出来てますよ」

教会につくと優さんがご飯を信者のみんなに配っていた。泣きながらそれを掻き込む者もいて、食欲がぐっと沸いて来る。

「うわー、おいしそう。…はむっ。ウッッッマ」

香菜もちょっとテンションがおかしくなるくらいにはおいしいと思っているようだ。もちろん僕も。

「烈火正義。どこまでいけた?」

「えーと、今日で四つだから後四つですね」

効率が上がったおかげで明日には終われそうなくらいまで来ている。

「そうか。なら今出来るものから性能確認しておけよ。戦闘中に出くわすこともあるんだからな」

明子のことを言っているのだろう。確かに彼女は再度来ることはなかった。もしかして死んだと思われている?それならいいが。

その日は純の配信に物資を送り、ニュースを見て終わった。安全になったダンジョン周辺では犯罪が横行しているらしい。まあ他の人より強い力を持っていたら驕っちゃうよね。自衛隊にとめられてるけど。

 

 

 

 

 

 

「よし!今日もがんばろうね。正義君!」

朝8時に家を出て、香菜を抱えてダンジョン範囲外まで来た。昨日と同じく聖剣の化け物解体ショーを見ているだけだ。

『フゥゥゥゥゥウ!ゴミは伐採だ!』

「フフ…」

「くっ」

この聖剣君。独りで動くモードにして喋るようにすると化け物と接適するとすごい台詞を吐いてくれる。キラキラした剣からヤンキーのような台詞が流れる様子はなかなかに面白かった。ちなみに大袈裟にやったらキレる。

『ヒャッハーーー』

 

 

そろそろお昼時。屋根の上でおむすび片手に談笑する。ちなみに目の前では化け物の解体ショー中だ。

「本当に暇だね」

「見ているだけだからね」

ポカポカと体が暖まる日を浴びながら解体ショーを眺めている。

「あの蛙って女の子の敵だよね」

「いや男でも怖いよ?ってか純達に服送らないと」

今日新しく現れた蛙にスカートを少し溶かされた香菜はこの蛙に対してものすごい怒っている。肌がジュウジュウといくらしいので僕も怖い。

「ん。終わったね」

「僕等も動こうか」

聖剣がすべての化け物を切り刻んだのを見終えて動きはじめることにした。トンッと地面が足に着き、影が出来て、

「香菜!」

その影が膨らんだ。

香菜を抱えて飛び上がる。

「わっ!えっえ。≪全天≫!≪全天≫!≪全天≫!」

「ちょっ香菜!落ち着いて!」

膨らむ影に全天を合わせる香菜。余程慌てているのか何度も何度も重ねている。

ゆっくりと膨らむ影から一人の男がはい出てきた。

「ヒッ」

香菜が恐怖に怯えた顔をする。それもそのはず。はい出てきた男は激しく顔を歪めていてその目はこちらを捕らえていた。

「がああああああああああああああああ!!!!!!!」

叫び声を上げた男から闇があふれ辺りを包み込む。深い闇はどこかで見たことのある形を造った。

「あれは…」

真っ黒な太い針が僕と香菜を包み込むように広がっていく。どう見てもこの前空に浮かんでいたのと同じ物だ。

「なになになになに!怖いよ!」

「あああああああああああああああああああああ!!!!」

香菜が俺の腕をギュッと掴む。というか、針よりもこの男自体に恐怖を感じているようだ。針は僕達の逃げ道を完全に潰すと、こちらへと飛んできた。

カンっ

心地良い音と共に針は弾かれる。

「正義君!これなら大丈夫だよ!」

「それもそうだな」

そういいながら、聖剣を手元に召喚する。そして、聖剣をブルッと振った。聖剣から白い光が飛んで行き、全天の壁を通り抜けて男の元へと飛んでいく。

「ぐがあああああああああああああ!!!!!」

狂ったように叫び、裂けた傷口を闇で包む。闇が払われるとその傷口は塞がっていた。

「回復!?」

「なら手数で攻めるまで!」

向こうの攻撃は通らない。でも、こっちの攻撃は通る。どれだけ回復したとしても、痛みを受けたことは忘れない。それは確実に精神を削ると美香さんから教えられた。向こうは人殺しだ。躊躇するな。そう言い聞かせ斬撃を振るっていく。

「っ!」

剣が勝手に動いてある一方に振るわれる。それは全天の壁を一部砕いて目前にまで迫っていた炎を掻き消した。

「えっ…!≪聖域≫≪全天≫!」

「明子っ!」

アニメのような衣装には似合わない無表情の少女は空から僕達を見下していた。

 

 

 

 

 

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